4月1日(月)スタートの連続テレビ小説「虎に翼」(毎週月〜土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月〜金曜の振り返り)の放送前出演者会見が3月21日にNHK放送センターで行われ、ヒロインの伊藤沙莉、共演の石田ゆり子、岡部たかし、制作統括の尾崎裕和氏が出席。第1週の完パケを見た感想や今の心境を語った。

■「虎に翼」とは…

同作は、日本で初めての女性弁護士の一人となった三淵嘉子をモデルにしたオリジナルストーリー。昭和の初め、女性に法律を教える日本で唯一の学校へ入学し、法曹の世界に進んだ主人公・猪爪寅子(伊藤)。出会った仲間たちと切磋琢磨しながら、日本初の女性弁護士で後に裁判官となり、困難な時代に立ち向かい、道なき道を切り開く寅子の姿を描くリーガルエンターテインメント。脚本は吉田恵里香氏が担当する。

■第1週の完パケを見た感想は?

第1週の完パケを見た感想を、伊藤は「すごくテンポが良く、猪爪家の楽しい雰囲気が伝わり、気持ちのいいスタートが切れたと思います。続きが気になると、思ってもらえると思います」と手応えがある様子を見せた。

寅子の母・はるを演じる石田は「実は第2週まで見たのですが、とても素晴らしいドラマで。沙莉ちゃん演じるトラちゃん(寅子)が、本当にチャーミングでかわいい。毎日のように撮影していてそばにいるのに、彼女のお母さん役をできるのが幸せなことだなと改めて思いました。そして、法律をテーマにしている“朝ドラ”はあまりないので、すごく新鮮な切り口で、色々な人に楽しんでもらえると思います」とコメント。

寅子の父・直言役の岡部は「第1週は、河原で憲法14条を読んでいるトラ(寅子)のシーンから始まりますが、そのトラの表情は見えないんです。でも、憲法を握りしめている後ろ姿にグッとくるところがあって。闘ってきたものが伝わり、心つかまれました。さらに、尾野(真千子)さんの素晴らしいナレーションがあり、そして、主題歌に入っていくんですが。冒頭から引き込まれて、でも、程よく笑いもあり、緩急があります」と語った。

■伊藤沙莉「(寅子は)“なんで?”と、素直に言える子」

第1週は、“女学校を出たら結婚し、子を産み、家庭を守るべし”という考えに納得できない寅子が、自身の将来について家族と対峙し、さまざまな出来事と向き合う。そんな寅子が見せる豊かな表情が印象的。伊藤は「物語に入る1週目なので、どういうふうに設定したらいいのかな?とか思ったのですが、私は考えることが苦手なので、とにかくやってみるしかなく、体当たりでやりました。また、チーフ監督さんが、全力で演出をして基準を作ってくださったり、周りの方からもらったものに素直に反応していたりしたら、表情豊かになりました」と振り返った。

さらに、現代とは異なる当時の女性が置かれた状況に、伊藤は「(台本を読んで)驚きの連続でした!今でこそ、みんなが当たり前に疑問に思うことを、当時は言えなかったり、育ってきた環境で疑問にすら思わなかったり。だから、寅子の思いは現代的だし、“なんで?”と、素直に言える子。(寅子は)基本的に『はて?』と言っているんですが(笑)。その『はて?』はとても貴重なもので、かつ、寅子の『はて?』は私自身の代弁でもあるので、疑問を持たずに『はて?』と言えます。寅子のこの口癖は私自身にリンクするのでとても演じやすいです、共感しています」と役への思いを明かした。

■伊藤沙莉、同作に込めたメッセージについて語る

また、さまざまな場面で、寅子のみならず多くの女性が悩んだり苦しんだりしている姿が描かれている。そんな姿について、伊藤は「意識しているところとしてないところがあります。第1週の終わり、橋の上で寅子が夕日を見ているシーンがあるんですが、その寅子の横に、色々な世代の女性たちが並んでいる演出に気付いた時は感動しました」と語った。

続けて、「(同作は)寅子の成長を描いていますが、その背景には、寅子だけじゃなく家族、友達、その他にもたくさんの人が虐げられたり困っていたりする。そういう人の思いを背負って(寅子は)やってきたし、やっていくし、というところをそういう演出で見せていたのは身も気も引き締まりました。他にも、細かい演出にもメッセージが詰まっているので、大事にやっていきたいし、見てもらいたいと思います」と真剣な表情を。

■岡部たかし「ゆり子さんに“箸の持ち方こうなんだよ”って教えてもらった」

猪爪家のシーンで印象に残っていることについて、伊藤は「猪爪家だけで本読みやリハーサルをしていたりするので、印象的なことが多すぎるんですが(笑)。お兄ちゃん(上川周作演じる寅子の兄・猪爪直道)のキャラ作りがさすがで、愛されるキャラだと思います!いつも少し意味不明なことを言っているので、何この人?って、思われちゃうかもですが(笑)、猪爪家にお兄ちゃんの存在は欠かせないです!こういう場にいつもいないので、お兄ちゃんも愛していただきたいなと思います(笑)」と呼びかけた。

そして、石田は「家族なので当たり前ですが、猪爪家はみんなでご飯を食べるシーンが多くて、そのシーンを何度も共にするうちに、本当の家族のようになっていきました。そして、ご飯が本当においしいですし、盛り付けも美しい。撮影が終わると、そのご飯をみんながまじめに食べるのが毎回続いていました」と撮影でのエピソードを披露。

一方、岡部は「アドリブで作っていったところがあって、みんながけっこうのってくれて返してくれて。(アドリブの部分は)カットされても生きていても、僕たちが良い雰囲気になっていくのには大事なこと。それが第1週からできていたので、お互いを信じて演じられていました。あと、ご飯のシーンですが、僕は母に箸の持ち方を教えてもらえなかったので、ゆり子さんに“箸の持ち方こうなんだよ”って教えてもらい、それがとても幸せな時間でした」と笑みを浮かべた。

■石田ゆり子、伊藤沙莉は「人の気持ちを素直に動かすパワーを持っている」

両親役の二人との共演について、伊藤は「どのシーンを撮っていても、お二人からは愛が感じられます。寅子として、とても愛されている安心感の中で、撮影をさせていただき、のびのびとやらせてもらっています。このお二人の子供だったら温かく幸せに暮らすんだろうなと思いましたし、自慢の両親という感じです!」と石田と岡部に笑顔を向けた。

また、石田は「沙莉ちゃんは、弾むボールのような。ボールの中に夢とか希望とかがギュッと詰まっていて、それがそのまま直球で飛んでくるような人。人の気持ちを素直に動かすパワーを持っていて、本当に素晴らしいなと思っています。私もそれに本当に助けられました。自分と重ね合わせる必要はないですが、はるは、厳しいお母さんで、自分と雰囲気が全然違うと思っていて。でも、岡部さんと沙莉ちゃんとの関係の中で、自然にはるの雰囲気が出来上がるので、力のある方々がたくさんいるこのドラマで、私も幸せな時間を過ごさせていただきました」と伊藤の印象を語り、感謝を口に。

そして、岡部は「本当に格好いい!でも、もちろんかわいい部分もあり、何面をある感じが、第1週を見て、改めてすごく感じました」と伊藤を絶賛した。

■伊藤沙莉「ちょっと不安になっている時の第1週の完パケで」

記者から「初回放送を直前に控えた今の心境は?」との質問が。伊藤は「日々撮影をしていく中で、果たしてこれは合っているのか?とかこれでいいのかな?とか、ちょっと不安になっている時の第1週の完パケで。改めて、やる気が出るというか、このまま突き進めばいい、いちいち立ち止まらなくていいじゃないかと思えた。放送が始まって、多くの方に見ていただけると、さまざまな感想が生まれると思いますが、それも含めて、パワーにできる気がします。放送はとっても緊張しますが、すごく楽しみで、自分に活を入れる一つの原料になるなと思います」と意気込むコメントを。

また、石田は「撮影が始まったのは去年(2023年)の夏の終わりくらいで、それがやっと4月から世の中に出ていく。わが子を世に送り出すような気持ちです。今までこんなに長いスパンで撮影をする作品に携わったことがないので、これが“朝ドラ”でNHKの歴史を感じるドラマか!って、気持ちです。そして、法律を扱っていることが、今の時代の日本にもピッタリくるというか。物事が変わっていく時代になんてピッタリなんだろうと、思います。世の中の感想が楽しみです」と語った。

そして、岡部は「“朝ドラ”は、たくさんの方が見ているので、色々な感想があると思います。でも、僕たちが楽しんで作ったので、絶対に面白く届くはずだと思っています。面白がってくれるんじゃないかと、ワクワクしています!」と楽しみにしている様子を見せた。

■伊藤沙莉、初回放送日の過し方を笑顔で明かす

また、初回放送日の過し方について、伊藤は「SNSを開いて、“#虎に翼”を構えたまま、テレビの前で待ち構えて、見届けて、ある程度エゴサしたらリハーサルに向かいます(笑)」と笑顔で回答。すると、会場からは笑いが起きた。

最後に、制作統括の尾崎氏は「連続テレビ小説として、どのような題材がいいかを、脚本の吉田さんと話していて、三淵嘉子さんに出会った。三淵さんの人生やキャラクターがとても魅力的だと思い、結果的に法律を扱うドラマになりました」とドラマ制作の経緯を明かした。

続けて、「物語の中で法廷を描くシーンは何回も出てきます。主人公の身に大きく関わるような事件もあるし、主人公が裁判を傍聴することによって変わっていく部分もある。法廷が舞台のシーンはしっかり描かれるし、とてもドラマチックな解決に導かれて、カタルシスがあるような“リーガルエンターテインメント”の部分があると思います。しかし、朝ドラなので、家の場面もあり、(法廷のシーンは)物語の流れの中で何度か登場します」と話した。