NBAは2023−24シーズンの主要アウォードの発表を終え、残すはオールルーキーチーム、オールディフェンシブチーム、オールNBAチームのみとなった。

 最高栄誉のMVPはデンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチが3度目の受賞。セルビア出身のビッグマンは、2014年のドラフト2巡目41位指名だったことを考えると、将来的に“歴代最高のドラフト2巡目指名選手”という称号を手にする可能性もある。

 さらに、今季の最優秀守備選手賞にはミネソタ・ティンバーウルブズのルディ・ゴベア(2013年1巡目27位)、MIP(最優秀躍進選手賞)にはフィラデルフィア・セブンティシクサーズのタイリース・マキシー(2020年1巡目21位)、最優秀シックスマン賞にはウルブズのナズ・リード(2019年ドラフト外)と、下位指名選手の戴冠が目立った。

 NBAのドラフトは、毎年60名しか指名されない非常に狭き門(指名権剥奪の場合はさらに減少)。それゆえに、世界中から才能豊かなトッププレーヤーが集うリーグでは、指名順位が低かろうと、ドラフト指名されなくとも、自らの努力やチーム環境などによってキャリアが激変する可能性を秘めている。
  5月15日、米メディア『NBC Sports Bay Area』は、2011年以降における“オールNBAドラフト2巡目指名チーム”をセレクト。ビッグネームも並ぶ豪華な面々となっている。

※カッコ内は、現所属チーム(チーム名は略称)/当該年のドラフト全体順位。

■米メディア選出のオールNBAドラフト2巡目指名チーム
<1stチーム>
G:ジェイレン・ブランソン(ニックス/2018年33位)
G:クリス・ミドルトン(バックス/2012年39位)
F:ハーバート・ジョーンズ(ペリカンズ/2021年35位)
F:ドレイモンド・グリーン(ウォリアーズ/2012年35位)
C:ニコラ・ヨキッチ(ナゲッツ/2014年41位)

<2ndチーム>
G:マルコム・ブログドン(ブレイザーズ/2016年36位)
G:ノーマン・パウエル(クリッパーズ/2015年46位)
F:ブルース・ブラウン(ラプターズ/2018年42位)
F:ボーヤン・ボグダノビッチ(ニックス/2011年31位)
C:ダニエル・ギャフォード(マーベリックス/2019年38位)

<3rdチーム>
G:ジョーダン・クラークソン(ジャズ/2014年46位)
G:ゲイリー・トレントJr.(ラプターズ/2018年37位)
F:ジャレッド・ヴァンダービルト(レイカーズ/2018年41位)
F:ジェイ・クラウダー(バックス/2012年34位)
C:アイザイア・ハーテンスタイン(ニックス/2017年43位)
  1stチームにはMVPのヨキッチを筆頭に、最優秀守備選手賞や4度の優勝経験を持つグリーン、今プレーオフでニックスを牽引するブランソン、バックスで優勝に貢献したミドルトン、リーグ有数のディフェンダーとして売り出し中のジョーンズが選出。なかでもヨキッチとブランソンは現在リーグを代表する選手であり、ドラフト前の評価や指名順位で選手の価値を決めつけてはならないことを証明している。

 2ndチームには2017年の新人王で、昨季の最優秀シックスマンに選ばれたブログドン、クリッパーズでベンチの得点源を担うパウエル、昨季のナゲッツ優勝メンバーのブラウン、シュート力に定評のあるボグダノビッチ、リム周りで絶大な貢献を見せるギャフォードが入った。

 3rdチームにも2021年の最優秀シックスマン賞クラークソン、シューターのトレントJr.、ペリメーターディフェンダーとして評価が高いヴァンダービルト、攻守両面で貴重なつなぎ役をこなすクラウダー、ニックスで先発を張るハーテンスタインと、スターではなくても、世界最高峰の舞台で地位を確立した実力者たちがランクイン。
  ほかにも、3シーズンで平均20点超えを誇るジェレミー・グラント(ブレイザーズ/2014年39位)や、今季ロケッツの躍進に一役買ったディロン・ブルックス(2017年45位)、クリッパーズ不動の先発センターのイビツァ・ズバッツ(2016年32位)、リバウンドやブロックショットが売りのミッチェル・ロビンソン(ニックス/2018年36位)、ネッツが誇る守備型ビッグマンのニック・クラクストン(2019年31位)と、先発クラスがひしめいている。

 過去にもマルク・ガソル(元グリズリーズほか/2007年48位)やマヌ・ジノビリ(元スパーズ/1999年57位)など、下位指名から大成した選手の歴史は脈々と受け継がれている。

 今月21日に発表されるオールディフェンシブチーム、翌22日のオールNBAチームでも、ドラフト2巡目指名から這い上がった選手たちが選ばれることだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)