現地6月8日、メジャー昇格したばかりのエンジェルスのジョー・アデルがカブス戦で6番レフトとして今シーズン初の先発出場。初打席でいきなり豪快なホームランを放ち、久々のメジャーの舞台で爪痕を残した。

 今回マイナーから招集されたのは、ハンター・レンフローが育休を取得し、10日までチームを離れるためだ。今季は3Aで開幕を迎え、6試合連続ホームランを放つなどここまでリーグ最多の18本塁打と大爆発。だが、ここまで、昇格の声はかからなかった。

 理由は、エンジェルスの外野陣が充実しているため。マイク・トラウト、テイラー・ウォード、レンフローに加え、ミッキー・モニアックも台頭。この状況では、エンジェルスがアデルに機会を与えることは難しかったのだ。
  これらの事情を踏まえ、アデルはこの夏のトレード候補としても盛んに名前が挙がっている。

 MLB.comのマーク・ファインサンド記者は「2020年にはMLB全体のプロスペクト・ランキングでベスト10入りしていたが、その後の3シーズンはうまくいっていない。今後新たなチームへ移り、才能を開花させるかもしれない」と指摘している。

 17年にドラフト全体10位でエンジェルスに指名されたアデルは、20年に次代のスーパー候補として鳴り物入りでメジャーデビューしたものの、昨季まで通算161試合で打率.215と鳴かず飛ばず。守備や走塁でも凡ミスが多く、そのことが今季のマイナースタートにつながった。

 豪快な一発をもってしても、アデルのチーム内での立場は変わっていない。現在、投手陣の層が薄いエンジェルスは、夏の移籍市場でこの弱点を何としても底上げしたいはず。その場合、アデルがトレード要員になる可能性は確かに高いだろう。

 果たしてアデルは残りシーズンをエンジェルスの一員として過ごすのか。それとも新天地に活躍の場を移すのか。元トップ・プロスペクトの動向は今後も注目を集めそうだ。

構成●SLUGGER編集部