いま、客からのハラスメント「カスタマーハラスメント」=カスハラの対策が、自治体などで進んでいます。果たして「お客様は神様」なのでしょうか。  ゴールデンウィーク最終日に、高速バスの車内で起きたトラブル。 バスで暴言を吐く客: 「てめえの名前は?ジジイ、おい。マジで超イラついてて、俺。ストレスめっちゃたまっているので、責任者呼んできてくださいよ」

 自分が補助席に座ったのは「バス会社の要領が悪い」からと、運転手に数々の暴言を浴びせた客がいました。  いま、客からのハラスメント「カスタマーハラスメント」=カスハラの対策が進んでいます。 関市役所の職員: 「マイナンバーカードの登録なんですけど」  市役所の窓口で応対する職員。名札を見ると「名字」だけです。 秘書課の職員: 「名前の表記につきまして、フルネームにフリガナの表記のものから、名字のみでフリガナをふったものに変更いたしました」  岐阜県の関市役所では、2024年5月1日から市役所で働く職員の名札を変更しました。従来はフルネームでしたが、名字のみに切り替えました。

秘書課の職員: 「SNSなどの普及によりまして、職員の個人情報がインターネットで検索されたり、公開されたりする事案が全国的に発生しておりまして、カスハラも含めて事前の対応ということで変更いたしました」  全国的に「職員の実名がネットにさらされ拡散される」ハラスメントが多発しています。  関市役所では、理不尽な言いがかりで暴言を浴びせられたり、謝罪を強要させられるなど、過去には警察が出動する事例もあったといいます。

税務課の男性職員: 「仕事上、差し押さえとかしたりして、滞納者さんが怒って窓口にみえることがある。声を荒らげられたり、大きな声で叫ばれたり。(名札が)フルネームまで出ているとある程度検索可能だと思うので、名字だけというのは特定が難しくなるので良いんじゃないかなと」 市民課の女性職員: 「今まで名前も公開されていたのは、正直ちょっと不安なところもあったので。名字だけなのは安心はありますね」 福祉政策課の職員: 「窓口に出ている時に、声を高められる方もいらっしゃるので。ネットとかで住所とか特定されたらどうしようとかありましたね」  タクシー会社でもカスハラ対策を進めているところもあります。 ドライバー歴9年: 「Uターン禁止のところを『Uターンしろ』と。『それはできません』と、『じゃあ右に曲がれ』とおっしゃったので右に曲がったら、『お前どこ走っとるんじゃこら!』みたいなことを言われたので。『お前なにやってんだこら!ぶっ殺すぞこら!』、それをずっと連呼ですね」  名古屋のタクシー会社「東和交通」では、これまで乗客に分かるように顔写真と名前が記載されたプレートを掲示していましたが、2024年3月末までに、乗務員証から顔写真と名前がなくし、一切個人情報が分からないようにしています。

東和交通営業部の課長: 「去年、法改正がありまして、名前・写真を掲示しなくていいとなりまして、全て名前・写真が写らないタイプに変更させていただいた次第です。『今黄色やったら行けたやろ!』とか、それで行かなくて『新幹線に乗り遅れてお金返してくれ!』というのも実際ありました。乗務員も人間ですので、お客さまも乗務員ももちろんですが、思いやりがある形になればいいなと思っております」  客が無理な要求をして運転手などを怒鳴りつけるカスハラ。 バスで暴言を吐く客: 「俺のせいで出発できないって、どないなってんねん!お前がまともに仕事をしていれば、こんなことになっていなかった」  果たして「お客様は神さま」なのでしょうか。