コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、えすとえむさんによる「いいね!光源氏くん」。同作は2020年・2021年に千葉雄大主演でドラマ化もされており、SNSでは「癒しのドラマ」と評判を呼んだ。今回は作者のえすとえむさんに、創作の背景やドラマ化について話を聞いた。

■イケメン短歌ツイッタラー・光源氏くんの誕生!

ある日、27歳のOL・藤原沙織が部屋でくつろいでいると、突然目の前に平安装束のイケメンが現れる。コスプレ不審者だと思い焦った沙織は金属バットで殴ってしまうが、そのせいでトラブルに発展することを恐れ、しばらく自宅で面倒を見ることに。

どうやら平安時代からタイムスリップしてきた光源氏だというその男は、服を買いに街中に出ればイケメンすぎて二度見され、抹茶フラペチーノを飲めばその美味しさに心打たれて和歌を詠む。感動するとすぐ和歌を詠んでしまう光源氏に、沙織は「その短歌ツイッターとかにあげてみたら?」とアドバイスする。すると、いいねやフォロワー数がみるみる増加していき、ちょっとした有名人になる…という展開だ。そんな、慣れない現代の文化に戸惑いながらも優雅に暮らす光源氏と、振り回されつつもどこか楽しげな沙織の毎日が描かれる。

この展開に読者からは「めちゃくちゃシュール」「ジワジワ笑える」「光くん、優雅すぎる…!」「イケメンはいつの時代も正義!」などの感想が寄せられているほか、2021年5月に連載が終了すると、作品の完結を惜しむ声がSNS上で多く見られた。

今回は、作者のえすとえむさんにお話を伺った。

■「映像化としてパーフェクト、それ以上のものだったと思います」

――この作品はどのようにして生まれましたか?

担当編集の「えむさん、源氏物語でなんか描きませんか?」の一言がきっかけでした。彼女は私の絵柄で描く光源氏が見てみたいと。

「源氏物語」は、中学の古典の授業に出てきた際に興味を持ち、当時の国語担当の先生に大和和紀先生の「あさきゆめみし」を紹介されたことをきっかけに、どっぷりとその世界にハマりました。十二単や直衣もその頃描いていたので、抵抗なく「じゃあやりますか」という流れに。その際設定をどうするかという話の中で、漫画らしく(?)タイムスリップがいいなという話になりました。

――光源氏が現代にタイムスリップするという設定ですが、この作品における光源氏というキャラクターを描くときに気をつけていたことはありますか?

光源氏の性格を、あくまで須磨流れ時点でのイメージで描くこと、単なるプレイボーイとして描かないことを気をつけました。強引なところもありますがどこかふわふわしていて突然和歌を詠む、それ以外はあまり原作を強く意識せずにシンプルな光源氏像にしようと思いました。

――描いていて楽しかったシーンやお気に入りの場面などはありますか?理由とあわせて教えてください。

光くん登場シーンの簾をくぐるシーンです。「ドラマチックにアホらしく」を意識して描いていたので描きながら「なんだこれは」と自分でツッコミを入れてしまいました。

そしてもう一つ、現代へ来た光くんの記念すべき一首目、抹茶フラペチーノとの出会いのシーンです。短歌を読む際のトリップシーンをその後の軸にすることが決まったので。

――同作は2020年・2021年にドラマ化されました。ドラマをご覧になった感想を教えてください。

映像化としてパーフェクト、それ以上のものだったと思います。現場の方々が原作の要素をとても大切にしてくださったおかげで、ドラマオリジナルエピソードも含めて本当に楽しめました。

千葉さんは当初「かわいすぎるかな?」という印象だったのですが、やんごとない育ちの高貴な雰囲気を纏いつつおとぼけ炸裂の光くんというキャラクターにぴったりで、私の描いたイメージ以上に光源氏だったと思います。沙織役・伊藤沙莉さんのツッコミ芸にも唸らされました。とにかくセリフの間と声色が最高で「そうそうそう!」と見たかった沙織像に興奮しっぱなしでした。そして表情やセリフひとつで視聴者をぐっと共感させるお芝居の力、出演者のみなさん見事でした。

――同作は2021年5月に完結を迎え、さまざまな反響があったかと思います。特に印象に残っている読者からの反響があれば教えてください。

完結に関しては「もっと読みたい」「きれいに完結した」その両方の反応をいただけたことがよかったです。彼らの人生が穏やかにつづいていくことを感じていただけたかなと。ドラマ以降、親子で読んでくださっている方やその中で会話の種としていただいているお声があったこともとてもうれしかったです。源氏物語ファンの方が楽しんで読んでくださったりしていたことも「さすが千年に渡り読み継がれ様々なメディアミックスをされてきた作品のファンの方は懐が深いな」と思いました。