“朝ドラ”こと連続テレビ小説「おかえりモネ」(毎週月〜土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月〜金曜の振り返り)の第5週「勉強はじめました」は主人公・モネこと百音(清原果耶)がいよいよ気象予報士になるための勉強をはじめた。勉強の手伝いをしてくれるのが診療所の医師・菅波(坂口健太郎)。やや天然ボケっぽい百音とツンデレ菅波のバランスが良くTwitterでは「菅波先生」がトレンド入りした日があり、“胸キュン”した視聴者も多いよう。今回は、菅波役・坂口健太郎の魅力をフリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)



■雑談から誕生日を割り出すスキルを発揮する菅波

故郷に帰ってやりたいことを発見した百音。登米に戻るバスで、登米の診療所の医師・菅波と偶然乗り合わせる。百音が気象予報士の試験勉強をしていることを知った菅波は百音の基礎知識の乏しさに、まず漫画や絵本からはじめたほうがいいと若干失礼なことを言うが、悪い人では決してなくて、良かれと思っての助言であった。

菅波は登場したばかりの頃、百音に何かときつく当たっていた。「あなたのおかげで助かりましたっていうあの言葉は麻薬です」にはじまって「ちゃんとプロになってください」とか「(正式採用になっても)それでまだ何か見つけたいとか ここの人たちに失礼です」「そもそも何も見つかってないのに 父親に啖呵切るとか僕にはできない 甘えてますよ」などなど… (第10話より)。

よっぽど気難しい人なのかなと思ったが、じょじょに優しくなってきた。百音の勉強を手伝いはじめ、誕生日プレゼントとして参考書を贈るほどの優しさを見せる。

百音が雑談でした、超大型台風の日かつ満月のころに生まれたという情報から誕生日を割り出すことはちょっと行き過ぎな感じもしなくはないが、探求心旺盛な人物なのであろう。百音はプレゼントを嬉しく感じているので無問題である。

第25話では、ふたりがソファの隣に座って肩が触れ合ったことで「熱伝導」を学ぶ場面がある。ソファに並んだふたりがお似合いだった。

■「とと姉ちゃん」のときは悲恋のお相手だったが…

ツンデレな菅波役・坂口健太郎は29歳。朝ドラデビューは「とと姉ちゃん」(2016年度前期)で主人公・常子(高畑充希)の哀しい恋の相手役だった。

常子のモデル・名編集者の大橋鎭子は生涯独身だったが、たとえ記録に残っていなくても恋愛経験はあったに違いないという推測と、やっぱり朝ドラには恋愛も必須と制作サイドが考えて星野というオリジナルキャラが作られた。

丸メガネの似合う星野は植物の研究に余念のない大学生。堅物だけどよく言えば実直な好青年。だが家の都合で常子とお別れすることになる。ドラマの後半戦で再び登場した時は、二人の子持ちになっていて、常子はどうするのか…と視聴者をドキドキさせた。

この星野のことがあるので「おかえりモネ」では今度こそヒロインと…と願う。

キャラ的には勉強熱心で融通が効かないところは星野と菅波は若干似ているが、演じている坂口自身はNHKドラマ・ガイド「とと姉ちゃん」Part1の坂口のインタビューでは「男の子って何かに凝ったりするものですが、僕はあまりのめり込まないタイプ」と語っていて、星野や菅波のように植物学や医学など学問一直線というタイプではないようである。

■クールで知的な役が似合う坂口健太郎

坂口健太郎は2010年、モデルとして活動を開始した。人気者の登竜門・MEN’S NON-NOの専属モデルとして活躍し2014年に俳優デビュー。翌年「とと姉ちゃん」のヒロインの相手役に大抜擢された。連ドラ初主演作「シグナル 長期未解決事件捜査班」は今年(2021年)映画化もされた。

坂口が演じる役にクールで知的な役が多いのは、自身の趣味である読書好きキャラが個性のひとつになっていたからか。一方で学生時代はバレー部で活躍していた面もある。

モニターやスクリーン越しに見るとひょろりとして見えるが、取材で本人を見るといい感じに筋肉がついて、画面越しより大きく見える(実際身長183センチなので大きい)。

ぎゅんと全身を伸ばして跳躍し腕をぶんっと振って威力あるスパイクを打ち込んでくれそうな、鍛えた背筋や肩甲骨まわりの筋肉をうまいこと服で隠して華奢に見えるようにしているところを見ると、いい意味で化けるのが巧いのだろう。

バレー選手特有のやや前かがみ気味な姿勢(相手の攻撃を前かがみ姿勢で待機している)は勉強家の役にも合っている。

探究心旺盛な雰囲気の役がぴったりで、舞台でチェーホフの「かもめ」のトレープレフを演じたときも、ハムレットのように悩む若き小説家の姿が実に似合っていた。

言葉の意味がよくわかるしゃべり方だが、声がソフトで何を話してもきつ過ぎないところもいい。「おかえりモネ」第24回の「9月うまれでしょ」という言い方などもちょっと甘さがあってきゅんとさせる。

百音の恋の相手候補としては、幼なじみの亮(永瀬廉)との線もありそうでなさそうで気になるけれど、第5週の勉強シーンを見る限りは菅波との相性も良さそう。まだドラマははじまったばかり。百音と菅波の関係をじっくり楽しみたい。