24日、石川県金沢市で棋王戦の第2局が行われます。「棋王」の初防衛がかかる藤井聡太八冠と挑戦者の伊藤匠七段は23日、対局を前に会場や駒のチェックをする検分を行いました。  駒を提供したのは、珠洲市の元職員で将棋の愛好家・塩井一仁さんです。能登半島地震で自宅が全壊し、妻の紀美子さんががれきの下敷きになり、亡くなりました。  約15年前から棋王戦に毎年将棋盤と駒を提供してきましたが、今年は無理だと思っていたといいます。  しかし妻の葬儀後、自分でできる範囲のがれきをどけていたところ、駒がほぼ無傷で見つかり、今回の対局での提供を決めました。  塩井さんは、妻が応援してくれていると思っています。  塩井さんは対局者に2組の駒を提示し、まだ一度もタイトル戦で使われていない「清定書(きよさだしょ)」の駒を勧めると、藤井八冠も「こちらでお願いします」と承諾しました。  検分を終えた塩井さんは「21歳同士の若い戦いの中からパワーをいただいて、被災した奥能登を中心とした人たちも笑顔になれるのではないか。今回の出来事が復興の契機になれば」と話しました。  棋王戦第2局は、24日午前9時から伊藤七段の先手で始まります。