7月7日投開票の東京都知事選に絡み、東京新聞は29、30日、電話調査を実施した。明治神宮外苑の再開発で多数の樹木を伐採することに否定的な意見が7割超に上った。否定的な声は高齢世代に多く、70代以上では8割以上だった。望む政策のトップは「医療や福祉」だった。(三宅千智)

◆高齢者ほど伐採に否定的

 神宮外苑の再開発に伴う多数の樹木伐採について「反対」は41.3%、「どちらかといえば反対」は30.8%。「賛成」は14.7%、「どちらかといえば賛成」は13.1%だった。

 年代別では、年齢層が上がるほど「反対」の割合が高かった。「どちらかといえば」を含めて50代は計72.6%、60代は75.4%、70代では82.4%、80歳以上は82.8%を占めた。一方、30代では「賛成」が最多の37.6%だった。

 支持政党別では、立憲民主、共産、れいわ新選組のそれぞれを支持と答えた人の9割以上が樹木伐採に「反対」で、自民、公明支持層は賛否が拮抗(きっこう)した。「賛成」が最多は、国民民主支持層の35.9%だった。

◆小池氏「進める」蓮舫氏は「やめるべき」

 神宮外苑の再開発は三井不動産や明治神宮などが手がける。神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て替え、商業施設やオフィスが入る高層ビルも建設。計画段階で大量の樹木伐採が判明し、住民や文化人から見直しを求める声が出ている。

 都は昨年2月に再開発事業の施行を認可したが、現職の小池百合子氏(71)は昨年9月、神宮第二球場周辺の樹木の伐採を始める前に、樹木保全の具体策を示すよう事業者側に要請。現在、事業者側が保全策を検討している。

 再開発事業について、選挙戦では小池氏が「進めるべきだ」、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、AIエンジニアの安野貴博氏(33)は「どちらかといえば進めるべきだ」と主張。タレントの清水国明氏(73)、元航空幕僚長田母神俊雄氏(75)、前参院議員の蓮舫氏(56)は「やめるべきだ」としている。

◆「景気と雇用」優先の6割が50代以下

 「選ばれた都知事に進めてほしい政策」は、「医療や福祉」が22.7%、「景気や雇用」が22.4%、「教育や子育て」が20.3%、「行財政改革」が18.7%。20〜40代は「教育や子育て」が最も多かった。

 年代別に見ると、「景気や雇用」を選んだ6割を50代以下の現役世代が占め、「教育や子育て」を選んだ人の半数は40代以下だった。男女別では、男性は「景気と雇用」が22.9%と最も多く、女性は「医療や福祉」の28%が最多だった。

 投票予定先で見ると、小池氏と清水氏、蓮舫氏に投票するとした人は「医療や福祉」を重視。清水氏に投票予定の人は「防災対策」にも期待した。安野氏に投票するとした人は「教育や子育て」、田母神氏に投票予定の人は「防災対策」、石丸氏に投票予定の人は「行財政改革」がそれぞれ最も多かった。

 調査はコンピューターで無作為に選んだ番号への自動音声応答通話(オートコール)方式を使い、都内の有権者と答えた1038人(固定電話523人、携帯電話515人)から有効回答を得た。