高橋一生が、5月27日に都内で開催された主演映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の公開記念舞台あいさつに登壇。共演の飯豊まりえ、長尾謙杜(なにわ男子)、美波、渡辺一貴監督と共に、公開を迎えた感想や作品に登場する“この世で最も黒く邪悪な絵”にちなみ、自身の黒いなと感じる部分などを語った。なお、同イベントには木村文乃も“リモート登壇”という形でトークに参加した。

■“岸辺露伴最大の事件”の映像化

同作は、荒木の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフコミック「岸辺露伴は動かない」が原作。相手を本にして、生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊な力“ヘブンズ・ドアー”を持つ漫画家の岸辺露伴が、編集者の泉京香と共に奇怪な事件や不可思議な現象に挑む物語だ。これまで2020年12月に第1期、2021年12月に第2期、2022年12月に第3期が実写ドラマとして放送された。このほど劇場公開を迎えた今作はルーヴル美術館を舞台に、荒木にとって初のフルカラーの読切で描かれた人気エピソードにして“岸辺露伴最大の事件”の映像化となる。

5月26日に公開を迎え、高橋は「昨日公開を迎えてすごく盛況みたいでとてもうれしく思っております。これだけ期待してくださっている方たちがいらっしゃったんだなと、とても胸を熱くしております。今日の登壇に際しても9万2000人の方がご応募してくださったようです。皆さん本当にすごく熱くこの作品を支えてくださる一員なんだなと、心からうれしく思っております」と上映を待ち望んでいた多くのファンに感謝を込めた。

■高橋「『井戸の底のようだ』って…」

また、今作は“この世で最も黒く邪悪な絵”にまつわる謎に迫るというストーリーにちなんで、自身の中の「ここは黒い」と感じる部分について聞かれると、高橋は「ある時突然、現場のZ-13倉庫(ルーヴル美術館の地下にある倉庫)だったと思うんですけど、美波ちゃんに『一生さんって本当に黒いですよね』って言われて…。『井戸の底のようだ』って言われたので、『自覚しております』って言っておきました」と、撮影現場で美波に指摘されたことを明かす。

それに対し、美波が「目の中が井戸の底のようだったから…いい意味で…はい(笑)。落ちたら怖い、底なしの黒だなと思って」と説明すると、高橋は「ちょうど今僕、別の現場で稽古をしておりまして、そこでもある女優さんに『目の奥が真っ黒だ』と言われたので、もうそうなんだろうなと。『そうなんでしょうね』と言っておきました。“黒一生”だと思っていただけるといいんじゃないかなと思います」と、受け止めていた。


最後にファンに対して求められたメッセージの中で、高橋は「せっかくこの役を頂けたのであれば、はっきりとした虚構の世界で、“夢の世界“を皆さんに見ていただいて、現実に生きる力を携えていただきたいと思って3年間やってまいりました。その集大成みたいなものがこの作品には詰まっていると思います」と、岸辺露伴という役をこれまで務めてきた思いを吐露。

さらに「作品というものはすごく消費されやすくなっていて、俳優はもちろん作品も忘れ去られていくスピードがどんどん速まっているように思います。もしこの作品を楽しいとか、すてきだなと思っていただけたんだったら、作品というものも俳優というものも、スタッフワークというものももしかしたらとても儚いものなのかもしれません。それを皆さんの中でお一人お一人、作る側と見てくださる方で立場は違いますけど、大事にしていただけたらなと思っております」と願いを込めた。

そして「露伴の名前の文字になぞらえて、『露』というのは“儚いもの”、という意味らしいです。僕は俳優として儚いものと共に過ごしていきたいと思っているので、皆さんも皆さんなりにこの儚いものと共に過ごしていただきたいなと思っております。本日はどうもありがとうございました」とあらためてファンに感謝し、イベントを締めくくった。

◆取材・文・撮影=ブルータス・シーダ(STABLENT LLC)