現地時間6月7日に行なわれたNBAファイナル第3戦、デンバー・ナゲッツはマイアミ・ヒートを109−94で下して2勝1敗とシリーズをリードした。

 この試合で勝利の立役者となったのは32得点、21リバウンド、10アシストをマークしたニコラ・ヨキッチ、34得点、10リバウンド、10アシストをあげたジャマール・マレーの2枚看板であることは言うまでもないが、“第3の男”として台頭したのがルーキーのクリスチャン・ブラウンだ。

 第2戦でも15分間で6得点、3スティールと存在感を示していた22歳は、この日もベンチからエナジーを注入。19分間の出場で、フィールドゴールを8本中7本成功させてチーム3位の15得点。後半にはスティールから豪快なワンハンドダンクを叩き込むなど、今プレーオフ最高の輝きを放った。

 大舞台で躍動する若武者を、ヨキッチも手放しで称賛。「彼が勝利をもたらしてくれた。今夜の彼は本当に素晴らしかった」と語れば、マイケル・マローンHCも「彼は自信が漲っていたね。今夜のクリスチャンのように若い選手がステップアップするのを見るのは本当に楽しい」と絶賛した。
  レギュラーシーズンでは76試合で平均15.5分、4.7点と特筆すべき数字を残したわけではないものの、ブラウンは大舞台でも輝けることをNBA入り以前から証明している。

 高校時代にチームをカンザス州のチャンピオンに導くと、カレッジでは名門カンザス大で3シーズンをプレーし、昨季は主力としてNCAAトーナメントで優勝。特にノースカロライナ大との決勝では40分間フル出場を果たし、12得点にチーム最多の12リバウンドと全米制覇の原動力となった。

 今季ナゲッツが頂点に立てば、ブラウンはNCAAとNBAで2年連続のチャンピオンを経験することになるが、『NBC Sports』によると過去に同様のことを成し遂げているのは4人だけだという。

 NBAでも初年度から主軸を担ったビル・ラッセル(1956年サンフランシスコ大&57年セルティックス)とマジック・ジョンソン(79年ミシガン州大&80年レイカーズ)のほか、ヘンリー・ビビー(70〜72年UCLA&73年ニックス/マイク・ビビーの父)、ビリー・トンプソン(86年ルイビル大&87年レイカーズ)と、達成者はいずれも80年代以前の選手たちだ。

 シリーズ開幕前、上記のリストに名を連ねる可能性があることについて「2年連続で最高のレベルでプレーできて幸せだ」と語っていたブラウン。史上5人目のNCAA&NBA連覇へ、次戦も強心臓のルーキーに注目だ。

構成●ダンクシュート編集部