コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットな漫画情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、茶々さんの「赤ちゃんに転生した話」をご紹介。“転生もの”と呼ばれるジャンルがあるが、これはなんらかの事情で死んでしまった主人公が元の記憶を持ったまま転生、前世の記憶や経験を生かして新しい生で活躍するというものだ。「赤ちゃんに転生した話」も主人公は過労で死んでしまうのだが、それを哀れに思った女神が転生させてくれる…と、ここまでは“転生ものあるある”な設定。しかし、そこから先が一味違った。“転生もの”では、主人公はある程度の年齢から物語がスタートすることが多いが、「赤ちゃんに転生した話」ではまさに生まれるところからスタート!そして主人公は想像以上に赤ちゃんには制限が多くて大変なことに気づいていく。赤ちゃんの本能や生態を生かした話作りで、子育て世代の心にヒット。第1話はTwitterで2.6万いいね(2022年6月時点)を記録した。自身も一児の母である茶々さんにこの話を描いたきっかけや、漫画に込めた思いを聞いた。


■育児への不安解消の一助となるべく誕生した漫画
趣味で漫画やイラストを描いてきた茶々さん。もともとは和風ファンタジーの世界を描いていたそうで、「赤ちゃんに転生した話」は新しいジャンルに挑戦したことになる。

「自身の子育ての中で得た知識をどうにかおもしろく、わかりやすく共有できないかと思って描き始めました」

茶々さんは2020年に長女を出産。この話には自身の体験が反映されているのだろうか?

「意図的に自分の経験は反映しないようにしています。私の子供は娘1人だけなので、私の話を反映してしまうと、この漫画を読んでいる方々が感情移入できなくなると考えたからです。この話はエッセイではなくフィクションなので、できるだけ参考者や医学書に忠実になるようエピソードを作っています」とのこと。

作中にはモロー反射、新生児微笑、非対称性緊張性顎反射など、赤ちゃんの本能を示した用語も出てくるが、これら赤ちゃんの本能とストーリーのマッチ具合が光っている。その丁寧な描写は医療職で働く茶々さんならではなのかもしれない。しかし、小さな子供がいる状態での創作はなかなか過酷なようだ。

「16時に退勤、17時に保育園のお迎え、食事やお風呂をすませて20時に娘と就寝。そして私だけ朝4時に起きて漫画を描いています。娘は6時に起きてくるので、大体毎日2時間ずつ時間を確保している状況ですね」

そうした状況でも話を描き続けられるのは読者からの声が大きいんだそう。

「『赤ちゃんに転生した話』の目的は2つあります。1つは育児に携わる方々の不安解消の一助となること、もう1つは“育児あるある”を盛り込んで共感し楽しんでいただくことです。なので、この漫画を通じて知識を得たことで日々の子育ての辛さや不安が少しでも軽くなったという声をいただいた時がとてもうれしいです。子育て経験のない方にも楽しんで読んでいるというメッセージをもらうのですが、今後もおもしろい漫画を描こう!というモチベーションになっています」


■物語は主人公が1歳になったら完結予定。主人公の過去は明かされる?
主人公は元々成人男性で、職業医薬情報担当者、通称MRとしてかなり忙しく働いてきたようだ。そこで彼に辛い対応をとっていたのがかやこ主任。転生したことで縁は切れたのかと思いきや…父方の祖母として登場!まだかやこ主任は物語に深く関わってきていないが、今後主人公の過去が赤ちゃんとなった彼の成長にどの程度関わってくるのか気になるところだ。

「主人公の元の名前は撫倉和史(なでくら かずふみ)といいます。この話の中での転生は罪や罰ではなく、リィンカーネーション(転生して魂をより成長させる)の考えに近いと思います。そのため、この思想を広めた竹倉史人や、カーネーション(和蘭撫子)に因んで名付けました。今後、彼の成長には過去の話が必要不可欠なので、ゆっくり掘り進めて描いていきたいと思っています」

赤ちゃんの成長に合わせて進行している本作だが、茶々さんはTwitterで「だらだら続くと見る人も疲れてしまうので、この話は赤ちゃんが1歳と迎えると同時に最終回を迎えます」と宣言。今後の展開は決まっているのだろうか?

「おおまかな流れと月齢に合わせたネタは既にできていますが、途中で時事ネタや、注意喚起目的の小児の怪我エピソードは突発的に入れています。怪我のエピソードは日本小児学会が発表している『Injury Alert(傷害速報)』を参考にしています」

Twitterで公開中の第22話ではターニケット症候群について紹介。抜け落ちた髪の毛や玩具が手指などに巻き付くことで圧迫、循環障害を起こす外傷をわかりやすく解説している。1歳までというとあっという間に終わってしまうような気がするが、まだまだ先が楽しめそうだ。また、「毎日が発見ネット」では小児科医監修のもと加筆した上での連載が開始。毎週水曜に配信予定なので、こちらも期待したい。


取材・文=西連寺くらら