前田拳太郎と奥智哉がW主演を務めるドラマ「君とゆきて咲く〜新選組青春録〜」(毎週水曜深夜0:15-0:45、テレビ朝日)の第8話が6月12日に放送された。大作(前田)と丘十郎(奥)が裏切り者の疑惑の偵察に行き、不穏な空気に包まれる彼らが描かれて、胸がつまる思いがした。(以下、作品のネタバレを含みます)

■「君とゆきて咲く〜新選組青春録〜」とは

本作は、史実を織り交ぜながら隊士たちの葛藤を描いた、手塚治虫氏の隠れた名作「新選組」を原作とした“シン・時代劇ドラマ”。幕末の時代を生き、はかなく散っていった新選組隊士たちの青春群像劇を、殺陣パフォーマンスや剣舞を取り入れた新たなスタイルで描く。

近藤勇や沖田総司、芹沢鴨など、新選組メンバーを中心に実在の人物も登場するが、物語の中心となるのは、オリジナルキャラクターとして描かれる深草丘十郎、鎌切大作という若き二人の隊士。二人は熱い友情を育んでいくものの、いつしか時代の波に翻弄(ほんろう)され、互いに殺し合わなくてはならない悲壮な運命へとなだれ込んでいく。

物語の主人公となる大作と丘十郎を演じるのは、前田拳太郎と奥智哉。「仮面ライダーリバイス」(2021年〜2022年、テレビ朝日系)で共演経験のある二人が、本作では熱い友情で結ばれた新選組の若き隊士を演じる。

また、二人を取り巻く新選組隊士には、杢代和人(原因は自分にある。)、羽谷勝太、柊太朗、庄司浩平、簡秀吉、藤岡真威人、阪本奨悟、永田崇人、三浦涼介、高野洸ら若手キャストが集結。なかでも、「人生が変わる、シン・時代劇オーディション『真剣 SHINKEN』〜新選組への道〜」と題したオーディションで南無之介役を勝ち取った羽谷の他、ともに最終審査を戦った柊太朗、庄司、上野凱らがどんな躍動を見せるのかも注目される。

■壬生浪士組の中に間者がいるのではと疑惑が持ち上がる

文久3(1863)年の京都。お人好しの父・七也(戸次重幸)が営む小さな茶屋で働く深草丘十郎は、慎ましくも誠実に日々を生きていた。ところがある夜、店に逃げ込んできた佐幕派藩士をかくまった七也が、長州藩士の庄内玄悟(上野)に斬り殺されてしまい、その穏やかな日常が一変。丘十郎は父の敵討ちを心に誓い、強くなるため壬生浪士組に入隊する。

京の街中で、長州藩士・庄内が会津藩の役人に斬りかかる事件が発生。駆けつけた原田(柊太朗)や斎藤(庄司)らが阻止するも、会津藩主・松平容保(味方良介)は自分たちの動きが討幕派に把握されていることを疑い、壬生浪士組の中に情報を流している間者がいるのではないかと怪しむ。

■丘十郎と大作は偵察するように命じられる

容保からかけられた疑いを晴らすためにも、隊士たちにはしばらくの間「許可なき外出は禁止」という命令が下る。大作や丘十郎らは、決められた見回り以外は屯所にこもって剣の稽古に励むことに。

そんな中、丘十郎は芹沢(三浦)から豪商・鵺野(渡辺いっけい)の屋敷に手紙を届けるよう頼まれ、一人街へと向かう。その際、裏道を急ぐ渋皮の姿を見かけ、土方(阪本)から偵察するように命じられる。

丘十郎と大作が渋皮の後をつけると、渋皮は女性に会って贈り物を渡した。影から見ていた大作が歩み出て、渋皮に刀を向けて「長州とつながっているのか?渋皮!」と大声で叫ぶ。渋皮は頭を振って「違います」と言うが、斉藤(庄司)がやってきて渋皮の腕をつかむ。斉藤は冷静に「ご法度だ」と言って渋皮を連れ去って行くのだった。

前回の田舎町でののどかな雰囲気から一転、不穏な空気に包まれる彼らを見ていると胸がつまる思いがした。

◆構成・文=牧島史佳