日経平均株価は22日、3万9000円を超えて史上最高値を更新しました。しかし、街では「実感を感じない」との声も聞こえています。  22日の東京証券取引所で、日経平均株価は一時3万9156円と史上最高値となりました。アメリカの半導体メーカーの決算が予想を上回ったことなどから、終値も3万9000円を超え、最高値を約34年ぶりに更新しました。 30代男性: 「毎日スマホとアプリでチェックしているんですけど、更新すると思っていなかったので少し驚きです」 60代男性: 「いろいろ状況が変わっているので、いい話があればと来たところです」 70代男性: 「あの時は土地もみんな株もそうなんだけど、全体的に上がって、日本人がものすごく元気だったよね」  これまでの史上最高値は1989年の最後の取引でつけられたものです。その1989年といえば、昭和が終わって平成の幕が明けた年です。

「戦後最大の汚職事件」ともいわれたリクルート事件が起き、竹下内閣は総辞職。宇野内閣を経て、海部政権が誕生しました。

 当時はまさにバブル景気の最高潮で、ふるさと創生で各自治体に1億円が配られ、金のカツオに金の便器も登場しました。

 お金が余って仕方がなかったこの時代に、東海3県で注目を集めたのが、技術者の派遣事業で急成長し「メイテック」です。社員用のディスコまで作った当時の社長は関口房朗氏で、奇抜なアイデアで世間を驚かせてきました。

関口房朗さん(2008年): 「ちょっとあれはやり過ぎたかね。あの時は本当にバブルの時代でね、地味なことしたって若い人は一つも喜びませんので」  日比野克彦氏がデザインしたカラフルな社屋に、社内に展示された高級車「ブガッティ」はなんと24億円です。

関口房朗さん(2008年): 「フェラーリは10台買ってみんなに貸し出しするとか。1万円を1000円くらいにしか考えないもんね」  そんなバブル時代の株価をついに更新した22日、岐阜市の柳ケ瀬商店街で話を聞いてみました。 20代男性: 「(会社の業績は)悪くはないのかなとは思います。頑張っている分が(給料に)反映されればいいですけど」 30代女性: 「物価は上がっていますし、給料が上がるわけじゃないし。実感はそんなにないですよね」 30代男性: 「僕たちの給料明細が増えて、スーパーに行った時にちょっと高いお肉を買おうかとなるには、時間がかかるかなと思いますけど」  自動車バンパーやドアノブのメッキ加工を行う名古屋市守山区の「白金鍍金工業」。従業員は約220人、トヨタグループなどに部品を供給しています。

白金鍍金工業の笹野真矢社長: 「一時コロナの影響、半導体不足等の影響で、生産・売り上げがかなり落ち込んだ時期はあったので、そこから比べるとかなり生産も上がってきて、景気はよくなってきているかなという実感はありますね」  自動車部品などの売り上げが好調ですが、豊田自動織機やダイハツの出荷停止など不安要素もあります。 白金鍍金工業の笹野真矢社長: 「海外の投資家の方々が日本の株を買いやすい状況なのかなと。急激に上がったという体感はないですね」  なかなか景気の良さを実感できない今回の株高、背景には何があるのでしょうか。

中京大学経済学部の内田俊宏客員教授: 「株式を保有している富裕層であったり個人投資家の方しか潤っていないということがあると思います。一般のサラリーマンで預貯金だけでしか運用していない方というのは、株高の恩恵は乏しいということで、むしろ格差は広がっている可能性が高いと思います」