前半のうちに同点に追いついた

決勝トーナメント・ラウンド16
スペイン 4-1 ジョージア

前大会覇者のイタリア代表がスイス代表に敗れるなど、EURO2024はノックアウトステージでも波乱が起きている。そんな中、6月30日に行われたラウンド16では、スペイン代表とジョージア代表が対戦した。前評判ではスペインの方が圧倒的に優勢だが、この対戦カードも決して侮れないものだ。

選手層の厚さを活かし、うまくターンオーバーを行いながら3戦全勝で“死の組”グループBを首位突破したスペイン。グループステージ第3戦ではDFアイメリク・ラポル以外の10名を変更してスタートしたが、この日はその10名を戻したメンバーで臨んでいる。

一方、EURO初出場ながら、ノックアウトステージへコマを進めたジョージア。スタメンには、FWクヴィチャ・クワラツヘリアやFWジョルジュ・ミカウターゼ、MFギオルギ・チャクヴェターゼらが順当に名を連ねた。グループステージ第3戦でポルトガル代表を2-0で撃破した番狂わせを、スペイン相手にもう一度起こせるか。

試合は、予想通りスペインが立ち上がりから巧みなパスワークで左右に揺さぶりをかけ、主導権を握る。5分には、右サイドの高い位置をとったダニエル・カルバハルのクロスをペドリが合わせるが、このシュートはGKのセーブに阻まれてしまう。

その後もスペインがボールを握る時間帯が続き、セットプレイやクロス、サイドからのカットインなど、さまざまな形でシュートまで持ち込むシーンが見られた。しかし、ゴール前を固めたジョージア守備陣を崩し切るには至らない。

すると17分、耐えていたジョージアがカウンターからチャンスを生み出す。ジョルジュ・ミカウターゼがドリブルでピッチ中央を横断し、右サイドへ展開。ボールを受けたオタル・カカバーゼがアーリークロスを入れる。すると、ゴール前へ走り込んでいたクワラツヘリアの背後からのプレッシャーもあってか、ロビン・ル・ノルマンがクロスボールの処理をミス。ボールはル・ノルマンに当たってそのままスペインゴールに吸い込まれた。なんと前評判では劣勢だったジョージアが、先制に成功したのだ。

先制点を許したことで、スペインは同点に追いつくべくより攻勢に出る。一方のジョージアは、その前がかりになった相手の隙を突いてカウンターを狙う。そのため、20分以降はやや慌ただしい展開となった。

ただ、やはり地力で上回るスペイン。39分にニコ・ウィリアムズの折り返しをペナルティアーク付近で受けたロドリが、左足でゴール右隅にシュートを突き刺し同点に。なんとか前半のうちに試合を振り出しへと戻してハーフタイムを迎えている。

後半に入っても、スペインがボールを支配し、ジョージアがカウンターを狙う展開は変わらない。そして、スコアは後半が始まってすぐに動いた。

51分、スペインはペナルティアーク付近でFKを得ると、ラミン・ヤマルが直接ゴールを狙う。これは相手GKの好セーブに阻まれたが、こぼれ球を拾った流れから再びチャンスに。ヤマルがペナルティエリア右手前から左足のインスイングでアーリークロスを入れると、ゴール前に残っていたファビアン・ルイスが頭で合わせ、スペインが逆転に成功した。

その後、74分にヤマルがゴールネットを揺らすが、これはオフサイドの判定で得点は認められず。しかし、直後の75分にロングボールによるカウンターからウィリアムズが相手の背後へ抜け出すと、DFをひとりかわして右足で豪快にシュートを叩き込んだ。さらに、攻撃の手を休めないスペインは、途中出場のダニ・オルモが83分に狙い澄ましたシュートでダメ押し弾を決めた。

先制点を許して一度は劣勢に立たされたスペインだったが、終わってみればジョージアを相手に4-1の快勝。1G1Aと目に見える結果を残したウィリアムズ、ゴールこそなかったものの逆転ゴールのアシストや切れ味鋭いドリブルで存在感を発揮したヤマル、両WGの躍動などもあって無事にドイツ代表の待つベスト8へコマを進めた。

[スコア]
スペイン 4-1 ジョージア

[得点者]
スペイン
39分 ロドリ
51分 ファビアン・ルイス
75分 ニコ・ウィリアムズ
83分 ダニ・オルモ

ジョージア
18分 OG

[ラインナップ]
スペイン
監督:ルイス・デ・ラ・フエンテ

GK
ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)

DF
ダニエル・カルバハル(レアル・マドリード)
ロビン・ル・ノルマン(レアル・ソシエダ)
アイメリク・ラポルテ(アル・ナスル)
マルク・ククレジャ(チェルシー)

MF
ペドリ(バルセロナ)
ロドリ(マンチェスター・シティ)
ファビアン・ルイス(パリ・サンジェルマン)

FW
ラミン・ヤマル(バルセロナ)
アルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリード)
ニコ・ウィリアムズ(アスレティック・ビルバオ)

交代出場・退場
52分 ペドリ→ダニ・オルモ(ライプツィヒ)
66分 マルク・ククレジャ→アレハンドロ・グリマルド(レヴァークーゼン)
66分 アルバロ・モラタ→ミケル・オヤルサバル(ソシエダ)
81分 ダニエル・カルバハル→ヘスス・ナバス(セビージャ)
81分 ファビアン・ルイス→ミケル・メリーノ(ソシエダ)

ジョージア
監督:ウィリー・サニョル

GK
ギオルギ・ママルダシュヴィリ(バレンシア)

DF
オタル・カカバーゼ(クラコヴィア)
ギオルギ・グヴェレシアーニ(ペルセポリス)
グラム・カシア(スロヴァン・ブラティスラヴァ)
ラシャ・ドバリ(APOEL)
ルカ・ロホシヴィリ(クレモネーゼ)

MF
ギオルギ・チャクヴェターゼ(ワトフォード)
オタル・キテイシュヴィリ(シュトルム・グラーツ)
ギオルギ・コチョラシュヴィリ(レバンテ)

FW
ジョルジュ・ミカウターゼ(メス)
クヴィチャ・クワラツヘリア(ナポリ)

交代出場・退場
41分 オタル・キテイシュヴィリ→サンドロ・アルトゥナシュヴィリ(ヴォルフスベルガー)
63分 ルカ・ロホシヴィリ→ギオルギ・ツィタイシュヴィリ(ディナモ・バトゥミ)
63分 ギオルギ・チャクヴェターゼ→ズリコ・ダヴィタシュヴィリ(ボルドー)
79分 ジョルジュ・ミカウターゼ→ブドゥ・ジヴジヴァーゼ(カールスルーエ)
79分 ギオルギ・コチョラシュヴィリ→ニカ・クベクベスキリ(レフ・ポズナニ)