5月9日に放送された「小田井涼平のあい旅」(毎週木曜夜8:00-9:00、BSJapanext<263ch>)は、大阪府との境に位置する和歌山県の和歌山市・加太を訪れた。万葉集にも歌われた美しい景勝が自慢の加太で、小田井が“めでたい電車”に大はしゃぎ。さらに特産であるタイの旨味を最高に味わい尽くせる“タイの骨のわさびスープ”に舌鼓を打った。

■頭から尻尾まで“めでタイ”電車との出会い

まず小田井がやってきたのは、和歌山市の玄関口・和歌山市駅。待ち受けるなかで駅に入ってきたのは、特徴的なデコレーションが施された車両だった。

「すげーなこの車両!」と小田井が拍手しながらはしゃぐのも無理はない。入ってきた車両はサイドにウロコ模様、先頭車両は窓に目のペイントが入った“魚電車”。和歌山市駅と加太駅を結ぶ通称“加太さかな線”を結ぶ特別列車で、名は「めでたい電車」というからユニークだ。

和歌山県の特産であるタイをモチーフにしている同車両に乗り込むと、内装にも驚く小田井。「まずもって、これはい吊り革ドン!」と紹介したのは、車内にぶら下がる吊り革のかわいらしい造形だった。吊り革といえば普通は丸や三角といった機能的なデザインだが、同電車ではフグやタイなどさまざまな形をしている。バリエーション豊かな吊り革が揺れるさまは、まさに海のなか。

さらに扉や床など各所に水引の柄が入っているなど、どこもかしこも名前の通り“めでたい”風情にあふれている。こだわりの詰まったデザインに、電車好きの小田井は関心しきり。あとからあとから見つかる工夫に喜びの表情を浮かべていた。

電車は真っ赤に塗られた鉄橋を潜り抜ける際も、“めでたい電車”に乗っていると心持が違うようす。「こうなってくるともう、赤い鉄橋の意味合いが変わってくるよね。ちょっとなにもかもがめでたく感じてくる(笑)」と、川をまたぎ海を覗く同列車での旅を満喫する。

加太駅で降りた際は“めでたい電車”の象徴なのか、ひらがなの“め”のモニュメントがお出迎え。和歌山県の旅は、始まりからにぎやかで幸先の良い出会いに恵まれた。

■味噌いらずで旨味たっぷりの“わさびスープ”

小田井がふらふらと誘われたのが、漁師の家庭が営む満幸商店。店先に出ていた山下牧子さんへ「いい匂いがして誘われてきたんですけども、お昼はね、しっかり食べちゃったんですよ。なんでね、軽く食べられるものがないかなと…」と話を伺うと、「ここでしか食べれないスープ」があるという。

山下さん自慢のスープとは、タイの骨だけを一晩煮込んで作ったスープ。手間をかけた贅沢な響きに、「うわ〜美味そ〜!」と小田井の期待もうなぎ登りだ。

タイの骨で作ったスープなのだが、商品名は「わさびスープ」。しかし最初からわさびが入っているわけではなく、見た目は味噌をといたような茶色をしている。香りが抜群で、「いまこれ置いた瞬間、すごい深い香りしてますよ!」と目を丸くする小田井。

まずはスープだけでひと口いただくのだが、それだけでも「うンま!めちゃくちゃ美味い!」と感動するほどの滋味を感じたようだ。しかし山下さんいわく、これはまだ「途中」の味わいなのだとか。

山下さんのおすすめでもあり、商品名にもなった添え物がキーポイント。わさびの軸も葉も全てを刻んで白しょうゆに漬けた、特製のタレだ。これを少しスープに溶かして飲んだところ、小田井の目の色が変わる。

落語家のようにテーブルをポンと打ち、「美味い!」のひと言。山下さんも狙い通りといった顔で、「変わるやろ!」と笑顔を浮かべた。「牧子さん、これは…ねこまんましたなるね」「これね、おうどんで食べたら美味しい」「うわ〜!美味いやん!絶対美味いやん!」とテンポのいいやり取りを交わしていると、山下さんから「入る?」と質問が。先ほど「お昼はしっかり食べた」と聞いたからだ。

しかし絶品スープに出会った小田井は、間髪を入れず「入るよ!」と即答。「おうどん入れよか?」「入れてぇ〜!」と心地の良い会話ですぐさま追加の注文を果たした。うどんを待つ間も「ちょっと先にスープいただくで」と積極的に楽しみ、ちょうど良いわさびの量を探る。

驚くべきは、同スープには味噌もしょうゆも入れていないということ。骨とカツオと昆布だけで作られていると聞き、小田井は「骨だけでこれなの!?てっきり味噌入ってると…」とあらためて自然のめぐみがもたらす旨味に衝撃を受けていた。

■小田井の輝く目が、出会う魅力をさらに引き立てる

「めでたい電車」や「絶品わさびスープ」、絶景の風呂や刺身などに出会った和歌山市・加太の旅。なかでも印象に残るのは、やはり小田井が感動したときに見せる目の輝きだ。

“鉄っちゃん”として有名な小田井だけに、珍しい仕様の「めでたい電車」に乗った際は非常に細部まで観察していた。内装外装といった目につく部分だけでなく、発車の揺れやブレーキの感覚といったコアな部分まで含めているのはさすが鉄っちゃんというべきか。

そして人との出会いや会話が好きな小田井らしく、「わさびスープ」をいただいているときの丁々発止なやり取りにも感情があふれていた。ユニークな地場料理、そして心地よいテンポで会話できる気風のいい女将さんとの出会いに喜んでいたのが伝わってくるようだ。

いずれも台本やスポンサーといったテレビ側の都合より、さらに小田井個人の喜びが強く感じ取れるシーンばかり。本当に好きなものと向き合ったときの喜びというのは、画面越しに見ている人にも伝わってくる。今後も番組の魅力を倍にも感じさせてくれる“小田井が感動する”もの・人との出会いに期待したい。