ある少女の死に関わった7人の悪人たちと彼らの罪を裁く謎の男マシュー・リー(オム・ギジュン)による壮絶なサバイバルを描いたドラマ「7人の脱出」(2023年)。同シリーズの続編を描いた「7人の脱出 season2―リベンジ―」が、毎週月・木曜にLeminoで最新エピソードを配信中だ。前作では7人それぞれが生き残りをかけてうそを重ね、容赦なく裏切り続ける一方で、その様子を達観しながら巧みに操り、私利私欲に走りまくるマシューの予測不可能な計画は最終回まで衝撃を与えた。シーズン2では、苦渋の決断でマシューの助け船に乗った彼らの復讐(ふくしゅう)劇が描かれる。(以下、ネタバレを含みます)

■哀れな少女を取り巻く7人の罪人によるサバイバル

物語の始まりは、養父母に育てられた高校生のパン・ダミ(チョン・ラエル)が遺産狙いで娘を引き取った実母のクム・ラヒ(ファン・ジョンウム)と暮らすことになり、生活が一変したところから。ダミは恵まれた環境に喜んだのもつかの間、「遺産相続」「校内いじめ」「偽装妊娠」といった問題に次々と巻き込まれてしまい、不運なことに彼女は何者かに殺されてしまう。

そんな“悲劇のヒロイン”ダミの死と何かしらの関わりを持つラヒ、ハン・モネ(イ・ユビ)、ミン・ドヒョク(イ・ジュン)、ヤン・ジンモ(ユン・ジョンフン)、コ・ミョンジ(チョ・ユニ)、チャ・ジュラン(シン・ウンギョン)、ナム・チョル(チョ・ジェユン)の“悪人”7人と彼らに報復するダークヒーロー・マシューとのサバイバルゲームが始まった。

一方、謎に包まれていたマシューの正体は顔を整形したダミの義父イ・フィソ(ミン・ヨンギ)で、ダミの敵討ちをする姿がドラマ中盤まで描かれていたが、実は全てがフェイクで塗り固められていたことが徐々に明らかになったシーズン1。マシューの“本当の正体”は幼い頃、ドヒョクと入れ替わったソンチャングループの息子シム・ジュンソク(キム・ドフン)であり、物語の重要人物とされる“K”でもあった。

何が真実で、どこまでが計画なのか、そして最終目的は何なのか、マシューの思惑に狂わされる7人だったが、ラヒを筆頭にそれぞれの怒りの矛先がじわじわとマシューに向けられ、めらめらと燃え上がる復讐心がこれからあらわになる…というところでシーズン1の幕は閉じた。

■憎きマシューへのリベンジがスタートする

同作は韓国で大ヒットを記録したドラマ「ペントハウス」シリーズを手掛けたチュ・ドンミン監督、脚本家のキム・スノクが再びタッグを組んでおり、シーズン2では前作を超えるような愛憎&復讐劇が次々と起こる、いわゆる“マクチャンドラマ”に仕上がっている。

シーズン2の第1話は、マシューに撃たれ瀕死状態だったドヒョクが、間一髪のところで復活したカン・ギタク(ユン・テヨン)に助けられ、2人はマシューの罪を暴くために共に動き出すところから始まる。

マシューはフィソになりきったことで国民からは英雄扱いを受けている一方、本物のフィソはシーズン1のラストシーンとなったビルの屋上で、USBに入れたAI技術の“ルカ”のデータをギタクに託し、爆発事故で亡くなっていた。また、マシューの助け船に乗ったドヒョク以外の6人は、それぞれがマシューの支配下で動く姿が描かれている。

第2話では、ラヒはマシューが会長を務めるティキタカのオフィスに家宅捜索に入った際に隠し持っていたマシューのPC内のハードディスクの中身を確認する行動に出る。そこには娘・ダミが“K”ことマシューに殺される場面を映した動画が入っており、マシューの脅しからラヒを守ろうとするダミの最期の姿を見た彼女は、自分の惨めさに自暴自棄になるものの、マシューへの復讐を決意。そして、愛するペンヒ(ハン・ボルム)を失ったジンモ、ドヒョクのことをひそかに思うモネもまた、マシューへの怒りを募らせていた。

元々は7人ともが悪人なはずが、それを凌駕する悪人であるマシューの“おかげ”で彼らの罪が薄っすらとしていくところはやるせない気持ちにもなるが、それを抜きにしたとしても登場人物たちの欲が複雑に絡み合い、一筋縄ではいかない展開が今後も待っているかと思うと続きが楽しみになってしまうのが本作の魅力。

また、シリアスな内容で物語が展開する中、ジュラン&チョルコンビのコミカルな演技や時折見せる悪党たちの“珍”チームワークは笑えるので、そういうシーンでは遠慮なくツッコミを入れながら見るのも良い楽しみ方なのではないだろうか。

◆文=suzuki