5月31日(水)より、堀田茜主演ドラマ「私と夫と夫の彼氏」(毎週水曜深夜3:20、テレビ東京)がスタートする。同作は、綾野綾乃による同名作を原作に、“セックスレス×不倫×BL”要素を融合させて描くヒューマンラブストーリー。既存の概念にとらわれない夫婦の形や、人を愛することについて掘り下げていく。

主人公の夫・仲道悠生役を古川雄輝が、主人公のかつての教え子で悠生の不倫相手の伊奈周平役を本田響矢が演じる。

WEBザテレビジョンでは、夫が自分を女性として愛してくれないことに悩む主人公・仲道美咲を演じる堀田にインタビューを実施。地上波連続ドラマ単独初主演の意気込みや、それぞれのキャラクターの魅力、撮影現場でのエピソードなどを聞いた。

■「歪な三角関係が繊細に描かれていくお話」

――出演が決まった際の率直なお気持ちをお聞かせください。

タイトルを聞いて、いわゆる三角関係やドロドロした不倫ものを想像される方が多いと思います。私も最初はそうだったのですが、実際はとても繊細で静かに進んでいくお話でした。

単に夫婦が別れて次に進んでいくようなシンプルなストーリーではなく、歪な三角関係が繊細に描かれていくお話なので、心情の変化を表現するのが難しそうだなと思いながら原作を読み進めていきました。

登場人物全員が愛せるキャラクターで、葛藤と戦いながらも新しい生き方に挑戦する美咲の姿勢がとてもかっこよく、そこに魅かれて、大切に表現していきたいなと思いました。

■主演としてのプレッシャーも…

――地上波連続ドラマ単独初主演ということですが、意気込みをお聞かせください。

すごくうれしかったのですが、それと同時に不安もありました。難しいテーマの作品ですし、それを主演でやると聞いて最初は戸惑いました。

もちろん頑張りたい気持ちもありましたし、主演として引っ張るというよりはみんなで作り上げていくお話なのかなと思ったので、そう考えながら自分を落ち着かせました。

最初に「みんなで話し合って作ろう」と監督にも言っていただけたので安心しましたし、現場で皆さんとお話しする時間を大切に、共演者の表情の変化や感情の変化を全部拾っていこうという気持ちで挑みました。

――監督から具体的にアドバイスされたことはありますか?

悠生や周平に対しての思いを含めて、「その時の気持ちに従って、正直にいてもらえれば大丈夫だから」と言っていただけたので、その時の美咲の気持ちを大事にしようと思って演じました。そのアドバイスはとてもありがたかったです。


■“人間らしいキャラクター”に愛らしさと共感を覚える

――それぞれのキャラクターの魅力はどんなところですか?

3人ともそうなのですが、それぞれがそれぞれのことを思いやり過ぎて、自分の気持ちを押し殺してしまうんです。我慢して周りには「大丈夫」と言ったりする。根が強いのか、弱いからこそなのか…。とても人間らしいキャラクターです。

全編通して、みんな自分の気持ちを押し殺しながらも、話す言葉はストレートなものが多く、直球で自分の気持ちをぶつけたりするシーンもあるので、そこがすてきだなと。美咲は特にそういうところがあるので、魅力的だなと思っています。

悠生は、一番人間らしいのかなと思います。周りから見れば順風満帆に見えても、妻に性的指向についてずっとうそをついて生きてきて、同性愛者だということも言えずに苦しんでいます。美咲のことも周平のことも大事にしていて、一番リアルな人柄なのかなと。

このストーリーでは全員が成長していくのですが、悠生も後半に人生のターニングポイントにぶち当たるシーンがあります。今まで我慢してきたものをぶつけるシーンなのですが、そういう場面を通じて成長する、一番人間らしく不器用な性格なのかなと思います。見ていて愛らしいです。

周平は、周りとは変わったオーラというか、周りを突き動かす力があって、人のことを真正面から好きだと言えるような潔い性格なので、美咲も悠生も周平に翻弄されてしまうのが理解できます。ピュアで真っすぐな性格で、そういうところが魅力的だなと思います。

――美咲について、共感できる部分や共通点はありますか?

恋愛に関しては、美咲は自分の気持ちを我慢して押し殺してしまうタイプだと思うのですが、そういうところが自分とは一番相反しています。私はなんでも話し合っていきたいタイプなので、演じながらもどかしく感じた部分でもあります。

でも、一見突拍子もない提案に思えるのですが、世間の目を気にせずに自分の信じた道を芯を持って提案できるところは、見習いたいなと憧れる部分でした。

■教師役も「前ほど違和感はない」

――現代文の高校教師という役どころですが、教師役を演じるにあたって参考にしたものはありますか?

昔は教師の役となると、「まだ人に何か教えられる年齢ではないのに…」と思っていたのですが、今となっては前ほど違和感はないかなと。自分の学生時代の先生たちを思い出しながら、先生の視点だとどういうふうに生徒と接していたかを想像しながら演じました。

――難しかったシーンはありますか?

自分の夫が同性愛者でその不倫相手が自分の元教え子だということを分かりながらも、美咲は別れる決断をせずに、3人の在り方を自ら作っていくシーンです。

最初に台本を読んだときにも難しいなと思っていましたが、撮影に入ってからも一番頭を悩ませるシーンでした。視聴者に違和感なく見ていただきたかったので、説得力を持たせるのが難しいところでした。

■古川雄輝は、実は天然で…

――古川雄輝さんと本田響矢さん、それぞれの印象をお聞かせください。

古川さんは、クールで寡黙なイメージがあったのですが、一番ギャップがあった人で、お話しするととても面白い方です。いろいろなことを知っていますし、ちょっと抜けている部分があったりして愛らしいなと思いました。

本田くんは、周平のキャラクターそのままというか、天真爛漫でムードメーカーであり、フレッシュで愛されキャラだなと思いました。気付いたら周りに人が集まっているような方です。

――撮影現場での裏話があれば教えてください。

古川さんが朝メイクしているときにいつもチキンを食べられているんです。周りのスタッフさんに「何味なの?」と聞かれて、ご本人は「プレーンですよ」と答えていたのですが、そのチキンが実は味付きのチキンで(笑)。

私も焼き鳥の匂いがすると思っていたので、「めちゃくちゃ味付いてるじゃん!」って(笑)。そしたら恥ずかしそうに照れ笑いをしていらして、そういう抜けている部分もあるんだなと、博識でクールなイメージとは全然違う顔が見れたのが面白かったです(笑)。

――演じる上で、3人でなにか話し合いはされましたか?

特になかったのですが、気付いたら3人の空気が出来上がっていて、それぞれのキャラクターが本当に存在すると思えました。話し合わなくてもすっと打ち解けられるオーラが2人にはあったので、とても助けられました。

■岡本玲演じる真樹とのシーンは「本当の昔からの親友だと思えた」

――撮影で印象的だったシーンや、心に残っているセリフがあれば教えてください。

印象に残っているのは、後半の友人・町田真樹(岡本玲)との喫茶店のシーンです。2人で話すシーンなのですが、本当の昔からの親友だと思えた瞬間があって。それがとても印象的な時間でした。見ている人にとっても2人の関係性が伝わればいいなと思いました。

好きなセリフはたくさんありますが、3人がもうどうしたらいいか分からなくなって壁にぶち当たってしまうところで、周平が「3人で死のうよ」「死にに行くんだよ」と言うシーンがあって。そこが印象的で、原作や台本を読んでいても好きなシーンです。

どういう死に方なのかは見ていただければわかると思うので、楽しみにしていただきたいです。

――作中では、親友・真樹の存在もキーパーソンになってきますが、堀田さん自身は、悩み事にぶつかったときどのような方法で解決しますか?

私もほとんど相談します。人からは「相談しているように見えて、自分の中で答え決まっているよね」と言われることもありますが(笑)、励まされる部分もあるし、人に話してみんなの意見を聞くことを大事にしています。

■芸能の道に進む後押しとなった一言「向いているんじゃない?」

――学生時代に印象的だった先生や思い出に残っているエピソードはありますか?

高校3年生のとき、最後の進路面談で「芸能の仕事をしたい」と言ったら、担任の先生が「向いているんじゃない?」と背中を押してくれたことです。否定せずに「いいじゃん!」と言ってくれたことがうれしくて、鮮明に覚えています。

――周平のようなポリアモリーという恋愛スタイルに触れて、ご自身の恋愛観に変化はありましたか?

分かったつもりになってはいけないのですが、作品を通して、いろいろな性的指向の方の気持ちに触れることができたのは自分にとってもいい機会でした。

今の時代、多様性やダイバーシティなどと言われていますが、同じ地球に生きている人として、肩書きや性別、年齢などに左右されてはいけないなと改めて感じています。いろいろな“好き”の気持ちがあるので、人に対して決めつけることはやめようと思いました。

■「くだらないことでも笑い合えるような結婚をしたい」

――ご自身が理想として掲げる結婚スタイルがあれば教えてください。

親友のような人と一緒にいられたらなと思います。妻であり夫であり…というよりは、一緒に人生を応援し合えるような良き理解者が一番そばにいてくれて、その人とくだらないことでも笑い合えるような結婚をしたいです。

――最後に視聴者にメッセージをお願いします。

現代のSDGsとか多様性とかLGBTQ+などを流行で終わらせずに、人生が続く限り向き合わなくてはいけない問題だと、それぞれの好きという気持ちや、その人の個性をちゃんと見るということを学べる作品だと思います。

壮大な話に聞こえてしまうかもしれませんが、見ている人も、日常において相手を大切に思う気持ちに気付くことができたり、決めつけずにその人の根本を見ようという気持ちになれるはずです。

独自の感性を持ったリアリティーのある3人が織り成すとても繊細な物語だと思うので、そんな3人の生活をのぞき見するような感覚で見てもらえたらなと思います。