宇都宮市を流れる鬼怒川で発見されたおよそ1千万年前のイルカの化石が世界最古の新種と判明しました。栃木県内で新種のイルカの化石が見つかるのは初めてで、進化の過程や、かつて海だったこの場所の当時の環境を研究するうえで重要な資料になりそうです。

宇都宮市にある栃木県立博物館で展示が始まったこの化石は、ヨウスコウカワイルカの仲間の頭の部分で、およそ1千万年前のものです。同じくイルカの化石が発見された群馬県の県立自然史博物館が研究を進めた結果、世界最古の新属新種のものであることが分かりました。このイルカの仲間の特徴である頭頂部の骨が盛り上がっていたり、口の付け根の部分にくびれが見られたりしたことに加え、他の種類と比べて前歯付近の骨と鼻の骨が接していることなどから、そう判断したということです。

栃木県の化石は、宇都宮市岡本地区の鬼怒川の河川敷で2012年3月、当時中学3年だった浜田幸典さんが見つけました。周辺では、数匹分がまとまった状態で発掘され、当時は、イルカの祖先とみられるという所までしか分かっていませんでした。
また、この場所からわずか20メートルほどの所では、ほぼ全身の骨格が残った状態のクジラの化石も見つかっていて、この時県内は、古代ロマンのニュースに沸いていました。

ここから12年、このイルカの化石が新種だったことに加え、アジアで初めて見つかったこと、それに、その起源がこれまで知られていたものより100万年以上さかのぼることも分かり、浜田さんは、博物館を通じて「新種として報告されて大変うれしいです。発掘、報告に関わってくださった方々に心より感謝申し上げます」とコメントしています。

ヨウスコウカワイルカの化石はこれまでは、北中米の太平洋側でしか見つかっていなかったということで、起源や進化のストーリーが新しく書き換えられる可能性があるということです。

ヨウスコウカワイルカの化石は県立博物館で、11月4日まで展示されています。