1965年開業の愛知県犬山市の「明治村」が2024年5月17日、累計入村者数5000万人を達成しました。文明開化の時代を彩った実物が今も大切にされ、訪れる人を楽しませています。  大きな節目の入村者となったのは、東京から夫婦で訪れた国井誠人さん(61)で、施設内で食べられる『牛鍋』の食事券などが贈られました。

5000万人目の入村者の国井誠人さん: 「明治村の歴史ある建造物を一度見てみたいと。こういった形で保全されて、それを実際に目にすることができるということは非常に素晴らしいことだと」  1965年に開村した当時は、まだ実際に明治時代を生きた人も多かった昭和40年です。明治期などの建築を後世に繋げていこうと、多くの貴重な建物が移築されました。

 明治村の象徴ともいえる、旧・帝国ホテルの中央玄関は、東京・日比谷にあった実物を移築したもので、20世紀の建築界の巨匠フランク・ロイド・ライトの設計を間近で見ることができます。

 京都から移築された聖ザビエル天主堂など、60以上の歴史的建造物が立ち並びます。

 村内を走る蒸気機関車は、1872年に新橋‐横浜間で開業した日本初の鉄道です。実際に走っていたもので、今でも現役で活躍しています。

30回以上乗車した男性: 「振動がまずありますね。古い車両って今のとは全然違う感じがありまして、スピードはゆっくりですけど、その分景色は楽しめますし」  明治の文豪・森鴎外と夏目漱石が住んだ住宅。漱石が『吾輩は猫である』を執筆した当時の様子や、モデルとなったといわれる家に迷い込んだネコも再現されています。

20代女性: 「『吾輩は猫である』の猫の存在を感じられるのがすごい好きで、いつも毎回絶対ここには来ています。古いものを残してくれている場所があるのはすごくうれしいなって思います」

中川武館長: 「5000万人の人たちに来ていただいたということは、本当に感動しています。年間の維持費で1つの建物に、全体の修復でなくても2億円くらいかかるんです。本物の建物があることが明治村の一番大事なところだと思っていますので、頑張ってどういう風にしていったら皆さんによろこんでいただけるのか考えながらやっていきたいと思っています」