「精神的に正直きつかった」井上尚弥が吐露した偽らざる“本音”。試合延期、決戦13日前に起きた相手変更…異例興行を乗り切る「どっと疲れた」

THE DIGEST1/25(土)6:00

「精神的に正直きつかった」井上尚弥が吐露した偽らざる“本音”。試合延期、決戦13日前に起きた相手変更…異例興行を乗り切る「どっと疲れた」

3度目の防衛を果たした井上(中央)はファンにプレゼントを投げ込んだ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥が1月24日、WBO同級11位キム・イェジュン(韓国)と3度目の防衛戦に臨み、4回2分25秒に右ストレートを一閃してKO勝ちを収めた。これで日本人単独最多となる世界戦通算24勝を飾り、戦績は29戦29勝(26KO)に伸ばした。
【画像】衝撃の4回KOで3度目の防衛成功!キム・イェジュンを撃破し25年初陣を勝利で飾った井上尚弥の厳選ショット!

 2か月の試合延期、決戦13日前に対戦相手が急きょ変更するなど、異例の興行となった。それでも、モンスターはやはりモンスターだった。

 初回は互いをけん制するかのように静かな立ち上がりだったが、2回から井上が手数を出しつつ、距離を詰めてプレッシャーをかける。一方のキムも左構えからカウンターを狙った細かいパンチで応戦するが、回を重ねるごとに無敵の王者がパワーとスピードで圧倒していく。

 そして4回、ギアを上げた井上が左ジャブから放った右ストレートがキムの顔面にクリーンヒット。韓国人ボクサーは膝をつき苦悶の表情を浮かべ、もう立ち上がることができず井上のKO勝利を告げるゴングが鳴り響いた。
  試合後、会見に臨んだ井上は開口一番に「疲れました」とポロリ。「試合で疲れたというより2か月いろいろありましたし、試合中止とか対戦相手の変更とか。肉体的ではなく精神的に正直きつかったところがありました。無事に勝つことができ、肩の荷が下りて、どっと疲れがきました」と、思わず本音を吐露した。

 当初は昨年12月24日に予定されていたサム・グッドマン(オーストラリア)との防衛戦が挑戦者の負傷により1カ月延期になった。さらに、今月11日にグッドマンが再び負傷してしまい棄権を発表。キム・イェジュンを急きょ代役に立て、トラブル続きだった異例の一戦に終止符を打った井上はジェットコースターのような苦労の2カ月間を次のように振り返った。

「(試合を)見せなきゃいけないとかいうプレッシャーはなく、12月24日に向けて全力で仕上げていった。試合10日前に延期となり、一週間ぐらいは何も気にせず過ごしていたけど、そこからまた1か月全力で仕上げるという。試合まで必死にトレーニングをやっているので。その時は感じなかったですけど、今こうやって終わってみると、どの試合よりも終わったこの瞬間はどっと疲れたなという感じですね」 だが一方で、予期せぬスケジュール変更で調整期間が延びたことは、海外再進出を表明している王者にとって調整方法にプラス効果をもたらした。体は一段と大きくなり動きのキレも良く、何度もキムの顔面やボディに効果的なパンチをあてた。試合中も確かな感触があったと振り返っており、「(KOできる)手応えは最初からあった。どうやってフィニッシュにつなげていこうか考えていた」と語るほど、高いボクシングIQと攻撃の引き出しの多さで韓国人ファイターを4ラウンドで料理した。
  貫録のKO勝利は、自身の持つ日本人世界戦連続記録を大台の「10」に更新した。もはや、スーパーバンタム級でも敵はいないのか。海外記者から、「階級を上げる予定はあるのか?」と聞かれた井上は苦笑いしながら、「すぐに上げるということはないと思います。まだスーパーバンタム級で戦わなきゃいけない相手もいるので」と回答。「この先、どんなボクシングドラマになっていくのかは自分でも想像ができない。引退した時に自分がどう感じるかっていうものを、今すごく大事にしながらボクシングをやっています」と話すにとどめた。

 百戦錬磨のモンスターでさえ調整に苦労が絶えなかった本興行。だが蓋を開けてみれば見事な完勝劇は、やはりスーパースターだからこそなせる業である。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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