現地5月19日、2024バレーボール・ネーションズリーグ(VNL)女子予選ラウンド第1週(トルコ・アンタルヤ)の最終戦が行なわれた。ポーランド代表と対戦した日本代表は、セットカウント0-3(24-26、20-25、23-25)で敗れて初黒星を喫し、連勝は「3」でストップした。

 今大会でパリ五輪の出場権を狙う世界ランク8位の日本は、初戦で世界ランク1位のトルコをフルセットマッチで破った後、ブルガリアとドイツにストレート勝利を収め、3連勝と好調なスタートを切った。

 すでに切符を手にしているポーランドも、イタリア、フランスとオランダに1セットも譲らず3戦全勝。同ランキングで20ポイント以上の加点と、上位にいた米国とセルビアの2敗により、同7位から3位へ急浮上した。

 ポーランドの平均身長は190センチ超(リベロを除く)の先発陣のなかで突出した得点力を持つ身長203センチのエース、オポジット(OP)マグダレナ・スティシアク。アウトサイドヒッター(OH)として出場した昨年の欧州選手権で同ポジションの最優秀賞に輝き、今季のトルコ・リーグで国内2冠を達成したばかりだ。第2戦でその主砲と正セッターを温存し、日本戦に向けて入念に準備をしてきた。一方で、ブロック16本をマークしているミドルブロッカーの主将・アグニエシュカ・コルネルクが負傷により、急きょ欠場となった。

 日本の先発メンバーはこれまでと変わらず、司令塔は岩崎こよみ。OHが主将の古賀紗理那、林琴奈、石川真佑、MBに渡邊彩と山田二千華を起用。両国は22年VNL予選ラウンド以来(当時は3-1で日本が勝利)の顔合わせだった。
  第1セット、MB山田の2連続エースなどで序盤をリード。中盤に追い上げられるが、MB渡邊のサーブで3度のブレークに成功して、日本が再び主導権を握る。ところが、セット先取に迫った23−18からレセプションの乱れなどで、日本がまさかの6連続失点。ポーランドに大逆転を許してしまい、試合を先行された。

 そこから徐々に相手がリズムを掴み始める。第2セットでも前半優位に立った日本は、中盤に接戦に持ち込まれると、セッターを岩崎から関菜々巳に替えて流れを引き寄せにかかる。だが、OPスティシアクの5連打で混戦を抜け出したポーランドが一気に加速。セットを連取されて迎えた3セット目は、開始からOH古賀に替えて井上愛里沙を起用して、一進一退のまま中盤へ突入する。

 しかし、日本は誤打や被ブロックなどで4点ビハインドして後退。石川や井上に替えて投入したOH和田由紀子らの奮闘で巻き返し、終盤に相手の背中を捉える粘り強さを見せるものの、ポーランドの若きエースにブロックアウトで決勝点を奪われて試合終了。VNL初黒星を喫し、3勝1敗で第1週を終えた。 石川がチーム最多で全体2位の14得点(アタック13、エース1)、林がチーム2位の11得点(アタックのみ)を記録。3戦目終了時に得点ランク首位につけた古賀は、2セット目途中の交代により、アタックのみの5得点にとどまった。なお、試合最多得点はポーランドOPスティシアクの22得点(アタック16、エース1、ブロック5)だった。

 この結果について、相手国メディア『RMF24』は「日本が万全の守備と強烈な攻撃で試合をスタートした。ミスのない完璧な戦いぶりで、ポーランドに今大会初めてセットを失う覚悟を抱かせた」と報道。序盤は日本の強さに圧倒されたと伝えている。

 第1セットで日本に6点のビハインドを強いられ、終盤の入りに2度目のタイムアウトを余儀なくされた時点で、同国のアタック決定率は37パーセントと低迷していた。大量リードから目前で試合先行を逃した日本の第1セットを見守った国際バレーボール連盟の配信サービス『Volleyball TV』解説者であるルーカス・クレイトン氏は、「完全に日本のセットだった」とコメント。日本が好機をモノにできなったことが悔やまれる結果だと言及している。

 また、初戦で日本にフルセットの末に敗れたトルコ・メディア『HABERLER.COM』は、「“ネットのスルタン(同国代表の愛称)“を退けた日本はセットを奪えず、ポーランドが勝利」と、世界ランク1位である同国に黒星をつけ、番狂わせを演じた日本のストレート負けを驚きとともに伝えている。
  現在、日本は予選ラウンド6位につけている。世界ランク8位を維持しているが、ポーランドにストレートでの敗北を喫し、ポイントが「8.59減」となり、セルビア戦を3-1の白星で終えたアジア1位で同ランク7位の中国との差は、5.49から22.51へと差が広がった。

 日本時間の5月28日から中国/マカオに舞台を移して始まる第2週は、パリ行きがすでに決定しているブラジルとドミニカ共和国、アジア枠で切符を争う最大のライバル・中国との直接対決のほか、五輪ホスト国であるフランスとの対戦が予定されている。パリへのラストチャンスを懸けた、いばらの道は続く。

取材・文●佳子S.バディアーリ

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