テニスの四大大会「全仏オープン」(5月28日〜6月11日/フランス・パリ/クレーコート)の開幕を目前に控え、男子シングルス第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア/世界ランキング2位)が記者会見に出席。初優勝に向けた自信と共に自戒の言葉も口にし、揺れ動く心の内を明らかにした。


 これまで大のクレー嫌いであることを公言してはばからなかったメドベージェフ。事実、2週間前まではクレーでのツアータイトルは皆無だったが、5月21日に閉幕したマスターズシリーズの「イタリア国際」(イタリア・ローマ)でクレー初優勝を飾ったことで、全仏では優勝候補の一角に挙げられるまでに状況が一変した。

「ローマで起こったことは素晴らしかったよ。特に多くの良い選手を破ったからね」とメドベージェフ。そう自賛するのももっともで、ステファノス・チチパス(ギリシャ/5位)、ホルガ―・ルネ(デンマーク/大会時7位)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/同22位)らそうそうたる顔ぶれをいずれもストレートで下した。

 それもあって「ローランギャロスでは、いつもより多くの期待を抱いている」と自信ありげなコメント。すでに会場入りし、センターコートで2度練習したメドベージェフは、ややボールの重さを感じたとしながらも「ローマと同じようなプレーができたし、いい感じだった」と好調ぶりをアピールした。
  ただ一方で、自らを戒めることも忘れない。

「ローランギャロスは厄介な場所でもあるから、この自信を生かさなければならない反面、傲慢になってしまうと危険だ。時々『ああ、いいプレーができたからもう楽勝だろう』と思ってしまうことがある。そうすると1回戦から問題が発生し、怒りがこみ上げて負けてしまうかもしれない」

「こういう状況は何度も経験しているから、ここではいいテニスができるように頑張りたいね」と冷静に語ったメドベージェフ。「ローマの試合はどうでもよくて、一番大事なのは(全仏の)トーナメントが始まる時なんだ」と気を引き締めていた。

 ちなみに、メドベージェフ、カルロス・アルカラス(スペイン/1位)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/3位)の3人は、今回の全仏に優勝すれば無条件で世界1位の座が約束されている。これまでならばクレーでは絶対不利だったメドベージェフが、今季は10勝2敗と大変身したことで、ナンバー1争いからも目が離せなくなった。

構成●スマッシュ編集部

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