片桐はいりが主演を務めるドラマ「東京放置食堂」(毎週水曜深夜1:10-1:40、テレビ東京ほか)が放送中。同作は、東京・大島を舞台に、島で育まれる人間模様を島グルメとともに描く人情味あふれるドラマ。WEBザテレビジョンでは、主人公の元裁判官・日出子を演じる片桐にインタビューし、オファーが来た時の感想や、疲れたときのリフレッシュ方法などを聞いた。

■オファーが来た時は「何かの間違いかと」

――今作のオファーが来た時の感想をお聞かせください。

資料を頂いた時に主演という言葉にびっくりして、何かの間違いかと思いました。大島も、江東区の大島だと思って、辺ぴな所を舞台にやるんだなと思っていたら、伊豆の大島でさらに驚きました。

――出演の決め手は何でしたか?

50代の女性がメインで活躍するお話はなかなか頂くことがないので新鮮でした。映画やお買い物に行っても、40代や50代の女性が多いと感じる中で、そんな女性がメインのお話がないことに疑問を感じていました。

私がやらなくてもいいんだろうけど、こういうところでやらないと新しいことが起こらないなという気持ちもありました。生意気ですけど(笑)。でも、私は男性やきれいで若い女性が活躍するのではなく、同世代の女性が大活躍したり、七転八倒しているところをドラマや映画で見たかったので出演を決めました。

――台本を受け、役作りについてどういうアプローチをされましたか?

偉そうに話す人だと面白くないと思ったので、台本に抜けを作らせてもらえませんかと提案しました。説教の内容というよりは、説教する人を見る面白さがあると思います。なので、説教する内容に感動するというよりは、「なんだこいつ?こんなこと言っちゃって」と思ってみていただけると面白いと思います。

――大島のロケで印象に残っていることは?

自転車に乗っている所は本当に気持ちよくて、走りたい所がたくさんあるとてもすてきな所でした。今はご時世ですから車通りも少なくて、落ち着いていて魅力的でした。東京とは思えないくらい大自然がある原始的な島でした。

国立公園もあるので整備はされているんですが、標識やガードレールも少なくて、見たことのない日本の景色でした。

――今作に限らず、役を演じる上で大切にしていることをお聞かせください。

私が一番大事にしていることは「この人って変だよね」って思えるかどうか。どんな役でも私が笑えるかを大事にしています。「本当にあなたって面白いね」と私が思えないと演じられないので、そういう部分を作るように努力しているのかもしれません。

■日出子との共通点は?

――日出子との共通点をお聞かせください。

今回の撮影で気付いたのですが、役作りをする上でその人の弱点や欠点を見つけることが大事だと感じました。日出子は裁判官で私の想像を超える大変なお仕事だと思います。そんな人を演じるのは私にとっては雲をつかむような話だったので、実は魚が触れないとか、虫が嫌いとか、弱点を見つけていくことで共感を持ちました。

「正義の味方でもないのにお説教をするような性格って、どんな人なんだろう?」と考えました。その時に、寅さん(※「男はつらいよ」シリーズの主人公・車寅次郎)って恋愛経験が豊富ではないのに恋愛の話をうまくするよねと思い出し、説教やくさやを出すシーンは寅さんになった気持ちで演じています。

――共演している工藤綾乃さんの印象をお聞かせください。

工藤さんが14歳の時に映画でご一緒させていただいたので、大きくなったなと思ったのが最初の印象でした。今の印象としては、舞台になっている大島に似ているなと思います。肝が据わっていて何事にも動じず、一緒に演じる時も程よい緊張感があって居心地がいいです。

――主演を務める上で、撮影現場で心掛けていることはありますか?

演劇とかで座長を務める時は座員のことを覚えたり、健康を気遣ったりします。ドラマは規模が大きいので、なかなか難しいのですが、スタッフの方も個人として関わろうと思って接しています。なんだか偉そうですけど(笑)。照明チーム、衣装チームとか役割で覚えるのではなく、「海が好きな田村さん」とかそういうふうに覚えています。その方が私も現場にいて楽しいです。

――くさやのように“くさいけど、おいしい”物事を教えてください。

コロナの関係で時間がたくさんできて、今までなんで一生懸命に走っていたんだろうと思うことが多くなりました。今までの私は、一日家から出ない日があると、「なんで一日を無駄にしたんだろう。自分にとって何も収穫がない一日を過ごしてしまった」と悔やんだり、腐っていました。でも、今はそんな“ダメな時間”がとても大事だと気付きました。今まで無駄だと思っていた時間がこんなにも大事で、その時間から発酵して生まれるものがとても豊かだと感じています。

――日出子は人を裁くことに疲れて大島へやってきましたが、片桐さんは疲れたときにどんなことをしてリフレッシュしますか?

自転車に乗ることですね。去年、自粛期間が始まった時に電車に乗れないと思って自転車を買いました。その自転車に乗って走っていると、風と共に何かを吹き飛ばしてくれるみたいでストレス解消になります。