文京区の区立森鴎外記念館(千駄木一)で、コレクション展「父と母 鴎外のファミリー・ヒストリー」が開かれている。館蔵資料を通して、文豪・鴎外の父母とその人物交流をたどる企画だ。四月五日まで。

 館によると、鴎外(本名・林太郎)は、一八六二年、石見国(いわみのくに)津和野藩(現在の島根県津和野町)に生まれた。父は静男、母は峰子で、森家は藩主の御典医(お抱えの医師)だった。鴎外は海軍中将・赤松則良(のりよし)の娘、登志子と最初の結婚をする。

 展示では、遠戚(えんせき)の哲学者・西周(あまね)が静男に宛てた結婚式に関する一八八九年の書簡を公開。そこには、則良の夫人・貞(てい)や、登志子、周の夫人・升(ます)子、貞の父で医師の林洞海(どうかい)らが登場している。内容は事務的な連絡だが、人のつながりが見えてくるという。

 また、鴎外を思わせる「博士」と、その父母が出てくる小説「カズイスチカ」(一九一一年)、「本家分家」(一五年)から、鴎外の父母像をひもとく展示も。歴史小説「山椒大夫」、「最後の一句」(いずれも一五年)など、親子関係が見える作品を紹介する。

 塚田瑞穂学芸員は「父親としての鴎外は語られてきたが、一世代前のその父、母はあまり知られていない。鴎外の目線から、父母がどんな人だったのか、感じとってもらえれば」と来場を呼び掛けている。

 学芸員による展示解説は二十九日、二月十九日の午後二時から(申し込み不要)。学生ボランティアによる解説も、三月一日の午前十一時、午後二時からある。

 午前十時〜午後六時。記念館の観覧料は一般三百円。会期中の休館日は、一月二十八日、二月二十五、二十六日、三月二十四日。詳しくは記念館=電03(3824)5511=へ。 (井上幸一)