「物価の優等生」と言われてきた卵の価格が今、高騰しています。影響を強く受けている愛知の養鶏場を取材しました。 約1万2000羽の鶏を飼育する愛知県大府市の「花井養鶏場」。毎日1万個の卵を生産してスーパーなどに卸しています。

花井さんは、愛知県内3か所で養鶏場を営んでいます。 花井養鶏場の花井社長: 「200〜280円(税別)くらいで販売されていたものが、今は250~330円(税別)くらいで販売されているのが現状になっております」 去年2022年、1パックあたりおよそ50円の値上げをしました。

その鶏がいる所に案内してもらうと…。 花井社長: 「今は鳥インフルエンザが大発生しているものですから、部外者は入れちゃいけない」 2022年末に豊橋市でも発生した鳥インフルエンザ。日本全国の鶏の1割近い1千万羽が殺処分になり、卵の供給が激減しました。

感染を防ぐため、関係者以外は立ち入り禁止です。 花井社長: 「これが今食べている配合飼料といわれるエサなんですけど、この値段が非常に高騰している。98%ぐらいは輸入です」

エサは海外から輸入したトウモロコシや大豆など。花井さんによると、世界的に穀物需要が高まり3年ほど前から上がり始めたのを皮切りに、ウクライナ侵攻に円安も重なりました。 花井さんが営む3つの養鶏場全体の餌代は、先月1カ月でおよそ2200万円。1年前に比べると700万円も上がりました。 花井社長: 「6〜7割くらいを生産費の中で占めるエサ代なんですけども、それが上がっちゃっていると本当に大変です。10個入りの1パックでは(生産コストが)90円くらい上がってしまった」 年々増える餌代の出費は深刻で、国からの補助でなんとか生産を維持できているといいます。 こうした鳥インフルエンザやエサ代の高騰で、卵の価格は去年から急上昇。9日時点の基準値は、1キロあたり340円と、2022年1月に比べて2倍以上になっています。

花井さんも何とかやりくりするため試行錯誤します。 花井社長: 「見た目が分かりにくいかもしれませんけれども、実はひびが入っているんです。(規格外の卵は)加工用にまわしていくんです」 衛生面に問題はないものの、殻にひびや汚れがある規格外の卵を、去年から味付け卵や卵焼きなど、料理の形で卸し始めました。

そのままだと1個あたりおよそ12円ですが、加工することで倍近い20円ほどで売れるといいます。 しかし、根本的な解決には至らず、今後への不安は拭えないと言います。 花井社長: 「ゴールデンウィークくらいまでは結構高値の値段で推移するだろうと考えています。もう物価の優等生ではなくて、普通に生産原価を考えると、1パック300円近くにならないと成り立たない時代に入ってきたんじゃないのかなと思っております」