昨シーズンの汚名を返上したグリーリッシュ

今シーズン3冠を目指すマンチェスター・シティは、得点王で数々の記録を更新したアーリング・ハーランドやアシスト王に輝いたケビン・デ・ブライネに注目が行きがちだ。しかし今季この2人に負けない活躍をしているのがジャック・グリーリッシュだ。

昨シーズン、1億ポンドとも言われる移籍金でアストン・ヴィラから加入したグリーリッシュはクラブレジェンドであるセルヒオ・アグエロが背負っていた「10番」を身につけた。加入最初のシーズンは6ゴール4アシストを記録。多額の移籍金だったということもあり、同選手の実力は疑問視されていた。

しかし加入2年目となる今シーズンは、ここまで5ゴール11アシストとアシストを多く増やしている。絶対的な左WGとして今やチームに欠かせない存在だ。同選手の最大の武器であるドリブルは、攻撃の時だけではなく、ボール保持の際にも大きな役割を果たした。『Opta』によるとグリーリッシュは1試合あたりのドリブル距離が最も長い選手だという。90分間で320mを記録したドリブルは左サイドが多いが、高いエリアだけではなく、中盤でのドリブルや中央に侵入するドリブルなど、広いエリアでドリブルし、チームに貢献している。2位のアラン・サン・マクシマン(ニューカッスル)の302mと比べても約20mも長くドリブルしている。

また英『BBC』によると、グリーリッシュはアシストを記録した選手に出すパスがリーグで3番目に多いという。つまり「アシストのアシスト」を多く記録しているのだ。グリーリッシュは6回記録しており、これより多い記録はマルティン・ウーデゴーとケビン・デ・ブライネだけだ。直接的なチャンスだけではなく、攻撃のスイッチの役割のようなプレイでも今シーズンはシティの優勝に大きく関わっていることがわかる。

ドリブルで突破することやゴール、アシストだけではなく、ビルドアップに参加し、ボールを失わない(またはファウルを貰う)ドリブルは今やシティに欠かせないものとなっている。守備での奔走も目立つグリーリッシュは、アグエロとは違う形でチームに欠かせない「10番」にまで成長した。