テニス四大大会「全仏オープン」男子シングルス3回戦で、第6シードのホルガー・ルネ(デンマーク/世界ランク6位)が予選勝者のヘナロ・アルベルト・オリヴィエリ(アルゼンチン/231位)を6−4、6−1、6−3で下し、2年連続となるベスト16進出を果たした。試合後の会見でルネは好調を維持できている理由を「しっかりと睡眠を取るようにしている」ことだと明かした。

 昨年11月のパリ大会で殊勲のマスターズ初優勝を飾った20歳のルネは、今季のクレーシーズンでも出場4大会中3大会で決勝に進出するなど素晴らしい活躍を見せている。今回の全仏では、クリストファー・ユーバンクス(アメリカ/74位)との初戦を接戦の末に突破すると、2回戦は相手のガエル・モンフィス(フランス/元6位/現394位)が手首の負傷で棄権。不戦勝で3回戦へと駒を進めていた。

 この日の3回戦でもルネは予選3試合を勝ち抜いて勢いに乗るオリヴィエリ相手に圧巻のプレーを披露する。序盤の第2ゲームで先にブレークを許すもすぐに落ち着きを取り戻して第3ゲームから5ゲームを連取。1つ返されたがリードを守り切って第1セットを先取する。

 第2セットからはほぼルネの独壇場。両サイドからのアグレッシブなリターンや攻撃的なフォアハンドをはじめ、多彩なショットで第2ゲームから立て続けに6ゲームを奪って勝利に王手を掛けると、迎えた第3セットでも2度のブレークに成功。2時間足らずで4回戦進出を決めた。

 凄まじい勢いで進化を続けるルネは常にベストの状態で試合に臨めるよう、何よりも睡眠を大事にしていると語る。会見ではあどけない笑顔を見せながらその理由を次のように説明した。
 「僕はよく寝るよ。寝るのが好きなんだ。可能であれば9〜13時間くらいは寝ているかな。最高の疲労回復になると思っている。寝ると筋肉が緩んで身体全体がリラックスするから、できる限り寝るようにしているよ」

 また睡眠中に「色々な夢を見る」というルネは冗談を交えつつ、普段どのような夢を見ているのかをこう明かしている。

「テニスに関係するものやそうでないものもある。優勝トロフィーを持って(表彰台に)立っているような、とてもいい夢を見ることもあるが、よくはわからない。目が覚めると、『ああ...僕はベッドで寝ていただけなんだ』となる。でもその夢を実現できると、もっといい気分になれる。『ああ、これは僕が見た夢だ』と思い出せるからね。でもまあ、いい夢を見ても、目が覚めると楽しくなくなっちゃうんだよね」

 実際のところルネのように睡眠の重要性を唱えるアスリートは多い。海外メディア『Sportskeeda』によると、元世界王者のロジャー・フェデラー(スイス/41歳)も現役時代には1日12時間の睡眠を取っていたという。またメジャーリーガーの大谷翔平も10時間以上の睡眠を日課にしているのは有名な話だ。

“睡眠パワー”で順調な勝ち上がりを見せているルネ。ベスト8入りを懸け、4回戦では第23シードのフランシスコ・セルンドロ(アルゼンチン/23位)と対戦する。

文●中村光佑

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