近年、社会的にも高い関心が寄せられる発達障害。金曜ナイトドラマ「リエゾン−こどものこころ診療所−」(毎週金曜夜11:15-0:15ほか、テレビ朝日系)は、自らも発達障害がある医師が、発達障害の子供とその家族に向き合う医療ヒューマンドラマだ。山崎育三郎が演じるのは、ASD(自閉スペクトラム症)の児童精神科医・佐山卓。松本穂香は、ADHD(注意欠如・多動症)の研修医・遠野志保に扮(ふん)する。

■全ての登場人物に寄り添うようなドラマ(松本)

山崎:僕自身、子供がいる環境で日々生活しているので共感できるところがたくさんあります。原作を読んだときも、普段生活している中で感じた経験のあることが描かれていて、グッと入り込むような気持ちになりました。

松本:誰か1人にフィーチャーするのではなくて、全ての登場人物に寄り添うようなドラマですよね。

山崎:うん。人に寄り添うことが丁寧に描かれていて、脚本を読み終わったときに温かい気持ちになれた。こんな作品がやりたかったと思える脚本に巡り合えた瞬間でしたね。

松本:繊細で優しくて。このドラマに携わらせてもらえて良かったなと思える脚本が毎回届くので、読むたびに私も頑張ろうっていう気持ちになります。

■ルーティンは作らないようにしています(山崎)

佐山には、毎朝の体操など決まったルーティンがある。俳優もコンディションづくりが大事な仕事。いろいろと独自のルーティンがありそうだが…。

山崎:僕はルーティンを作らないようにしているんですよ。昔はよく舞台の本番前にいろいろとルーティンを決めていましたが、逆にその通りにできないと変に緊張したりしてうまくいかないことがあって。

松本:ちょっと分かるかもしれません。私も舞台をやっていたときに、ハチミツをなめるとかストレッチをするとか、日に日にルーティンが増えちゃって。これ、やってる意味あるのかな? ってなりました(笑)。

山崎:だよね。あまりルーティンに縛られない方がいいのかなと。だから、日々のルーティンは毎朝コーヒーを飲むぐらいかな(笑)。

松本:私はしっかりお風呂に入るようにしています。そこで台本を読んだり、歌を歌ったり。

山崎:そうなの?

松本:これが結構ストレス発散になるんです。

■逃げていいんじゃないかなと思います(山崎)

発達障害のある人たちには、それぞれ不得意なことがある。劇中では、そうした特性を“凸凹(でこぼこ)”という言葉で表現し、一人一人の生きづらさに寄り添っていく。2人は苦手なことにどう向き合っているのだろうか。

山崎:苦手なことの種類にもよりますけど、僕は別に逃げていいんじゃないかなと思っています。無理に苦手なことをやる必要はない。たとえ知らないことやできないことがあったとしても、それをどうやったら自分が面白がってやれるかを考えた方がいいと思うんですよね。

松本:私は人に相談するようにしています。元々一人で抱え込んでしまうタイプ。でも、一人でいくら考えても苦手なことって解決しないし、あんまりいい方向に物事は進まないんですよね。だから、どんどん周りに相談して、なるべく人を頼るように心掛けています。

取材・文=横川良明