最新出演作のアグレッシブダンスステージ「DEAR BOYS」が6月1日(土)にスタートし、7月5日(水)からは舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」にも出演する三井淳平。

これまでの経験や出演作について振り返ってもらいながら、成長を感じることや仕事に対する向き合い方、今後の出演作への意気込みについてなど、今の自身について聞いた。


■俳優を始めたのは21歳。“遅咲き”のタイプと自称

――三井さんは現在、アグレッシブダンスステージ「DEAR BOYS」の稽古の真最中だとお聞きしました。

三井:このお芝居はダンスを中心に、バスケットボールを使うシーンもあるので、今作にふさわしい表現方法を磨いている最中です。ダンスに関しては、もともとダンスボーカルグループで活動していたこともあり、ダンスに関わるお仕事に就きたいとずっと思っていたので、今こうした事を仕事にできているのはすごくうれしいです。
――ダンスはいつごろからされていたのでしょうか。

三井:大学から始めたので、18歳の頃ですね。だから特別昔からやっている訳では無いんです。今の役者のお仕事を始めたのも21歳になってからだったので、周りの方々と比べると比較的“遅咲き”のタイプなんだと思います。まだ咲いているとは思ってないですけどね(笑)。
――でも、そこから着実に経験を重ねて、ミュージカル「テニスの王子様」といった作品にも出演されていますよね。となると、遅くからダンスや役者を始める人たちへの夢や目標となると思うんです。

三井:そうだとうれしいですね。それこそ“テニミュ”でいえば、同じ学校のチームメートには、自分より8歳も年下の現役高校生がいたりしました。それもあってか僕の役柄は、マネジャー兼選手という指導者的な立ち位置だったんですよね。それは、いろんな経験を積んだからこそ務めさせていただけた役だったと思うし、これまでのすべては無駄じゃなかったんだなと。

――遅くスタートしたからこそ、焦りはありませんでしたか?

三井:う〜ん…。今も焦りがないかといったらうそになりますが、以前よりも人に見てもらえる場が増えて、少し気持ちは薄れた気がします。2年ほど前に、コロナ禍と事務所の解散が重なった闇のような時期があったので(笑)。そこからのフリーランス期間は焦りの気持ちも大きかったですが、今はやっと少し前を向けるようになってきた気がします。焦りではなく、危機感を持って仕事に向き合う事が大切なんだと思えるようになりました。

――その時期に経験したこともプラスになっていきますよね。

三井:本当にそう思います。仕事を頂けるのは当たり前じゃないということも身に染みて感じています。昔の事務所の仲間やダンスを一緒にしていた仲間も、同じ仕事を続けられている人の方が少ないので。今でもこうやって芸能の仕事に携わらせてもらって、ダンスやお芝居ができている現状は、すごく運がいいし、人に恵まれているなと思います。

――どうしても、ダンスが、お芝居がやりたいからこそ、もがいていたんですね。

三井:そうですね。自分が好きなものを仕事にできるってとてもうれしいことではあるんですが、それゆえに苦しい時期があるんです。でも、それもひっくるめて、今こうやってお仕事ができていることを幸せに思っています。

■「役柄とこれまでの人生経験がリンク」“テニミュ”を振り返って思うこと

――さて、“テニミュ”の話に戻りますが、この作品に出演したことで、どんな成長ができたと思いますか?

三井:この作品は、2.5次元舞台の登竜門のようなイメージがありますし、若手俳優が初舞台を踏んで、いろんなことを経験して…というパターンが王道だと思うんです。その点、僕はある程度年齢を重ねて、挫折や諸々の舞台経験があった上でこの作品に触れさせていただいたので、いままで経験したことをチームメンバーに共有したり、それを踏まえて引っ張っていくことが出来ました。そういう立場で作品に参加するのは初めてだったので、とてもいい経験になりました。

――チームの団結力もかなり強くなったのではないでしょうか。

三井:そう思います。先ほど話したように、役柄とこれまでの僕の人生経験がリンクして、よく作用した部分もあるんじゃないかなと思っています。その時に一緒に頑張っていた子たちが、ほかの作品に出演しているのを見ると、自分のことのようにうれしいですし、なおさら自分も頑張らなくちゃって思うんです。この関係性は、ずっと切れないと思います。

■「お母さんみたい」と言われる世話焼きの一面も

――そして、「DEAR BOYS」では、アグレッシブダンスステージと冠がつくだけあって、激しいパフォーマンスが見られるのかなと思うのですが。

三井:そうですね。ダンスでここまで物語を表現する作品ってなかなかないんじゃないかなと思います。実際にステージ上でバスケットボールが飛び交うので、臨場感があります! 原作の漫画も本当に昔から愛されている作品ですが、2023年に上演するにあたって現代版にリメイクされている部分もあったりします。もちろん、原作に対してのリスペクトがしっかりとあるので、楽しみにしていてもらえるとうれしいです。

――7月には舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」への出演も決まっています。

三井:まだビジュアル撮影しかしていないのですが、制作サイドの熱意をすごく感じました。過去に多くシリーズが上演されていることもあって今作への気合が入っていましたし、長く続く作品の歴史の一部としてちゃんといいものを作らないといけない、自分の役割を果たさないといけないなと感じました。

――お話を聞いていると、とても落ち着いているイメージがあるのですが、友達からはどんな性格だと言われますか?

三井:え〜(笑)! 実は、現場によって皆さんが抱いてくださる印象が全然違うんです。初舞台だったミュージカル「忍たま乱太郎」で共演した方から見た僕はきっと、いつまでも後輩で、最年少の“教えてやらなくちゃいけないやつ”で、今もかわいがってもらっていますし、“テニミュ”では、教える立場だったので、完璧主義のお兄ちゃんみたいな扱いをされたりして(笑)。でも、どちらも本当の自分である事には変わりません。どちらかと言えば…後者の方が素の自分に近いのかな。学生時代の友人といる時も、比較的周りの面倒を見るタイプだったので。悪い言い方をすれば、おせっかいというか…(笑)。

――ついつい、気にしちゃうんですね。お母さんみたいな。

三井:それはよく言われます! お母さんみたいって(笑)。だからこそ、今後は自分とはまったく違うイメージの役も演じてみたいですね。

撮影=山内洋枝/取材・文=吉田可奈/ヘアメイク=田中宏昌/スタイリスト=齋藤良介