長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『さらばのこの本ダレが書いとんねん!』(毎週火深夜24:30-、テレビ大阪)をチョイス。

■オカルトとの付き合い方『さらばのこの本ダレが書いとんねん!』

『私はゾンビと歩いた!』なんて映画があるが、「私は幽霊と話した!」と主張する男もいる。今回は、『幽霊インタビュー完全版』の著者・水沢隆広氏がゲストとして出演した、毎週火曜日・深夜24時30分放送の『さらばのこの本ダレが書いとんねん!』について話したいと思う。

さて、私は幽霊というものをまったく信じていない。都市伝説やオカルトは大好きだが、どれもこれも信じてはおらず、ただ、それそのものとして受け取っている。とはいえ、どれもこれも嘘だと決めてかかっているわけではない。「それそのものとして受け取る」というのは、”信じてはいないが、嘘だとも思っていない”ということだ。私は『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズのファンであるのだが、果たして本当にほんとにあったのか、という疑念に脳を一切働かせず、呪いのビデオをそれそのものとして受け取る術を(少々傲慢な言い方をすれば)心得ている。これができなければ、オカルトとのお付き合いは険悪なものとなってしまう。

水沢隆広氏は、作業着を着たふたりのおじさんの霊(の片方)と話したと語る。詳しくは番組をご覧になるか、その体験について記した彼の著書を是非読んでいただきたいのだが、その幽霊は、死後の世界でのことや、幽霊の性質について、詳しく話してくれたというのだ。そしてそれが、ことごとく”腑に落ちる”ものであったという。

真実であるかどうかなど以前に、端的に面白い話である。なにより気に入ったのは、生まれ変わるにはノルマの達成が必要だというくだり。ポイントをためるには色々なやり方があると聞いたものの、その「色々」とは具体的に何があるのかということを尋ねずにスルーしてしまったと水沢氏は悔やむのだが、わかる。私も、うわーどうしてあれ聞かなかったんだろう、とか、人とのコミュニケーションのあとによく思う。こういう普遍的なあるあるが、幽霊相手にも適用されている、その地続きの感じが興味深い。幽霊だって元は人間なのだ。対して残念だったのが、「どうして写真に映り込むのか」という問いに対し「お前らがいきなり撮るからだ」と返したところ。私は、肉眼では見えないのに、どうしてカメラを通すと可視化してしまうのか、ということを知りたいのだが、幽霊相手に「いや、そういうことを聞いてんじゃなくて」などと思ってしまうのも、まさに我々と地続きであることを表していると言えるだろう。

ということで、総じて興味深く、面白い話ではあったのだが、オカルトと良い付き合いができていないと、「嘘だろう」「そんなわけないだろう」という邪念に支配され、純粋に楽しむことができないだろう。かつての私もそうだった。嘘でも本当でもどうでもいい、というようなことは、この世の中そうそうあるものではないが、ことオカルトに限っては、嘘でも本当でも、どうでもいいのである。

■文/城戸