芥川賞作家・八木義徳さん没後20年 きょうから晩年居住の町田で企画展

芥川賞作家・八木義徳さん没後20年 きょうから晩年居住の町田で企画展

 晩年の三十年を町田市の山崎団地で過ごした芥川賞作家、八木義徳(よしのり)さん(一九一一〜九九年)の没後二十年を記念した企画展「世界の果てで生き延びろ」が十九日から市民文学館(原町田)で始まる。初公開の「宿敵」の自筆原稿や日記、書籍など約二百点から、激動の半生と町田での日々を回顧する。三月十七日まで。 (松村裕子)

 八木さんは北海道室蘭市出身。婚外子で、青年時代に左翼運動に身を投じた末、自殺未遂をした。四四年、中国人工員の姿を描いた小説「劉廣福(りゅうかんふう)」で芥川賞を受けたが、出征中の四五年三月に妻子が東京大空襲で死亡。復員後は居候先の兄が自殺し、経済的に困窮する激動の半生を送った。正子さん(89)と再婚後、六九年に山崎団地に転居。晩年に苦難の体験を私小説の手法で作品にした業績の評価が高まり、八八年に芸術院恩賜賞を受けた。純文学にこだわり「最後の文士」とも呼ばれる。

 「宿敵」(四八年)は文芸雑誌に掲載した短編小説。市が昨年、新たに購入した。展示品の自筆原稿の中には、町田を取り上げたエッセー「団地暮らし」もある。芥川賞の賞品のすずりと時計、「劉廣福」の特装版も紹介。芥川賞の本来の賞品は時計だが、戦時中のため代わりにすずりを受け取り、時計は戦後にあらためて贈られたという。

 十八日に内覧会が行われ、正子さんも出席。「町田に住んでから落ち着き、精力的に作品を書けた。団地の居間が書斎兼応接間だった」と振り返った。企画展を監修した紅野(こうの)謙介・日大教授は「代表作が描く光景は世界の果てだが、生きるためにどうすればいいか、勇気づける力がある」と、生きづらいといわれる現代に読む意義を強調した。

 午前十時〜午後五時。月曜休館。無料。問い合わせは文学館=電042(739)3420=へ。 


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