川崎市制100周年を記念したイベント「かわさき飛躍祭」が29日、同市中原区の等々力緑地で開かれた。緑地内の等々力球場で開かれる野外音楽フェス「かわさき100フェス」では、川崎ゆかりのアーティストらによる演奏もあり、来場者を楽しませた。(竹谷直子)

 フェスでは、ロックバンド「sumika」や「SHISHAMO」、5人組ガールズバンド「トゲナシトゲアリ」がヒット曲などを演奏すると、会場から歓声や拍手が上がった。洗足学園音楽大学「フロントールズ」と川崎市消防音楽隊も出演し「YOUNG MAN(Y・M・C・A・)」などを披露した。市によると、フェスの観客は約9千人。

 スポーツの体験コーナーが設けられ、フィンランド発祥の競技モルックや、川崎市中原区を拠点とする女子バレーボールチーム「NECレッドロケッツ川崎」が協力するバレーボールの体験会も開かれた。多くの飲食ブースが開かれ、行列ができる店も多かった。カボチャやニンジンなどの川崎の地元野菜の販売もあり、多くの人でにぎわった。

 4歳の息子と広場で遊んでいた会社員の石井拓郎さん(33)=高津区=は「出店もたくさんあってお祭り感があってお得な感じだった。子どもがパトカーが好きで写真を撮ってもらえた」と笑顔。妻の晴菜さん(34)は「子どもが遊べるイベントをこれからもしてほしい」と喜んだ。

 イベントでは、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が飛行し、隊形を組んでスモークをたいたり、ハートを描いたりした。観客が待つ会場上空を通り過ぎると、多くの人が立ち止まり、カメラを構えて撮影していた。

◆ブルーインパルス「川崎の空に飛ぶな」 市民ら抗議の声

 アクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」の飛行に対しては、異議を唱える市民らが集まり、抗議運動を展開した。「川崎の空に飛ぶな」などのプラカードを掲げ、飛行に合わせて「飛ばさないで」と声を上げた。

 市民団体「地域から平和を考える会」の木村雅子さん(75)=麻生区=は「ガザでは戦闘機によって今日も多くの人が亡くなっている。平和都市宣言をしている川崎市で飛ばすことを市民として黙って見ているわけにはいかない」と批判した。

 会場には、自衛隊に関するブースもあり、自衛隊の車両を展示したり、グッズを販売したりしていた。ブルーインパルス飛行への抗議に参加した、市民団体「沖縄の映画を観(み)よう!かわさき」の斎藤彰代表(75)は「自衛隊の展示の数の多さに驚いた。親しみのイメージを持たせるために、川崎市が先頭に立っているようだ」と話した。(竹谷直子)