日本人女子プレーヤーに下された厳しい処罰に対する反響が、いまだ止まない。

 現地6月4日、テニスの四大大会のひとつ「全仏オープン」の女子ダブルス3回戦。加藤未唯/アルディラ・スチアディ(日本/インドネシア)組とマリー・ボウズコワ/サラ・ソリベストルモ(チェコ/スペイン)組がベスト8進出を懸けた試合で、まさかのハプニングが起きた。

 第2セットの第5ゲーム。スチアディがリターンミスした直後に、加藤が相手コート側へ軽くボールを打ち込んだ。すると、その球が相手ペアにボールを渡そうと待っていたボールガールの頭部に直撃してしまったのだ。

 ボールガールは大粒の涙を流し、試合も一時中断。主審は加藤に警告を言い渡したが、対戦ペアは納得いかず「彼女は泣いているじゃない!」と反論。「血が出ている。よく見てあげて」と主審に異議を唱えた。加藤は少女の元に駆け寄り謝罪したものの、主審は「危険な行為だった」と判定を覆し、加藤/スチアディ組の失格処分を下すと試合終了を宣言。想定外の展開に加藤は涙し、パートナーに慰められながらコートを去った。

 同日夜に、加藤は自身のツイッターを更新。ボールガールやパートナーのスチアディ、ファンへ謝罪の言葉を送るとともに、失格処分に伴う追加制裁が課されたことを明かした。賞金とポイントを没収された加藤は処分を不服とし、後日グランドスラム評議会に提訴したと述べている。
  加藤の処罰は国際的な関心事に発展し、大きな騒ぎとなっている。現地4日、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が中心になって立ち上げたプロテニス選手協会(PTPA)は「ミユ・カトウの失格処分は不当で不公平」との声明を出し、28歳の日本人を援護した。

 現役選手も同情の声を上げる。PTPA創設メンバーであるバセク・ポシュピシル(カナダ)はこの声明に同意し、加藤に失格処分を下した審判の裁定を「ひどい裁定だ」と猛批判している。2014年ウィンブルドン選手権男子ダブルスで優勝した同選手はツイッターに「ローラン・ギャロス(全仏オープン)関係者によるひどい裁定だ。ミユ・カトウは少なくとも賞金とポイントを返還されるべきだが、それでもまだ正しくはない」と怒りの文面を綴ると、「あきらかな窃盗だ!」と吐き捨てた。

 米スポーツメディア『Sportskeeda』は「カトウは失格により涙に明け暮れたが、SNSに寄せられた多くの支援者に感謝の意を表明した」と説明したうえで、「このポジティブなエネルギーを、彼女は準決勝で対戦する混合ダブルスでも発揮してくれるだろう」と報じている。

 いまだ波紋を呼んでいる加藤の失格問題。すべてのテニス関係者が熱視線を送る裁定の決着には、まだ時間がかかりそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】加藤未唯の球がボールガールの頭部を直撃…対戦ペアの抗議もあって失格処分となる一部始終

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