11月6日放送の「けむたい姉とずるい妹」(毎週月曜夜11:06-11:55、テレビ東京系)の第5話で、夫・律(柳俊太郎)と姉・じゅん(栗山千明)の復活愛がますます強くなっている事を知ったらん(馬場ふみか)が、彼をつなぎ止める為にまたうそをついた。だが、それが自分の首を絞める結果となってしまった。(以下、ネタバレを含みます)

■「私だけを見てよ!」

同ドラマは、ばったんによる同名漫画が原作。妹の略奪愛が原因で音信不通の不仲となった姉妹が母の死をきっかけに同居することになり、姉の元カレで、現在は妹の夫である男性を巡って壮絶なバトルを繰り広げる。

じゅんは、自分と律が一夜を共にしたのをらんが知っていた事にショックを受けたが、それと同時に、じゅんと律が別れるきっかけとなった「律とホテルに行った」というらんの言葉がうそだった事を知り、怒りが沸き上がる。

らんを問い詰める、と息巻くじゅんだったが、律は「らんのうそはオレのせい」と言い、自分の気持ちをごまかしてきた事で、じゅんもらんも苦しめている事を謝った。律が「2人を」と、自分と妹を並列で語った事が不満なじゅんは、「私だけを見てよ!」と彼をなじった。

その夜、らんは、じゅんとの事を謝る律に、彼がじゅんを思い続けていた事、隠れてたばこを吸っていた事はわかっていた、と告げた。また、幼い頃から姉がうらやましく、姉の大事な物を手に入れれば近づける気がしたのだ、と素直に打ち明けた。そして、自分に対して気持ちが無いのはわかっていても律が好きだ、今は自分の物だからずっと一緒に居る、と、彼の目をまっすぐ見て伝えた。

思わず目をそらす律。そんな彼を見ながら、らんは「律をつなぎとめる為なら、何でもする」と思いを強くするのだった。

■「もうすぐパパだね」

翌日、律は意を決して自分の思いをらんに伝える事にした。だが、話し始めた律を遮るように、らんが妊娠を告げた。「もうすぐパパだね。楽しみだね」と笑顔で話すらんの言葉を、がくぜんとした表情で聞く律。

らんは、喜ばないどころかこの世の終わりのようになっている律を意に介さず、「お祝いの夕食」を作りに台所に向かった。「もう私だけを見てくれるよね」と、らんは心の中で彼に語りかけた。

■らんの妊娠を知ったじゅん

一方、じゅんは、昨日律が言った「オレらは夫婦だから」という言葉が頭から離れなかった。彼とらんが「夫婦」という事はもちろんわかっているし、らんにも何度も言われてきた。だが、それが律の口から出た事で、今さらながらその事実がじゅんに重くのしかかった。律とらんは「夫婦」で、自分は「他人」なのだ。

先日カウンセリングに来た女性がじゅんの妹だと気づいた同僚にも、「元カレだとしても、それが奪い返していい理由にはならない。らんと律は結婚してるのだから」と、厳しくとがめられ、罪悪感と律を諦められない気持ちの間で、じゅんは揺れていた。そんな時に知らされたらんの妊娠。自分と律にもう未来は無い事を、じゅんは悟るのだった。

帰宅したじゅんは、たばこを吸いに縁側にやって来た律と鉢合わせる。じゅんは律から離れて座り、2人は黙ってたばこを吸った。しばらくの後、律が「じゅんちゃん…」と呼びかけた。「お願いだから謝らないで」と心の中で祈るじゅん。謝られたら、その時点で2人の関係は終わってしまうから。だが、律から出た次の言葉は「ごめん…」だった。

■母が大切にしていたネックレス

もうこの家には自分の居場所は無いと思ったじゅんは、出ていく準備を始めた。そして、母の形見のネックレスを持っていこうと、引き出しからケースを取り出した。それは、母が「幸せになれる魔法がかかったネックレス」と呼んで大切にしていた物で、入院する時にじゅんに譲ったのだった。

その時の母とのやりとりを懐かしく思い出しながらケースを開けると、ネックレスがなくなっていた。あちこち探したがどこにも無い。「絶対にアイツだ」。じゅんはらんの部屋に行き、彼女の引き出しを探った。ネックレスは見つからなかったが、ゴミ箱の中から妊娠検査薬を見つけた。

帰宅したらんの胸には、母のネックレスがかかっていた。やはり、らんがまた奪っていたのだ。返せと迫るじゅんに「やだ」とネックレスを握りしめるらん。じゅんが母から貰ったと知ったらんは、ショックを受けた表情で「いつ…?」と尋ねた。母が宝物を自分ではなく姉に譲った事が悲しかった。

「アンタがお母さんの面倒も見ずに、好き放題やってる時に!」とじゅんに言われたらんは、自分は結婚して時間も無かった、と言い訳を始めた。そんな事はじゅんにとってはどうでもいい。「いいから返して!」と取り上げようとしたじゅんから逃げるように、「やだぁ!」と、ネックレスを握りしめたまま走るらん。その姿は、子どもに戻ったようだった。

■「愛情じゃない。ただの同情」

自分の物を何でも奪っていくらんには、もううんざりだ、と怒鳴るじゅんに、「おねえちゃんだって取ろうとしてるじゃん」と、律と寝たのを知ってる事をらんは告げた。それを聞いたじゅんの怒りは頂点に達し、らんのうそのせいで、律と別れるハメになったのだ、と責め立てた。

姉が自分のうそを知ってしまった事に動揺するらんだったが、律は最後には自分を選んだのだ、だから自分の物だ、と言い返した。「そんなのはうその関係。ニセモノだよ!」と譲らないじゅん。自らに言い聞かせるように「違う、違う…」と繰り返すらんに、じゅんは「律はアンタがかわいそうなだけ。愛情じゃない。ただの同情!」と決定打を打ち込んだ。

それは、薄々らんも感じていた事だ。こちらから「私の事、好き?」と聞かないと答えない。それも「うん」だけ。言葉にして、と頼まないと「好き」と口にしない夫。優しいけど、それが愛情なのか、らんはいつも不安だった。そこをじゅんに突かれたらんは、「違うもん!」と、不安を振り払うように言った。そして「だったら結婚までしないでしょ。私たち、もう夫婦なんだよ。パパとママになるんだよ!」と、じゅんに訴えた。

■妊娠はウソだった…

「うそ。だよね?」。じゅんは冷静に言った。さっきらんの部屋で妊娠検査薬を見た時、らんが妊娠していない事を知ったのだった。すべてのうそがバレ、返す言葉がなくなったらんに、じゅんは「ネックレスはあげる。私は大切な物を手に入れたから」と、勝利宣言した。

SNSでは「やっぱり!」「妊娠、うそだと思ったんだよね」と、らんの浅はかな作戦を見破っていたコメントが続々とポストされた。また、「妊娠のうそでつなぎ止めようとするなんて、サイテー」と、呆れかえる視聴者も多かったようだ。

■全てのうそがバレたらん

いたたまれずに家を飛び出したらんの前に律が立っていた。律にもうそがバレてしまった。「うそじゃなくて、本当に赤ちゃんができると思ったの」と涙ながらに言い訳をして、走り去った妻を律は追う事ができなかった。1人になったらんは、全てが終わってしまったのだ、と悟り号泣するのだった。

らんから律を奪い返した、と思ったじゅんだが、このまま終わるわけがない。次回、「新たな呪いの幕開け」になる様子。SNSで「こんな男、そこまでして取り合う価値ある?」との声が散見されたが、本当に、じゅんもらんも、律のどこがそこまでいいのか冷静になって考えてみてほしい。

※柳俊太郎の柳は正しくは「木へんに夘」

◆文=鳥居美保