現地時間5月14日、ボール・アリーナで行なわれたミネソタ・ティンバーウルブズとデンバー・ナゲッツによるウエスタン・カンファレンス準決勝第5戦は、リーグ最高のビッグマンによる超絶パフォーマンスでナゲッツが112−97の勝利を飾った。

 試合前、自身3度目のMVPトロフィーを受け取ったニコラ・ヨキッチは、チームメイトたちやファンから祝福されると、ゲームハイの40得点、7リバウンドに13アシスト、2スティール、1ブロックの大暴れでナゲッツを牽引。昨季王者はこれで3連勝とし、3勝2敗でシリーズ突破に王手をかけた。

 これまで、ナゲッツはヨキッチがプレーオフで40得点以上を奪った試合で4戦全敗を喫していた。だがこの試合ではフィールドゴール成功率68.2%(15/22)と高確率にショットを沈めつつ、ウルブズのディフェンス陣を前にターンオーバーをゼロに抑える申し分ない働きを見せた。

「ニコラは第2戦で負けたあとにMVPと発表された。この3試合で、なぜ彼が歴代最高の選手の1人なのかを見せつけていると思う。彼のIQは抜きん出ている。おそらく海外にいたからというのもあるんだろう」
  マイケル・マローンHC(ヘッドコーチ)がそう話した通り、ナゲッツはヨキッチがMVPに選ばれた時点でウルブズに2連敗、しかも第2戦ではホームで26点差の大敗を喫していた。

 それでも第3戦から息を吹き返し、怒濤の3連勝でカンファレンス・ファイナルへ王手。とりわけヨキッチは第3戦で24得点、14リバウンド、9アシスト、3スティール、3ブロック、第4戦でも35得点、7リバウンド、7アシスト、3スティールと躍動し、シリーズを激変させる立役者として君臨している。

 そんなヨキッチの大活躍に、ウルブズの若きエース、アンソニー・エドワーズは「もう笑うしかない。彼はNBAのベストプレーヤーなんだ。3試合連続でそれを見せつけた」と脱帽していた。

 もっとも、自分たちが仕掛けたディフェンスについて「弱点があったとは思っていない」と自信を失ってはおらず、ロッカールームで「僕は自分たちのチャンスを気に入っている」とも口にしている。記者から「何を期待している?」と聞かれると「第7戦でまた会おう」と切り返していた。

 2勝3敗と追い込まれたウルブズは、ホームのターゲット・センターで16日(日本時間17日)に行なわれる第6戦をモノにすれば、運命の第7戦へつなぐことができる。勢いに乗る王者ナゲッツか、崖っぷちのウルブズか、白熱の試合になることは間違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)