中谷美紀主演の連続ドラマW「ギバーテイカー」(毎週日曜夜10:00、WOWOWプライムほか)の現場レポート、特別映像「菊池風磨編」が解禁された。同作は、すえのぶけいこの人気コミック「ライフ2 ギバーテイカー」をドラマ化。娘を殺された刑事・倉澤樹と、その娘を殺した猟奇殺人犯・貴志ルオトの死闘を描いた本格クライムサスペンスだ。

■「ギバーテイカー」あらすじ

元小学校教諭の刑事である倉澤樹(中谷美紀)は12年前、当時小学6年生だった教え子・貴志ルオト(菊池風磨)に、愛する娘を惨殺された過去を持つ。事件当時12歳という犯人の幼さも相まって、この猟奇殺人事件は日本中に大きな衝撃をもたらした。

倉澤は被害者遺族として絶望を味わい、その経験から生まれた“自分と同じように苦しむ人を一人でも多く救いたい”という思いのもと、刑事になった。

その強い信念に突き動かされ、事件解決に奔走する日々を送ること12年、倉澤は娘の命日を目前にルオトが医療少年院を退院することを知る。そして、ルオトが「完全に更生した」という話を聞くも、被害者遺族として疑心を抱かずにはいられない彼女のもとに、ある日不審なメッセージが届く。

「あなたの大事なものを、もう一度奪います」

それは、再び日本中を震撼させる新たな事件の始まりだった。

■鈴木監督、菊池の演技に「いい表情をするね」

現場レポートを収めたこの日、撮影が行われたのはルオトが住み込みで働くベーカリー「幸せの穂」の自室で、一人の時間を過ごすシーン。美しい容姿からは計り知れぬ狂気を一気に解放させるルオトの様を、菊池は見事に表現。声のトーン、口角の上げ方、歩みや瞬きの速度など、些細な表現にも気を配り、一つ一つの動きから狂気を感じさせ、静かさの中で、見る者に緊張を与えていく。

中でも壁に張り巡らされた倉澤の写真をいとおしそうに眺めながら、鼻歌を静かに響かせる場面で見せた名演には、メガホンを取る鈴木も「いい表情をするね」とうれしそうに称賛の言葉を口にする。瞳に冷たい光を宿らせ「樹先生、もうすぐだね。もうすぐ会える」と倉澤との再会を心待ちにする菊池の姿は、ルオトそのもの。菊池がルオトの得体の知れなさを見事に表現し、狂気を次第に爆発させていく姿が捉えられた自室でのシーンは、彼の高い演技力が発揮された見どころのシーンの一つとして完成した。

菊池は撮影中、「監督の撮影のスピードがとにかく速くて、日々試されているなと感じています(笑)。いい意味でスリリングな挑戦が続いている感覚があって、鍛えられている」と緊張感もありながら、「監督が始めの段階から『ハマっているね』と言ってくださったので、安心できましたし、うれしかったです」と鈴木監督の言葉に励まされ、役者として充実な日々を過ごしたことを明かしていた。

■ルオト役の性質をすべて兼ね備えた唯一無二が“菊池風磨”

主人公の倉澤と並んで、重要となったのは猟奇殺人犯・貴志ルオトのキャスティングだ。これまでもヴィランキャラクターたちの活躍はさまざまなサスペンス作品を成功へと導いてきた。本作において、そんな重要なポジションを担うルオトは“天使のような美少年”といわれた少年期の面影を残した、独特な雰囲気を身にまとう人物。医療少年院を退院し更生したとされているが、美しい容姿からは計り知れぬ“狂気”を宿し、異常な価値観、あることをきっかけに抱いた倉澤への執着心、精神的な幼さは、親しい友人でもあった倉澤の娘を惨殺した12年前から変わらずだ。

ルオトが「殺人に快楽を感じる=幸せを得られる」との思想を強く抱くようになった過程や、倉澤へ異常な執着を持つ理由、そして彼の“家族”にまつわるバックボーンなど、物語が進むにつれて次第に明らかとなるが、それらすべては「悪役は悪役」として最後まで描き切るよう構築されている。

ルオト役を演じる俳優には、人をひきつけるカリスマ性と、巧みな演技力が求められ、加えて原作が漫画だけに原作ファンのイメージも絵として根強いため、キャスティングは困難を極めることとなった。そんな中、それらすべてを兼ねそろえた唯一無二の人物として、白羽の矢が立ったのが菊池風磨だ。倉澤に抱く異様なまでの執着心、容赦なく人を襲う残虐性、菊池の“見たことのない姿”に制作陣は多大な期待を抱き、圧倒的な存在感とはかなさを併せ持つドラマ版ルオトの誕生を渇望し、菊池へ熱烈なラブコールを送った。そして、菊池はその想像をはるかに超える名演を披露し、見事に期待に応えて見せた。

■中谷「(菊池の) 緩急のあるお芝居に、心を酷くえぐられた」

このキャスティングについて、鈴木監督は「原作の世界観を大事にしつつ、ドラマ版に存在するルオトとして成立させるかに関しては、菊池さんのキャスティングがすべてでした」と明かし、菊池との初対面を「独特な存在感を纏われた方だなと感じたんです。“あ、ルオトだ。間違いなく彼がルオトになってくれる”と確信しました」と振り返る。

そして、「菊池さんから醸し出される存在感に浸りたく、少し離れて見ていたくなりました。なので、あえて言葉で交わすのではなく、カットの積み重ねで彼にメッセージを送り続けることにしました」と新境地へ挑んだ菊池への演出について明かし、「カメラを通して彼を見ていると、少しずつルオトと同化していく様を感じました。見事、ルオトに憑依してくれて大感謝です」と太鼓判を押す。

また、脚本を手掛けた小峯氏は「物語終盤は魅力的なキャスト陣に触発されて生まれたシーンも多く、キャストが作品の世界観を広げてくれたと思っています」と、中谷、菊池をはじめキャスティングによって、ドラマの名場面が誕生したことを明かしている。

中谷は菊池の名演に「脚本を徹底的に読み込んで、ルオトという猟奇殺人犯の役柄を深く理解し、アンニュイな雰囲気のシーンと、たたみかけるように相手を追い詰めるようなシーンと、場面によって緩急のあるお芝居に、心を酷くえぐられました」との称賛の言葉を送り、クライマックスシーンの撮影前には「いかにルオトを生かすことができるかということが大切になるので、菊池さんが思う存分、究極の悪を演じられる撮影となるよう、私も一緒に彼の気持ちを受け止めて演じたいと思います」と気合を入れていた。

菊池は「ルオトは一手先、二手先に“何かがある”と予感させる不気味さ、奇妙さがあり、不安をあおる恐ろしいキャラクターなので、難しい部分は多いです。特に残酷なせりふやシーンに直面する時は、普通の感覚ではできないことが多く、ルオトとしては快感を得る行為であっても、“人が苦しんでいるのを楽しむ”という自分自身の引き出しにない感情をどのように表現すればいいのだろうかと悩みました。オーバー過ぎたらうそらしく見えてしまうし、かといってライトな雰囲気で演じるのも違いますし、とにかくルオトのように“当たり前に残酷なことをする”というのは本当に難しい」と思考を深め続けた役作りについて撮影中に明かした。