俳優のアン・ボヒョンが主演する韓国のドラマシリーズ「財閥 x 刑事」が1月26日より配信スタート。本作でボヒョンが演じるのは、世間知らずな財閥御曹司で“刑事”の主人公チン・イス。日本でも大ブームを巻き起こしたドラマ「梨泰院クラス」(2020年)で強烈な悪役を演じ、一躍大ブレイクしたボヒョンは、元アマチュアボクサー出身で、現在はモデルとしても活躍するなど、マルチな才能を持つ俳優の一人だ。今回はボヒョンのこれまでの活躍ぶりを振り返る。

■ボクサーからモデル、そして俳優へ転身

スカウトをきっかけに、中学時代からボクシングに目覚めたボヒョン。アスリート高へ進学し、全国大会にも出場するなど、将来を期待される実力者であったが、度重なる怪我のためプロ選手を諦めたという。その後は、周りの勧めもありボヒョンは、187cmの高身長を生かしてモデルの道を選択。大学ではモデル学科に進学し、どこの事務所にも所属しない無名の新人にもかかわらず、ソウルコレクションでモデルデビューを果たした。その後もさまざまなショーに出演し、モデル活動を行うかたわら演技の勉強をスタートさせ、2014年に俳優に転身した。

新人俳優時代は、さまざまなアルバイトで食いつないできたそう。そんな彼が注目され始めたのは2016年に出演したドラマ「太陽の末裔 Love Under The Sun」以降のことだ。その後も着々とキャリアを積み重ね、2020年に韓国で放送されたドラマ「梨泰院クラス」にて、パク・ソジュン演じる主人公パク・セロイの敵役でチャン・グンウォンを怪演。オーディションで獲得したグンウォン役は、表情、発言、行動全てにおいて絵に描いたような“クズ人間”だった故に、そんな強烈な悪役を演じきった彼に注目が集まり、一気に大ブレイクした。

またソジュンをはじめとする同ドラマの共演者とは、人気俳優たちが集結し、2泊3日のMT(合宿)を行うバラエティー番組「青春MT」(2022年)で再共演。合宿のレクリエーションでは、「梨泰院クラス」での悪役キャラとは一転し、後輩たちに優しい兄っぷりを見せるなど、そのギャップに惚れる声が多く寄せられた。

■本格アクションからラブシーンまで

悪役キャラとして大ブレイクした翌年には、ドラマ「マイネーム:偽りと復讐」(2021年)で、正義感の溢れる誠実な麻薬捜査官のチョン・ピルトを好演。タッグを組んだ主演のハン・ソヒと共に、激しいアクションシーンや色気のあるラブシーンを演じたことで話題となった。さらに、ボヒョンは元アマチュアボクサーというだけあって俊敏な動きで凶悪犯を仕留める姿が様になっており、彼の本格的なアクションシーンも大きな見どころだろう。

また、同年にはドラマ「ユミの細胞たち」で、これまで多くのロマンスシーンを演じてきた女優のキム・ゴウンとのラブコメディーに初挑戦。ボヒョンの演じたゲーム開発者のク・ウンは、ファッションには疎くロングヘアーにあごひげを生やしたキャラクターで、劇中では恋人関係になるユミ(ゴウン)との甘酸っぱいシーンを多数披露しており、彼の新たな魅力が堪能できる。

近年エンタメ界を盛り上げるボヒョンは、最新作「財閥 x 刑事」で遊び人の“お坊ちゃん刑事”の主人公を好演中だ。「マイネーム:偽りと復讐」でも捜査官を演じたが、今回は一味違った、金とコネで全てを解決する御曹司刑事に扮(ふん)している。

「梨泰院クラス」のグンウォンも金持ちキャラで、全てが鼻に付くような印象だったが、今回のイスは不真面目でお調子者だがどこか憎めず、同じ“お坊ちゃん”でも見事に演じ分けていることが分かる。また持ち前のアクションシーンはさらにレベルアップしていることもあり、今後の活躍に期待が膨らむばかり。これからどのようにイス自身も成長していくのか、ボヒョンの演技とともに注視したい。

なお、イスが警察で所属するチームの女性長で“バディ”となるイ・ガンヒョンを演じるのは「ユミの細胞たち」でボヒョンと共演したパク・ジヒョン。犯人逮捕に命をかける熱血ベテラン刑事で、型破りなイスの存在に頭を抱えることになる役柄だ。一新された2人のケミも韓国ドラマファンなら楽しみな部分だろう。

「財閥 x 刑事」は、ディズニープラスのスターで毎週金・土曜に新エピソードを独占配信中(全16話)。

◆文=suzuki