サラリーマン・三上悟がスライムのリムル=テンペスト(CV:岡咲美保)として異世界に転生、さまざまな種族が共に暮らせる理想の国作りに奮闘する「転生したらスライムだった件」(毎週金曜夜11:00-11:30ほか、日本テレビ系ほか/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・TVerほかで配)。2021年以来となるTVアニメシリーズ第3期では、「魔王達の宴(ワルプルギス)」を経て正式に魔王となったリムルの元へ、魔物を敵視する神聖法皇国ルベリオスの聖騎士団長・ヒナタ(CV:沼倉愛美)が訪れる「聖魔対立編」が描かれる。第55話(第3期7話目)は、テンペストに向かう道中のヒナタたちと、ついに両勢力が激突する様子を描いた「聖魔激突」。(以下、ネタバレを含みます)

■ヒナタや隊長たちの日常が垣間見える旅シーン

リムルに会うため、ひとりルベリオスを出発したヒナタだったが、すぐに4人の隊長たちが追いかけてくる。彼らはヒナタひとりに責任を押し付けることはできないと、無理にでも同行すると言って聞かない。こうして総勢5名となったヒナタ一行は、道中にあるブルムンド王国へと入る。豊かな食材や最先端のファッション、高品質な武具など、小国とは思えない繁栄っぷりに感心していると、極め付けに登場したのはラーメン屋。出てきたのは豚骨ラーメンと餃子で、どちらも完璧なクオリティだった。日本から転生してきた過去をもつヒナタは、こちらの世界にきて久しぶりのラーメンに舌鼓を打つのだった。

会議がメインだった前話までとはうって変わり、冒頭からヒナタたちの旅の道中がコミカルに描かれた。第53話(第3期5話目)の「両翼会議」では、聖騎士団(クルセイダーズ)と法皇直属近衛師団(ルークジーニアス)がバチバチにやり合い険悪な雰囲気が漂っていたが、今回の描写で聖騎士団の隊長たちはちゃんとヒナタのことが大好きであることが分かる。隊長それぞれのキャラクター性も含め、一気に親近感が湧いてきたエピソードだった。なかでもラーメン屋さんでの一連のシーンは飯テロ要素もありつつ、これまでなかなか見えてこなかったヒナタのお茶目な一面も垣間見えるなど、ほっこりさせられた人も多かっただろう。これにはSNSでも「会議アニメから飯テロアニメにw」「ついにヒナタがギャグ要員に!」などの声が多く寄せられていた。

■誤解に満ちつつも、いよいよ両陣営が交戦を開始

ブルムンド王国を出発し、ジュラの大森林へと入ったヒナタたち。険しい道のりを予想していた一行だったが、そこにはあったのは安全で快適な街道設備だった。水飲み場や交番、宿屋など、旅に必要な施設はすべて揃っており、さらには対魔結界で魔物も出現しないという徹底ぶり。改めてリムルの有能さを実感したヒナタたちだった。一方テンペストでは、ヒナタたちとは別に隠密行動で進軍を続ける聖騎士団100騎の動向が報告され、これを迎え撃つ準備に入る。この別働隊を率いているのは聖騎士団の副団長であるレナード(CV:野島健児)で、彼は「七曜の老師」に唆される形でリムル討伐に打って出ようとしていた。こうしてついに、テンペスト近郊で別働隊とテンペスト軍が会敵、交戦へと発展するのだった。

お互いに平和的な解決を望んでいたヒナタとリムルだが、「七曜の老師」のはかりごとにより、衝突が避けられない事態へと進展していく。聖騎士団にとって絶対の権限をもつ「七曜の老師」だけに、「ヒナタは裏切り者」という妄言であっても信用せざるを得なかったのだろうが、やはりここは短慮が過ぎただろう。結果としてレナードは、ヒナタが裏切り者でないことを証明するためにリムルに攻撃を仕掛けるという、なんとも本末転倒の行動に出てしまった。ちなみに「七曜の老師」がヒナタやリムルを排除したがっている理由はまだ明らかになっていないが、前話でもロッゾ一族が何かを画策している様子が描かれていただけに、彼らが裏で繋がっている可能性も捨てきれない。いずれにしろ、これによって事態は確実に悪化したのは事実だ。SNSでも「老害どもが余計な真似を!」「レナードしっかり! ヒナタ信者すぎて目が曇ってるよ」などの声があがっていた。

聖騎士団100騎の相手をするのは、計画通りシオンが指揮を取る「紫克衆(ヨミガエリ)」と「紅炎衆(クレナイ)」。とくに不死身の部隊である紫克衆(ヨミガエリ)のしぶとさに動揺が広がる聖騎士たちは、睡眠薬の塗られた武器によって次々と昏倒していき、「足止め」という当初の計画以上の戦果をあげる。戦場へ駆けつけたリムルたちが半ば呆れ気味に状況を見守るなか、シオンはひとり張り切り、部隊を鼓舞し続ける。一方、レナードの気配を感じ取ったヒナタも戦場へと急行。こうしてリムルとヒナタは戦場にて久しぶりの再会を果たすのだった。

■本格アクションシーンも見どころに

聖騎士VS紫克衆(ヨミガエリ)&紅炎衆(クレナイ)は、今シーズン初めてとなる本格アクションがじっくりと堪能できる。負傷を恐れずに思い切って襲いかかっていく紫克衆(ヨミガエリ)と、屈強な肉体を活かして防御主体に戦う紅炎衆(クレナイ)。異なる部隊の兵同士が見事にまでに連携しており、これまでにない新しい戦闘スタイルを見せてくれた。またもうひとつの見どころは、戦場でこそ輝くシオンの勇ましさだ。これまではコメディエンヌとしての立ち回りが多かったシオンだが、今回は兵たちを勇ましく鼓舞したり、本気で怒気も飛ばすなど、シオン本来の荒々しさが久しぶりに楽しめたではないだろうか。SNSでも「シオンがパワハラ上司すぎるw」「ゴブゾウ可愛そうすぎ」と盛り上がっていた。

このように、今回は前半はコメディで後半はアクションと、これまでとはガラリと異なる雰囲気のエピソードだったように思う。長く続いた会議も終わりを迎え、いよいよヒナタと対峙したリムル。この先にはどんなドラマが待ち受けているのか? 次回第56話(第3期8話目)「ボタンのかけ違い」は5月24日(金)放送予定。期待して待とう!

■文/岡本大介