現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」は現地5月31日にシングルス2回戦が行なわれ、第1シードで世界ランク1位のカルロス・アルカラス(スペイン)がセンターコート第3試合に登場。同112位のダニエル太郎を6−1、3−6、6−1、6−2で下し、3回戦進出を決めた。

 欧州クレーシーズンに入ってからも「バルセロナ・オープン」(ATP500)と「マドリード・オープン」(ATP1000)で立て続けにタイトルを防衛するなど、素晴らしい活躍を見せている20歳のアルカラス。今回の全仏は14度の最多優勝を誇るラファエル・ナダル(元1位/現15位)が不在の中、優勝候補筆頭に挙がっている。

 2日前のファビオ・コボリ(イタリア/159位)との初戦をストレートで突破したアルカラスは、勢いそのままにこの日のダニエルとの2回戦でも序盤から主導権を握る。持ち前の強烈なフォアハンドを軸にストローク戦で順調にポイントを積み重ね、第2、第6ゲームをブレークして第1セットを先取する。

 ところが第2セットに入るとダニエルの粘りのディフェンスに苦戦を強いられてミスを連発。第1ゲームから3ゲームを連取されるなど精彩を欠き、そのままセットオールに持ち込まれる。

 続く第3セットで落ち着きを取り戻したアルカラスは再び強打でダニエルを攻め立て、第1ゲームから立て続けに5ゲームを奪ってセットカウント2−1に。迎えた第4セットでも終始安定したプレーを見せて計3度のブレークに成功し、2時間25分で勝利を収めた。
  試合後のオンコートインタビューで最初にアルカラスが口にしたのは、最後まで諦めずに立ち向かってきたダニエルに対する称賛の言葉だった。

「太郎は素晴らしいプレーをしていた。彼はとてもタフな選手で、今年は素晴らしいレベルにいる選手との試合にも勝っている」

 そしてアルカラスは予想よりも苦しい展開となったことについて、時折強風も吹き荒れる「本当にタフな」コートコンディションへの適応が難しかったとコメント。

「自分のプレーをできる限り調整しなければならないと思って、僕は全てのショットにおいて本当に集中していた」と試合を振り返りつつ、「(結果的には)素晴らしいレベルのプレーができたし、勝利に満足している」と喜びを表現した。

 最後には会場で連日声援を送ってくれているファンへの感謝の言葉を述べ、インタビューを締めくくった。

「ここでプレーできるのは素晴らしいことだ。1回戦も今日の試合も、ファンが応援してくれていることを実感している。ファンのエネルギーとサポートを感じながらフィリップ・シャトリエ(全仏のセンターコート)でプレーできて、本当にうれしいよ」

 3回戦では第26シードのデニス・シャポバロフ(カナダ/32位)と対戦するアルカラス。まだまだ厳しい戦いは続いていくが、2度目の四大大会優勝に向けて士気は高まっている。

文●中村光佑

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