松坂桃李演じるスーパー店員の桃地のぞむが恋した漫画家の蟹釜ジョーこと唯月巴(ゆいづき・ともえ)(麻生久美子)の魂が、飛行機事故のショックで、さえない清掃員の田中マサオ(井浦新)に憑依してしまうという衝撃の入れ替わりラブコメディー「あのときキスしておけば」(毎週金夜11:15-0:15ほか、テレビ朝日系)。

これまで、桃地は、巴の魂が宿った田中マサオ=通称“オジ巴”と、漫画「SEIKAの空」の連載存続をかけて奮闘してきたが、巴の元夫で「週刊少年マキシマム」副編集長の高見沢(三浦翔平)が2人の間に割って入ってきたことで、いろいろややこしいことに。しかも時折、オジ巴が田中マサオに戻ってしまう瞬間も訪れ、桃地と巴の関係も漫画の存続も危うくなってきた。6月4日放送の第7話では高見沢だけでなく、編集部の面々もオジ巴の存在を信じ、「SEIKAの空」を完結させるために動き出していく。

また、劇中に登場する蟹釜ジョーの漫画「SEIKAの空」が実写版ドラマとしてTELASAで配信中。そのスピンオフで主人公を演じる藤枝喜輝は、この6月に芸能生活1周年を迎えたばかりのフレッシュな俳優。松坂、井浦、三浦など大先輩の多いドラマ現場での裏話や、「あのキス」の今後の見どころを聞いた。

――まず、「あのキス」で演じる木之崎について聞かせてください。

木之崎は蟹釜ジョー先生の担当編集ですが、序盤では高見沢さんは蟹釜先生と交際していた過去があるので、高見沢さんが担当すればいいのにと思っていたんですよね。でも、木之崎は蟹釜先生の作品に憧れて漫画の編集者を目指したという背景もあるので、頼りないながらも、回を増すごとに編集者としての自覚が芽生えていく姿を意識して演じました。

――木之崎は第5話で高見沢の「先生は生きている」という発言の真相を確かめるために巴宅付近で張り込みをしましたが、その際の動きがユニークでした。あれはどんな演出だったのですか?

撮影前に監督から「『踊る大捜査線』を見てきてほしい」と言われて、見てから撮影に行ったのですが、衣装もミリタリーコートだったんです。せっかくだから桃地を追う時のステップも面白くやってみようとなり、隠れ方やコートをフワッとさせる動きなども「踊る大捜査線」を参考にしました。

■好きなシーンは「お母さんとの感動の再会の場面」
――そうだったんですね。これまででお好きなシーンは?

たくさんあるのですが、第3話で桃地とオジ巴が巴さんのお母さん(岸本加世子)に会いに行くシーンです。お母さんとの感動の再会の場面だったんですけど、そこでの皆さんのお芝居がすごく好きで。井浦さんと麻生さんは2人で一つの役を演じているわけですけど、違いが一つもないんですよね。

このシーンに僕の出番はないんですけど、撮影を見学に行かせていただいて、モニター越しに見ていても、井浦さんが演じているのに麻生さんが見えました。そんな井浦さんのお芝居に心を打たれましたし、岸本さんの受け止めるお芝居もすごいなと思いました。そして、その2人を見ている松坂さんの表情もリアリティがあって、すごく好きでした。

――現場での井浦さんの様子はいかがでしたか?

井浦さんはカメラが回っていなくてもまるで麻生さんがそこにいるような雰囲気を醸し出していて、首の動かし方とかしぐさがオジ巴なんです。カメラが回っていないところから役作りが始まっているんだなと思って、とても勉強になりました。

――松坂さんを見ていて、学んだことは?

松坂さんはお芝居はもちろんですけど、現場でのたたずまいがすごいんです。例えば、スタッフさんが重い荷物を持っていると、「大丈夫ですか?」と声をかけたり。自分のお芝居に集中したいのではないかと思うんですけど、視野が広くて、謙虚な松坂さんに憧れを感じましたし、僕もそういう人になりたいなと思いました。

■木之崎は純粋で何事にも影響されやすい人
――「あのキス」の方では、どんな雰囲気だったんですか?

僕は三浦さんと同じシーンが多かったのですが、お芝居のアドバイスをたくさんいただきました。。例えば、「相手が言ったことに対して、もう少しリアクションをとりながらセリフを言ったほうがいいよ」とか、第7話でのバーのシーンでは高見沢が泣き喚くので、「同伴者として周囲のお客さんに謝るような芝居も入れてみたらどう?」とか、僕にはなかった発想をたくさんいただいて、ありがたかったです。
――あのシーンで木之崎が言う、「高見沢さんていつもカッコつけてて、気持ちなって思うんですけど」というセリフには笑いました。

木之崎としては、悪意はなくて自然とポロっと出てしまった言葉だったと思います(笑)。本当に木之崎って純粋で何事にも影響されやすい人で、一生懸命なんですけど天然っぽさもあって。そういうところがいいなと思っています。

――6月18日(金)にいよいよ最終話が放送されます。藤枝さんはどんなところが見どころだと思いますか?

やっぱり、最終的に、巴の魂がどこにいってしまうのかが見どころですよね。木之崎としては、蟹釜先生は自分の担当だし、高見沢さんの気持ちを考えると、先生には帰ってきてほしい。でも桃地や田中マサオさんの家族の気持ちもあるし‥。それぞれがこの現実をどう受け止めていくのか、注目してみていただきたいです。

取材・文=及川静