現在開催中の男子テニスツアー「イタリア国際」(5月7日〜19日/イタリア・ローマ/クレー/ATP1000)で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランク1位)が早期敗退したことを受け、元世界1位のアンディ・ロディック(アメリカ)が自身のポッドキャスト『Served with Roddick』で「彼の調子がここ15年で一番心配」と語っている。

 年間グランドスラム(四大大会全てで優勝)達成まであと1勝だった昨季とは一転、今季のジョコビッチは現在まで優勝はなく、5大会出場で12勝5敗の戦績。昨年の同時期は6大会で20勝4敗だった。世界ランキング1位の座は守っているが、前回覇者として臨む「全仏オープン」(5月26日〜6月9日/フランス・パリ)の結果次第で、ヤニック・シナー(イタリア/同2位)にその座を奪われてしまう状況だ。

 ロディックは、ランキングの高い選手と序盤戦で対戦しないグランドスラムでは、王者が1週目を乗り切り本来の姿を取り戻す可能性がある、としながらもこう指摘した。

「ローランギャロス(全仏の会場)で彼がいいプレーをしても驚きはしない。でも、『彼は良くなる。大丈夫、だってノバクだよ』といつまで言っていられるか。

 準備万端で、全仏オープン、ウインブルドンを見据え、彼はオリンピックを優先していると言っていた。だが、上昇が近づいているように感じたけど、そうではなかった」
  実際、「イタリア国際」3回戦でのジョコビッチは、アレハンドロ・タビロ(チリ/同32位)を相手に良いところなく、2-6、3-6のストレートで敗れてしまった。初戦(2回戦)勝利後に観客の水筒が頭部に当たるアクシデントがあり、その影響を受けた可能性はある。だが、ロディックが感じる王者の異変はタビロ戦に限ったものではないという。

 まず今季開幕戦に選んだ国別対抗戦「ユナイテッド・カップ」では、アレックス・デミノー(オーストラリア/同11位)に4-6、4-6でストレート負け。たっぷりと準備期間を設けて臨んだインディアンウェルズでは3回戦でルカ・ナルディ(イタリア/同81位)に敗退。モンテカルロでは準決勝に進出したものの、これまで対戦成績5勝0敗としていたキャスパー・ルード(ノルウェー/7位)に屈した。ロディックは試合中のある場面を指摘する。

「それよりも心配だったのは呼吸が苦しそうだったこと。デーモン(デミノー)との試合では、早い段階で苦しそうにしていた。どんなに素晴らしい選手であっても、短い休息で常にプレーをし、それが毎回うまくいくとは限らない。おかしな状況が続いているようだけど、おそらくそれは時間が経ってもノバクのような選手には一貫したテニスのリズムが必要だということかもしれない」

 今季は全仏以降もビッグイベントに絞った参戦スケジュールを立てているジョコビッチ。ロディックは今季の王者がこなしている試合数と、実戦での体力や感覚の関係性に着目しているようだ。

構成●スマッシュ編集部

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