2023年4月にテレビ朝日に入社し、現在「グッド!モーニング」(毎週月〜金曜朝4:55-8:00、テレビ朝日系)を担当している荒井理咲子アナウンサー。幼少期、将来の夢がなくコンプレックスを抱えていた荒井アナウンサーが、アナウンサーという職業を目指したきっかけや、今後担当してみたい番組など赤裸々に語ってもらった。

■「言語が好き、発音を勉強したい」という思いから目指し始めたアナウンサー

――まず最初にアナウンサーを目指したきっかけを教えてください。

私は幼少期のころから言語を学ぶことがとにかく好きで、小学生のときに英語を、高校生のときに父の転勤でメキシコに行く機会があり、スペイン語を学んだときに楽しいなと感じました。発音を勉強することがとくに好きだったので、そこでなにか将来なりたいものはあるかな、と考えたときに発音を究極に極められる職業はアナウンサーだなと思ったことが目指したきっかけです。

ずっと将来の夢というものがなくて、夢がないというのが私のコンプレックスでした。そんな自分が楽しめるものはなんだろうと考えたときに、発音を真似して、自分の口を動かして発声や発音をすることが好きだなということに気づき、アナウンサーを目指し始めました。

――スペイン語を学ぶのはやはり大変だったのではないでしょうか。

はい。1からスペイン語を学ぶのは苦戦しました。英語とはまた違って、スペイン語って本当にしゃべるスピードが速いんです。聞き取るのが難しくて、どこまでが1つの単語なんだろうと…。英語は小学生のころに学んでいたこともあり、最初はスペイン語ではなく英語で話す生活を送っていました。でも、英語も「日本語は話せるけど国語はできない」というような状態だったので、英語も同時に学んでいるような感じでした。

――アナウンサーの中でもテレビ朝日のアナウンサーを選択した理由を教えてください。

テレビ朝日のアナウンススクール「テレビ朝日アスク」に通っていて、レッスンの際に講師の方たちが本当に一生懸命教えてくださいました。そこでテレビ朝日のアナウンサーは素敵だなという印象を抱きました。

そこから実際にテレビ朝日のアナウンサーになりたいなと思ったのは、試験を受けたときです。テレビ朝日のアナウンサーの方ももちろん、他の社員の方も自分と温度感が一緒だなという感じがして、心地良く試験を進められたというのが自分の中では大きかったです。このままの、等身大の自分でいいんだと感じることができました。

■自分らしさは分からないけど“自分より自分をうまくできる人はいない”

――アナウンサーになるのは狭き門といったイメージです。荒井さんが就職活動の際に心がけていたことや大切にしていたことはありますか?

“自分より自分をうまくできる人はいないな”と思って試験を受けていました。隣の芝生は青く見えるというように、他人と自分を比べてしまう時期もあって…。その中で自分の強みはなんだろうと就職活動のときは毎日考えていました。

そんな中、ある試験を受けていたときに、自分より自分をうまくできる人はいないなと気付きました。自分らしさが何かはっきりとは分かりませんが、それ以来このまま自分のことを大きくも小さくもみせずに頑張ろうと思いました。

――かなりの倍率をくぐり抜けて、テレビ朝日のアナウンサーになられたと思います。荒井さん自身が思う、誰にも負けない武器や強みはありますか?

「葛藤力」ですかね…。常にどっちがいいのだろうと悩み続けていることが、結果的に自分の中で納得できる選択をするきっかけになっていると感じています。

――「グッド!モーニング」で地上波デビューをされましたが、デビュー当日や前日の心境はいかがでしたか?

当初は10月ごろデビューの予定だったので、かなり前倒しになり、前日は「もう明日か…。」といった感じでした。でも逆に心の準備ができていない状態が、やるしかないといった気持ちにさせてくれたので良かった気もします。当日は、今自分ができる100をしっかりと出し切るということを意識していました。けど内心はやはりドキドキしていました(笑)。

――帰宅してご自身で「グッド!モーニング」の放送はご覧になりましたか?

放送はいつも録画して確認しています。今日の自分はどうだったかなというのを確認したり、反省グセがあるので1人反省会みたいなものを開いています(笑)。あとは、アナウンサーの先輩方からフィードバックをいただく機会があり、いつも貴重なアドバイスをいただいています。

デビューした日の放送を確認したときは「早口だな」と感じました。あとは表情も硬かったです(笑)。今も硬いんですけど…最初よりは少しリラックスできるようになっていると思います。


■自然に見えていたものは、すべて技術と経験値だったと気づかされた5カ月間

――入社して5カ月ほど経ちますが、アナウンサーのやりがいは実感されていますか?

やりがいとまで言えるかは分からないのですが、自分自身が正しい情報を届けることができたときや、スタジオの盛り上がっている空気の中に一緒に居られたときにやりがいを感じることはあります。

――反対に大変だなと感じることはありますか?

先輩アナウンサーの技術力と言いますか、自然に見えているものはアナウンサーとして長い年月の経験と技術によって形成されているものだと気づいて、自分の実力不足をすごく感じます。もちろん始めたばかりなので仕方がない部分もあるとは思いますが、何か私も力になれないかなと考えたりはします。

――入社してアナウンサーの先輩方との印象的な言葉やエピソードはありますか?

「マツコ&有吉 かりそめ天国」(毎週金曜夜8:00-8:54、テレビ朝日系)を担当されている久保田直子アナウンサーの言葉です。「そのままでいいんだよ」とか「相手の会話のスイッチボタンを押せるようなアナウンサーになれたらいいね」と、私自身を肯定しながら、目指すべきアナウンサー像を教えてくださいます。また平石直之アナウンサーからは、「場の空気を制すること」と、緊張する場面も自分でコントロールしていくものだと教えていただきました。

もう1つ印象に残っているのは、同じ番組を担当している草薙和輝アナウンサーから、番組終わりにフィードバックをもらう際に、「お忙しいところすみません」と言うと「いつでも聞いてくれていいんだよ」と言ってくださったことです。草薙アナウンサーは最後の研修の際も、私と同期の所村武蔵アナウンサーに対して「いつでも味方だ」という言葉をかけてくださいました。アナウンサーの先輩方はみなさんいつも、かけてくれる言葉のすべてが優しいです。

■良き心を持ち続け、技術のある職人みたいなアナウンサーになりたい

――今後担当してみたい番組はありますか?

大学時代に「大下容子ワイド!スクランブル」(毎週月〜金曜朝10:25-13:00、テレビ朝日系)を拝見していて、番組の空気感や大下さんがゲストやコメンテーターの話を聞いているときの真摯な姿勢がとてもすてきで、「この番組にいつか参加したい!大下さんの元で学びたい!」という気持ちがあります。そして、とにかく発音を極めたいと思っているので、お昼の「ANNニュース」を担当して、たくさん原稿を読んで全国に届けることができたらいいなと思っています。

あとは、もし新しいことにチャレンジすることができるなら、やはり言語が好きですし、いつかそれを活かしていければいいなと考えているので、言語を扱った番組を担当できたらいいなと思っています。日本語以外の違う言語で表現して、それを視聴者に伝えるということはやってみたいことの1つです。

――荒井さんが憧れていたり、目標にしているアナウンサーはいますか?

もう全員です(笑)。1人1人に魅力的な部分があって、全員と言うと表面的に聞こえてしまうかもしれないのですが、本当にみなさんそれぞれに尊敬する箇所があって、1年目の私はたくさん学べる機会があるので、ちょっとずつみなさんの強みを教えていただいて吸収できたらと思っています。

――どのようなアナウンサーになりたいですか?また、今後の目標を教えてください。

どういう状況であれ、良き心を持ち続け、技術のある職人みたいなアナウンサーになりたいです。ニュースの中には、悲しいニュースや辛いニュースもあり、やはり引きずられてしまうことがあるので、常に公平に見られるアナウンサーでいられたらと思います。また、アナウンサーとしてもですが、人として大事なことも忘れないようにこころがけていきたいです。

目標にしていることは、毎日健康的に番組に出ることです。元気!とまでは言わなくても朗らかに番組に出ることは大事にしていきたいなと思っています。

◆取材・文/WEBザテレビジョン編集部