坂元裕二、野島伸司、橋部敦子、野木亜紀子らを輩出した「フジテレビヤングシナリオ大賞」。昨年の第32回で大賞を受賞した的場友見(まとば・ともみ)さんによる「サロガシー」が、堀田真由主演で3月24日(水)夜0:55から放送される。

代理母出産を意味する“サロガシー”。本作は、ゲイである兄のために、主人公・江島環(たまき/堀田)が代理母になることを決意し、出産するまでの様子や、周囲の人々の心情が描かれる。

作者の的場さんは、1981年生まれの39歳。アパレル会社、広告制作会社、出版社を経て独立。現在はフリーのコピーライターとして活動している。ヤングシナリオ大賞へは第31回に続き、2度目の応募だった。

撮影現場にも足を運んだという的場さんがリモートでの囲み取材に応じ、執筆のきっかけから、今後の展望までを語った。

■的場友見さんインタビュー

――応募理由を教えて下さい。

坂元裕二先生や野島伸司先生、野木亜紀子先生など、今も第一線で活躍されていて、私の好きな方々が賞を取られているコンクールだということを知って応募を決めました。

――特に影響を受けた作品や脚本家は?

親もドラマが好きで、連続ドラマは5歳ぐらいの時に「パパはニュースキャスター」(1987年、TBS系)を見たのが初めてでした。そこから毎シーズン、ドラマをすごく楽しみに見てきたのですが、坂元裕二先生の「東京ラブストーリー」(1991年)は「ドラマって面白いな」と改めて思った作品です。

それから、配信されていたのを一気見した岡田惠和先生の「最後から二番目の恋」(2012年)は、自分も何か書いてみたいと思ったきっかけの作品です。岡田先生を(ネットで)検索したら、シナリオセンターに通っていたというのを知り、私も通わせていただいたので、すごく影響を受けています。

■「ベストマッチのキャスティングだと思います」

――「サロガシー」を書こうと思ったきっかけは?

ゲイの友人と世間話をしていた時に、海外だとサロガシーという形で、代理で子供を産んでもらうことができると知ったことがきっかけです。一方で、ストレートの友人と話している時に、「セクシャルマイノリティーの人はかわいそう」とか、「つらい思いをしている」という決めつけのようなことを聞いて、ストレートなら幸せという区切り方に疑問を抱きました。最初は、その固定概念を崩すというか、違う視点を持っていただくきっかけになるようなものを書きたいと思って書き始めました。

――特にこだわったシーンは?

ゲイのカップルを特殊に見られるのは嫌だなと思ったんです。ゲイのカップルが出ているだけで“LGBTもの”とか“BLもの”みたいな見え方はしてほしくなかったので、男女のカップルと変わりないように、やりとりを書くよう気をつけました。

――キャスティングについてはいかがですか?

環役は複雑で演じるのが難しいだろうなと思っていたのですが、誰かをイメージして書いたわけではなかったので、(堀田さんが演じると)聞いた時は全く想像がつきませんでした。でも、実際に撮影現場を見せていただいたら、想像をはるかに超えて、完全に環だったんですよ。ベストマッチのキャスティングだと思います。他の家族も、皆さんイメージ以上でうれしかったです。

――堀田さんのどういうところが“完全に環”だと感じたのですか?

環は一言ではとても表せないキャラクターで、何か内に深いものを抱えているけれども、それがネガティブなものではなくて、人としての魅力につながっているというイメージでした。どう表現するのだろうと思っていた時に堀田さんの演技を見て、お母さんとのやりとりで言い返すところとか、ちょっとバカにして笑うところとか、全てが嫌みじゃなく魅力で、「この人はちゃんとした思いがあって、こういう態度を取っているんだな」と感じられました。

――出演者の方々とはお話されましたか?

堀田さんは、台本を読んで「他の人にこの役はやってほしくなくて、絶対自分がやりたいと思った」という風に言っていただけたので、すごくうれしかったです。細田(善彦)さんと猪塚(健太)さんはペアリングをずっとつけたままで、本物のカップルのように見えて、すごくいい空気だなと思いました。

――撮影現場のセットなどは、ご自身の想像と比べていかがでしたか?

江島家のおうちでの撮影に立ち会わせていただいたのですが、自分の頭の中をトレースしたように、ギャップもなくそのまま再現していただけて感動しました。

■「同年代の方々とご一緒する機会がいただけたら」

――今後、書きたいテーマは?

今回はセクシャルマイノリティーの方が出てきますが、今後は貧困で困っている人たちなど、マイノリティーの方々をピックアップして書きたいなと思っています。

――今後、作品に出演してほしい俳優の方は?

今回出ていただく斎藤工さんは同い年なのですが、他にも柴咲コウさん、高橋一生さんなど、一視聴者として魅力的だなと感じていた同年代の方々とご一緒する機会がいただけたら、すごく幸せです。

――脚本を書くのは楽しいですか?

何にもつらくないです。一気に書くので手が痛くなるくらいです(笑)。

――最後に、脚本家を目指す方に向けてメッセージをお願いします。

ヤングシナリオ大賞の傾向がこうだからとかではなく、書きたいものを書いた方がいいんじゃないかなと思います。自分が楽しいと思って書いたものが一番いいものに仕上がるはずです。

※現在、「第33回ヤングシナリオ大賞」のシナリオを募集中(3月末日締切)。応募要項などは公式HPまで。

また、CSフジテレビTWOでは3月14日(日)より、「ヤングシナリオ大賞」の過去作品を一挙に放送。「逃げるは恥だが役に立つ」「MIU404」(TBS系)を手掛けた、第22回の大賞受賞者・野木亜紀子のデビュー作のほか、これからを担う脚本家たちの作品を見ることができる。

■「サロガシー」あらすじ

建設士として現場で働く独身の江島環(堀田真由)は、同性愛者である兄・江島聡(細田善彦)のために、代理母出産(=サロガシー)することを決意。妊娠4カ月を過ぎた頃、事後報告として両親に妊娠の事実を告げる。「お兄ちゃんの子」だと言う環に両親は取り乱し、父・忠(井上肇)は聡に殴りかかる。そこで初めて聡は「俺はゲイだ!」と告白、環は兄のパートナー・水野圭人(猪塚健太)の精子と自分の卵子で、二人の子供を代理母出産するのだと説明する。幼い頃から兄ばかりかわいがり、環に過剰なほどの嫌悪感を見せてきた母・彰子(宮田早苗)は理解できないと詰め寄り、環の反発心はますます強まるのだった。

兄妹は、兄の元彼女・西岡麻友(松本若菜)が医師として勤める産婦人科に二人で通う。最初、麻友は元カレに「妹が俺の彼氏の子を妊娠した」と言われ戸惑ったものの、その生き方に理解を示し二人を応援する。しかし母子手帳の“お母さんの名前”欄はずっと空白のまま。一方、聡は産まれた子供を引き渡す時の妹の心理的負担を考え、環の母性本能の目覚めを心配していた。

仕事を続ける環。会社の先輩・神谷晃(斎藤工)を中心とした男社会と対立し悔しい思いをすることもあるが、同僚の野池幸四郎(田村健太郎)はそんな環の良き理解者として見守っていた。妊娠9カ月を迎えた頃、環は切迫早産で倒れ緊急入院してしまう。