観光地として人気の岐阜県高山市に、外国人観光客が殺到しています。  古い町並みが美しい岐阜県高山市では、14日に高山祭が開かれることもあり、至る所に観光を楽しむ外国人の姿がみられます。

オーストラリアから来た観光客: 「オーストラリアから来た。(高山に)5日います。春の春祭りがあるので」  高山市によると高山祭の期間中、去年2023年よりも1万2千人ほど多い18万人の観光客を見込んでいるといいます。

 様々な国の人に対応するため、市内では工夫がされていました。高山駅前の観光案内所には高山の街を紹介する地図がありますが、中国語、英語、スペイン語など、11カ国語が用意されています。  高山で外国人向けのツアーをしている「ハッピープラス」の山腰陽一郎社長。12日もツアーの予約が入っています。

ハッピープラスの山腰陽一郎社長: 「(今日の予約は)総勢十数人です。やはり安いという話はよく聞きまして、現地に来られても高めのツアーをご選定いただいたりとか。5万円くらいになるツアーもあります」  背景には止まらない円安がありました。円相場が1ドル153円台まで下落し、34年ぶりの円安水準になっています。

 日本に住む人たちは輸入品の値上がりが心配になりますが、海外から来る人は「お得」といいます。 オーストラリアから来た観光客: 「食べ物とか、城や博物館に入るのが安い。電車も」 イギリスから来た観光客: 「食べ物がロンドンより安い。でもとてもいいわ」  観光客に人気のラーメン店「麺や しらかわ離れ 高山店」では…。

麺やしらかわ離れ高山店の担当者: 「(外国人は)『デラックス』という商品を頼まれる方が多いです。1800円になります」  日本人にとっては少しハードルの高い人力車でも同様です。 飛騨高山人力車直井屋の宿名辰弥代表: 「1時間、お2人で1万5000円でご案内しているんですけど。『3時間でお願い』とか、それでも『この値段で行けるの?』みたいな。私たちだけじゃなくて飲食店さんなんかもそうなんですけど、コースで松竹梅でグレード展開すると、必ず一番上のグレードを皆さん選んでくれる」

 インバウンド効果で大人気ですが、複雑な思いもあるといいます。 飛騨高山人力車直井屋の宿名辰弥代表: 「喜ばしいなと思う心と、世界の中における円が弱まっているんだなという悲しさも感じつつ。海外のお客さまだけに合わせた価格設定をしたいという心もあるけれど、でも日本のお客さまも大事なお客さまですので無理もできない」  フロント業務に携わる8人のスタッフのうち4人が外国人という「ワットホテル&スパ飛騨高山」では、この日もフランスからの団体が来るということで、キャリーケースが山積みになっていました。

「ワットホテル&スパ飛騨高山」のインド人スタッフ: 「平均で30名様の団体が多いですね。今のところ7割以上がインバウンドの方ですね。稼働率は99%。去年の8月からほぼ満室の状態が続いて」  このホテルではコロナ禍の時は、ダブルルーム1泊朝食付きで1人あたり6000〜9000円ほどだったといいます。

 スタッフによると今は1人1泊1万8000円、ダブルの部屋は1カ月前に埋まる人気ぶりで、いまは宿泊の7割が外国人だといいます。 「ワットホテル&スパ飛騨高山」のインド人スタッフ: 「円安で、お客さまも高級なホテルで泊まることもできるし、高級なブランド物も買うことができる。チェックアウトの時に『こんなたくさんのサービスでこの値段、コスパ最高ですね』と褒め言葉も頂いています」  円安によるインバウンドの増加。この熱狂はしばらく続きそうです。