5月16日(日本時間17日)、ゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)が2022−23シーズンの終了会見を開いた。

 王者として迎えた今季、ウォリアーズは開幕から波に乗ることができず、主力の離脱もあって44勝38敗(勝率53.7%)でシーズンを終了。ウエスタン・カンファレンスの第6シードで挑んだプレーオフでは、1回戦でサクラメント・キングスに4勝3敗で辛勝したが、カンファレンス準決勝ではレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビス率いるロサンゼルス・レイカーズに2勝4敗で敗れ、連覇は叶わなかった。

 2014年のカーHCの就任以降、チームはプレーオフに出場したシーズンでは毎回ファイナルまで勝ち進んでいたが、初めてファイナル前に姿を消すことになった。

 シリーズ敗退後の会見で、カーHCは「公平な観点で言わせてもらうと、このチームは最終的にヘトヘトだったと思う。我々はシーズンの大部分で、プレーオフを描くことができていなかった…。チャンピオンシップチームではなかったということ」と口にしていたのだが、その最大の要因は“信頼の欠如”だったという。

 指揮官は改めて今季を振り返り、「信頼が失われれば、そのプロセスはより難しくなる。我々は自分たちを本当の成功へと転換させたこと、この環境を信じ、信頼することでお互いのことを高めていくグループだということを取り戻していかなければならない」と語った。
  ウォリアーズの主力の多くは来季も契約が残っているが、ドレイモンド・グリーンは今夏に来季の契約(プレーヤーオプション)を破棄して制限なしフリーエージェント(FA)になることができる。

 もしオプションを行使して残留、あるいは再契約を結んでチームへ戻ってきたとしても、33歳のベテランは今季開幕前に同僚のジョーダン・プールと乱闘騒ぎを起こし、プレーオフでは危険行為で出場停止処分を受けるなど、熱くなりすぎる一面もある。

 だがステフィン・カリー、クレイ・トンプソンとともにウォリアーズを4度の優勝に導いたチームの“ハート&ソウル”は、オフェンスで主にプレーメーカー、ディフェンスではチームのベストディフェンダーとして替えが利かない存在であり、今季もレギュラーシーズン、プレーオフを通じてチームに不可欠な選手であることを示してきた。

 カーHCはグリーンについて「次のシーズンで、彼は長い間ここで築いてきた信頼とリスペクトを再構築していく必要がある」と口にしていたが、彼に対する信頼度の高さは変わらず、残留を熱望していた。

「もしドレイモンドが戻ってこなければ、我々はタイトルを狙えるコンテンダーではなくなってしまう。我々はそのことを肝に銘じている。勝利を重ねていく上で、彼は重要なんだ。私は彼に絶対に戻ってきてもらいたい」

 複数の主力と大型契約を結んでいるウォリアーズはサラリーキャップを大幅に超過している上、カリーは35歳、トンプソンとグリーンは33歳とビッグ3の高齢化も進んでいる。再び頂点を目指すために元王者のオフの動きに注目が集まる。

文●秋山裕之(フリーライター)

“失敗”を認めないヤニスにシャックが現実を突きつける「第8シードに負けて『失敗ではない』なんて言えない」<DUNKSHOOT>

「全てがハイレベル」八村塁が同僚レブロンに脱帽。レイカーズ大黒柱の”プロ意識”に敬意「間近で見れるのは素晴らしいこと」【NBA】

レイカーズとウォリアーズの差はサポーティングキャスト?アリナスが指摘「レブロンのクリーブランド時代より優れている」<DUNKSHOOT>