放送中のドラマ「明日、私は誰かのカノジョ シーズン2」(MBS:毎週火曜深夜0:59-、TBS:毎週火曜深夜1:28-)で主演を務める茅島みずき。「シーズン2」で高級ソープランドで働く女子大学生・留奈を演じストーリーが進むにつれて、注目度も高まっている茅島。ここで、改めて彼女のこれまでの活動と軌跡を振り返ってみたいと思う。

■初めて応募したオーディションでグランプリに

「明日、私は誰かのカノジョ」は、2019年よりスマートフォン・PC向けマンガ配信サービス「サイコミ」にて連載中、『第68回小学館漫画賞』を受賞し、累計500万部を突破している同名マンガが原作。シーズン2となる今作では、高級ソープランド店で働く女子大学生の留奈(茅島)と、留奈と同じ店で働く“40代の風俗嬢”江美(入山)の生き様を描く。地上波での放送に加えディズニープラスにて配信も行われる。

茅島は2004年7月6日生まれで、出身地は長崎県。小学2年生の時にゴルフを本格的に始め、ベストスコアはなんと70という腕前だ。2017年に開催されたオーディション「アミューズ 全県全員面接オーディション2017 〜九州・沖縄編〜」では3224人の中からグランプリを獲得。初めて応募したオーディションで栄冠を勝ち取り、これがきっかけで芸能界入り。

2019年3月に開催された「東京ガールズコレクション 2019 SPRING/SUMMER」でモデルデビューし、同年4月に若手女優の登竜門と呼ばれている「ポカリスエット」のCMに抜てきされ、注目度が上昇。7月からの連続ドラマ「恋の病と野郎組」(BS日テレ)で俳優としてのキャリアもスタートさせた。

中学生の時にすでに身長170cmあり、クールな表情や雰囲気で実年齢よりも大人っぽさが感じられた。映画初出演は2020年8月に公開された吉沢亮と杉咲花W主演の「青くて痛くて脆い」。大学生の川原理沙を演じたが、撮影が行われたのは公開の1年前ということで、中学3年生で大学生の役を演じたことになる。はしゃいだりするわけではなく、少し引いた感じで物事を見る役柄は茅島の雰囲気にすごく合っている。

■“若手女優の登竜門”に次々と…

2021年には、北川景子、桐谷美玲、広瀬すずらがモデルを務めてきたファッション誌「Seventeen」の専属モデルに。同年11月に「第100回全国高校サッカー選手権大会」の第17代応援マネージャーに就任。堀北真希、新垣結衣、広瀬アリス、川口春奈、広瀬すず、永野芽郁、清原果耶など、「ポカリスエット」のCM同様、この応援マネージャーも若手女優の登竜門となっている。

その流れで言うと、2023年4月に結婚情報誌「ゼクシィ」の14代目CMガールにも起用されており、こちらも倉科カナ、広瀬すず、新木優子、吉岡里帆、佐久間由衣、井桁弘恵、白石聖、堀田真由といった女優陣が“ゼクシィガール”を務めてきた“登竜門”。この系譜を見るだけでも茅島への期待とその素質の高さが感じられる。

“俳優業”に話を戻すと、2022年に入った頃から出演作品がグンと増えている。茅島本人にとって大きな作品となったのが、主演を務めた「卒業式に、神谷詩子がいない」(日本テレビほか)と「教祖のムスメ」(MBSほか)の2作品。

「卒業式に、神谷詩子がいない」で演じた“神谷詩子”は、複雑な家庭環境や中学時代のトラウマから明るい未来を思い描けずにいる高校生。詩子のダンスがきっかけで親しくなった男女6人グループ「ファンファーレ」は、友情と失望、誰にも言えない秘密など、10代ならではの心の揺れ動きを感じながらも成長していく姿を描いた青春物語になっている。

「教祖のムスメ」は、ミステリアスで美しい女子高校生・桐谷沙羅が転校してきたのをきっかけに、学校内の闇が暴かれ始め、いじめがなくなっていく。しかし、沙羅の目的は学校内での粛清ではなく、別にあった。その沙羅を演じる茅島は、役柄とピッタリとリンクするほどのハマり様。緊迫感とリアリティーに満ちたこの物語の世界観は、恐ろしさを感じるが、目が離せなくなる魅力を持っている。前髪ぱっつんで眼光鋭い沙羅もハマり役の一つと言える。


■2022年は映画でも存在感

2022年は映画も「女子高生に殺されたい」と「サバカン SABAKAN」の2作品が公開された。「女子高生に殺されたい」では、田中圭が演じる高校教師・東山春人が受け持つクラスの生徒で、柔道に打ち込むストイックな性格の愛佳役で出演。東山が実行しようとしている完全犯罪の“登場人物”の一人という重要な役を務める。

“真面目”“真っすぐ”“不器用”“クール”“ストイック”…。茅島が演じる役柄は、それぞれタイプは違っていても、自分の信念を持っていたり、うまくコミュニケーションが取れなくても信じる道を突き進んだり、そんな応援してあげたいと思わせる役が多い。見た目のクールさとのギャップで、実は弱さや悩みを抱えている役というのもうまくハマっている。

“ハマり役”ということで言えば、NHK総合で放送された「ヒロイン誕生!ドラマチックなオンナたち」も挙げることができる。この番組は、時代のヒロインとして輝きを放ち、後世に語り継がれる伝説を作ったドラマチックな女性を取り上げるもので、2022年12月に放送された「ファッションモデル・山口小夜子」の回に茅島が出演。“クールビューティー”のイメージが重なり、伝説のモデルをうまく演じ切っていた。

2023年は役柄的に振り幅を大きくしている年。元日に放送された「相棒 season21 元日スペシャル」(テレビ朝日系)には大門寺寧々役で出演。「相棒」の元日スペシャルと言えば、各シーズンの中でも注目度の高い回。寧々は、“熟年探偵団”の一人・大門寺尚彦(斉木しげる)の孫で、大学ではミステリー研究会に所属する才女。優れた推理力と観察眼を持ち、物おじしない性格で、あの杉下右京(水谷豊)と頭脳戦を繰り広げたりしている。負けん気が強い部分もありながら、柔軟さやユーモアセンスも持ち合わせていて、これまでとは違った一面が見られる役でもあった。

■明日カノでソープ嬢役

そして「明日、私は誰かのカノジョ シーズン2」の留奈。自分をしっかり持っている女の子で、仕事モードの時とプライベートの時と違う一面があるが、歌い手アイドル・隼斗(綱啓永)と出会ったことでちょっとずつ変化が起こっている。物語の展開同様、留奈の変化にも注目したい。

他にも6月2日に公開された映画「スパイスより愛を込めて。」にヒロイン役・瑞目莉久役で出演。スパイス研究一家で育ち、自身もカレーオタクとなり、常にカルダモンが入った小瓶を首から下げているという個性的な役を演じている。ここでもユーモアが感じられ、感情豊かな表情もたくさん見られるのも大きな特徴。

7月7日(金)公開の高橋文哉主演の映画「交換ウソ日記」にも出演。この作品では、全校生徒が憧れる生徒会長・松本江里乃を演じている。「明日、私は誰かのカノジョ シーズン1」に“ゆあてゃ”こと高橋優愛(ゆあ)役で出演した齊藤なぎさも出演しているので、どんなふうに共演しているのか楽しみだ。

◆文=田中隆信