日本考古学協会は28日、JR高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)西側の再開発で未着手の区画に埋蔵されているとみられる明治初期の鉄道遺構「高輪築堤(たかなわちくてい)」について、現地保存した上で新たなまちづくりの中核に据えるべきだとする声明を公表した。声明は25日付。

 遺構は、計6区画のうち先行4区画の再開発で約900メートルが出土したが、国史跡となった約120メートルを除き解体された。残る2区画にも遺構があるとみられる一方、具体的な再開発計画は未公表となっている。

 日本考古学協会はかつて先行4区画の遺構の全面保存も訴えていた。今回の声明では、先行4区画は再開発計画の策定後に遺構が出土し、全面保存のための計画変更は難しかったとしても、残る2区画は遺構の存在を前提にした計画作りが可能だと主張している。

 協会の辻秀人会長は取材に「2区画の動向に注視している。保存か開発かの二項対立ではなく、高輪築堤を生かしたまちづくりを検討してほしい」と話した。(梅野光春)