5月30日、バレーボール三大国際大会のひとつ、『ネーションズリーグ(VNL)』の女子が愛知県・名古屋市で開幕。予選ラウンド1週目第1戦が行なわれ、世界ランク6位の日本代表が同9位ドミニカ共和国と対戦し、セットカウント3-1(25-23、25-18、22-25、25-15)で勝利を収め、白星発進した。

 国際バレーボール連盟主催の『ネーションズリーグ』は、2018年にスタートし、今回で5大会目(2000年は新型コロナウイルス蔓延により開催なし)。来年に迫るパリ五輪への出場権が懸かるワールドカップバレー(9月開催)へ向け、重要な位置づけとなるこの舞台には、16か国の代表チームが出場している。

 3週にわたる予選ラウンドは、各チームが週4試合、全12試合を戦う。出場チームは世界ランクに基づき(ホスト国は自国開催のプールに割り当て)2プールに振り分けられ、週ごとに変わる開催地を転戦しながら厳しいスケジュールをこなす。日本代表は男女とも1週目の会場が日本ガイシホール。4年ぶりに母国の観客の前で国際試合に挑む。
  世界ランク6位の日本女子代表がプールBで臨む1週目の相手は、ドミニカ共和国(9位)を皮切りにクロアチア(27位)、ブルガリア(16位)、中国(5位)と顔を合わせる。

 この週の招集メンバー14名は、アウトサイドヒッターが主将の古賀紗理那、林琴奈、井上愛里沙、田中瑞稀、西川有喜、和田由紀子(初)。ミドルブッカーは島村春世、横田真未、入澤まいと荒木彩花(初)。セッターは関菜々巳と松井珠己。リベロが小島満菜美と西村弥菜美(初)である。

 コンディション問題で欠場の石川真佑のほか、2年ぶりに代表復帰の長岡望悠、前回大会と去年の世界選手権(オランダ、ポーランド共催)で活躍した山田二千華、宮部藍梨と愛芽世の姉妹、佐藤淑乃と福留慧美らが登録外となった。 初戦は古賀、林、井上と司令塔に関ら経験豊富な顔ぶれに加え、ミドル勢は23歳の入澤と初招集の21歳・荒木、リベロにも代表デビューの西村が起用された。

 第1セット、エンジンが温まるのに時間を要した日本は、ドミニカの身長201cmブライエリン・マルティネスにアタックとブロックを次々と決められるなどして劣勢を強いられる。だが、林の効果的なサーブを起点に巻き返した後、荒木と古賀の連続ブロックで後半に逆転。そのまま逃げ切り、このゲームを奪取した。

 第2セットは序盤に第1セットで古賀の7得点に次ぐ6得点を挙げた荒木が、さらにエース1本を含む3得点。関のエース2本も飛び出して大量リードのまま突入した後半には、強烈な2打と技ありのフェイントなど井上の攻撃が炸裂し、危なげなくセットを連取した。

 一進一退の展開が続いた第3セットで、終盤の入りにコミュニケーションミスが出た日本は、マルティネスのエース2本でドミニカに突き放されセットを譲り渡した。しかし、第4セットでは、好調な荒木に続けと、入澤がブロック2本を含むチーム最多6得点を挙げて奮闘。古賀のバックアタックも冴えわたり、9点差で迎えた2度目のマッチポイントを、途中出場の田中がレフトからのノールック弾で締めくくり、日本が初陣を白星で飾った。
  古賀は圧巻の最多23得点(アタック21、ブロック1、エース1)、井上も全体2位の17得点(アタック15、ブロック2)を記録した。うれしい驚きは、若手ミドル陣の躍動ぶりだ。荒木は13得点(アタック10、ブロック2、エース1)、入澤も10得点(アタック5、ブロック5)で、ともに二桁得点を挙げ勝利に大きく貢献した。

 昨年からメンバーを変えて臨んだ初戦は、まだ成長の余地を残す場面が見られたが、明らかに向上した攻めのサーブは相手に脅威を与えた。従来の主力陣が抜群の安定感で支えるチームに新たな戦力が加わり、今後へ大きな期待を感じさせる内容だった。

 国際バレーボール連盟(FIVB)が提供する配信サービス『Volleyball World TV』の解説者ルーカス・クレイトン氏は試合前、「スピードと緻密な守備を備える日本と、フィジカル軍団ドミニカの激突」だとこの対戦を称したが、平均身長175cm(1週目登録14名)の日本がブロック11本を成功させたことに驚愕。同188cmのドミニカとわずか1本差に迫ったデータに、「これは凄い!」と称賛の声を上げた。

 古賀はオンコートインタビューで、「日本での大会が久しぶりだったので、とても楽しかったです」とコメント。最多得点をマークした自身のアタックについては、スピードに溢れた火の鳥NIPPONの攻撃スタイルを、「日本のコンビはトスがピュンピュンいく」と表現し、「しっかり叩くことを意識してスパイクを打つようにしています」と、より多くの得点につなげるための秘訣を明かした。

 日本女子代表は次戦、6月2日(19時40分開始予定)の第2戦でクロアチアと激突。2連勝なるか、注目だ。

文●佳子S.バディアーリ

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