ある少女の死に関わった7人の悪党たちと彼らの罪を裁く一人の謎の男による壮絶なサバイバルを描いたドラマ「7人の脱出」(2023年)。同シリーズの続編を描いた「7人の脱出 season2―リベンジ―」の最終話が6月3日に配信され、長きにわたるサバイバルゲームが完結した。同作のシーズン2より新キャストとして登場し、韓国最大のポータルサイト「SAVE」の代表で終始ミステリアスな存在感を放つファン・チャンソンを演じたのが人気ロックバンド・CNBLUEのメンバー、イ・ジョンシンだ。今回は音楽活動のみならず俳優としても注目される彼のキャリアと、本作での活躍ぶりを紹介する。(以下、ネタバレを含みます)

■韓国デビュー前に日本で武者修行

ジョンシンが所属するCNBLUEは、骨太のロックからアコースティック、最新のEDMなどを取り入れたポップナンバーまで、バンドという枠に囚われない幅広いサウンドで多くのファンに支持される3人組ロックバンド。韓国でのデビューよりも先に日本で活動を始め、2009年6月から半年間ライブハウスや路上などで大小100回以上のライブを積みながら、同年8月には日本でインディーズアルバムをリリース。その後、2010年に韓国でデビューするという経歴を持つ。

韓国バンド界を牽引しながら、日本でも精力的に活動し、2011年10月にはシングル「In My Head」にて日本でメジャーデビューを果たす。バンドメンバーのマンネ(最年少)でありベース担当のジョンシンは、マンネとは思えない大人びた顔立ち、身長188cmという抜群のスタイルを生かしてモデルを務めた経験もあるなど、幅広い分野でファンを魅了し続けてきた。

そんなジョンシンは、音楽以外の個人活動として2012年に放送されたドラマ「棚ぼたのあなた」で俳優デビューを飾ると、後続作品「いとしのソヨン」では資産家一家の末っ子カン・ソンジェを演じ、愛嬌(あいきょう)たっぷりな“問題児”を自然体で演じたことで評価された。

また、爆発的な人気を誇る映画「猟奇的な彼女」(2001年)をリメイクした、2017年放送のドラマ版にも出演。舞台が朝鮮王朝ということで、彼にとって初の時代劇となった本作では、優れた剣術を持ち、カリスマ性に溢れるカン・ジュニョン役に抜てきされ、韓服をまといながらの殺陣シーンにも挑戦した。

■嫉妬心で狂気的な姿に変貌するエリート経営者を好演

2018年からは兵役に伴う軍入隊により、しばらくの間は芸能活動を離れる。ほぼ同タイミングでCNBLUEの他のメンバーも入隊しており、バンドとしては一時活動休止となったが、2020年には全員兵役を終え、約3年8カ月ぶりにファンの前にカムバックしたことで当時話題となった。そんな中ジョンシンは、2021年にドラマ「サマーガイズ」で俳優としての活動も復帰。同作は海辺にあるカクテルバーを舞台に5人の男女のひと夏の青春を描くラブロマンスで、ジョンシンは済州島からやってくるツンデレ御曹司のソヌ・チャンを好演した。

音楽活動と俳優活動の二足のわらじを履き、マルチに活躍するジョンシンが出演する最新作「7人の脱出 season2―リベンジ―」では、優秀な経営者として周囲から崇められる存在でありながらも女性に対するトラウマを抱え、妻となったハン・モネ(イ・ユビ)に対しても時に暴力的になるチャンソン役を務めた。

チャンソンはマシュー・リー(オム・ギジュン)に復讐(ふくしゅう)心を燃やす他のキャラクターとは別の軸で彼と関わり、劇中ではマシューと共犯のようなポジションにいつつも、時に利用したり、切り捨てようとしたり、協力したり、本心が読めないミステリアスな雰囲気で存在感を示した。そしてミン・ドヒョク(イ・ジュン)とひそかに連絡を取るモネに対し、彼女を愛しているが故の嫉妬から態度を豹変させることも。次第にエスカレートしていき、衝撃的な最期を迎えることになってしまう。

2024年は7年ぶりのアジアツアーを開催するなど、CNBLUEとしての活動も精力的なジョンシン。俳優業との二足のわらじを履く彼の今後の活躍に期待が高まる。

ドラマ「7人の脱出 season2―リベンジ―」は、Leminoで全話独占配信中。

◆文=suzuki