「まさかの既読スルー?」。それなりに自分はモテると思っていた、33歳男の勘違い

「まさかの既読スルー?」。それなりに自分はモテると思っていた、33歳男の勘違い

「最近、港区飽きたよね?」

そんな女子の嘆きを、貴方は聞いたことがあるだろうか。

毎回同じメンバーが集い、デートも口説き方も、遊び方も変わらない。

そんな“港区”に飽きた女たちが、新鮮味を求めて流れている場所がある。

それが、代官山を中心とした渋谷区だ。

そこに集う男性たちは、ITを駆使して時代を切り開く東京のニューリッチ層。

そんな、まさに“NEO世代”と呼ぶに相応しい、渋谷区に生息する「#ネオシブ男子」である恭平。

アキという彼女がいながらも“結婚制度は更新制で良い”と豪語していた恭平だったが、編集者の由奈に出会い、心がザワつき始めたのだった。



由奈と出会ってから約1週間。

別に“好き”なワケではない。そもそも、僕はアキという彼女がいる。しかし由奈のことをもっと知りたいという思いがムクムクと湧いてきて、僕は思い切って彼女を誘ってみることにした。

最初から、高級店で二人きりでのディナーなんて重すぎる。仮に会話がつまらなかった時のリスクも高い。だから最近はもっぱら、女性を誘うのはランチが多かった。

—恭平:良ければ、ランチでもどう?

すぐについた既読マーク。

しかし、ここで予想外の展開が起きる。由奈からの返信が、一向に来なかったのだ。

—あれ?まさか既読スルーされてる?

誘いを無視された経験はあまりない。男子校で男まみれだった中高校時代を除き、大人になってから、特に今のように事業が成功した後は皆積極的に攻めてきたから。

—忙しいのかな・・・。

結局、由奈から返信が来たのは4日後のことだった。


いつもモテるはずなのに…誤解されがちなネオシブ男子のミス

—由奈:OKです。いつがいいですか?

業務連絡のような、短文で絵文字もないLINE。まぁそれが由奈らしいのかもしれない。

早速『リストランテ ASO』を予約し、僕たちは落ち合うことになった。



すっかり秋色に染まった旧山手通り。そこを次々と通る高級外車をぼーっと見ながら由奈を待つ。

平日の昼間に、自由に行動できる生活になってからどれくらい経っただろうか。

学生時代に起業して以来、必死で働き、バイアウトして今に至る。

会社を売って今の投資生活に入ってから僕の生活は、かなり緩い。打ち合わせがなければ朝はのんびり起きてコーヒーを飲み、適当にUber Eatsでランチをすませる。

平日も土日もあまり関係なく、端から見たら悠々自適な暮らしだろう。実際にそうなのだが、たまに何も持っていなくてただ必死で働いていた当時を懐かしく思うと同時に、あんなにもがむしゃらに頑張れた自分を羨ましく思うときもある。

人生のスピードを、一度緩めると再びギアをかけるのはかなり難しい。

今の僕の人生はそれなりに幸せだし最高なのだが、何か大切なピースが欠けているのも、否めないのだ。

お金もあるし、自由も時間もある。友達だって適当に遊べるくらいの人数はいる。

けれども何かが欠けている気がして、心のどこかがチクリと痛む時がある。

そんなことを考えているうちに、10分遅れて由奈がやってきた。

今日も大きめの白のシャツにデニム。そしてトレンチコートを肩がけしているシンプルな服装だったが、その装いがとても似合っており、僕は思わず目を細めてしまう。

「遅くなっちゃってゴメンなさい!スタイリストさんのコーディネートチェックに付き合っていたら、遅くなってしまって」
「全然いいよ。忙しそうだね」

席に着くなりテキパキと注文を済ませ、髪をさっとひとつにまとめてキリッとした瞳でこちらを真っ直ぐ見つめてくる由奈。

「そうですね〜。お陰様で。恭平さんは?今日はお仕事お休みだったんですか?・・・って、恭平さんの場合は汗水流して働く必要はないんですもんね。いいなぁ」

ふふっと面白そうに笑う由奈。

その笑顔に、ちょうどテラス席の日差しが差し込み、由奈の肌を発光させている。

「・・・どうかされました?」
「え、あ。いや何も」

ついジッと見てしまっていたらしい。僕は慌てて運ばれてきたアイスティーに視線を落とした。

僕は案外女友達が多い。職業も年齢もバラバラだが、モデルやタレント系の友達も結構いるし、アキのようなインスタグラマー系モデルもいる。

なので女性との会話はそれなりにこなせるはずなのだが、由奈だと妙に緊張してしまうのは何故なのだろうか。

そんな空気を察したのか、由奈がふっと微笑む。

「なんか、意外でした。恭平さんから誘っていただけるなんて」
「そうなの?なんで?」
「だって、恭平さんって女の子とかに興味無さそうに見えるから」

—興味が無さそう?

「えーっと、それはどういう意味・・・?」

戸惑っていると、由奈は屈託のない笑顔を向けてきた。

「恭平さんって、何を考えているか分からないタイプに見えるってこと」


“何を考えているか分からない”ネオシブ男子の孤独とは

“何を考えているか分からない”とは、よく言われる。

アキからも “私のこと好きなの?”とか、“どう思っているの?”とか、毎日のように聞かれる。

自分の考えを主張しすぎるのが苦手なこともある。しかしそれ以上に、男女関係においては責任を取るのが面倒で、どこか逃げられるように、自分からハッキリ言うのを避けているのも否めない。

「優しいし、良い人なのは分かるんですけど。でも、何を考えているかが分からないというか、本音が見えないというか」
「それって、いい意味で?」
「う〜ん。どうなんでしょう。それで損することも多そうですよね。付き合ったら大変そう」

女性にこんなズバズバ言われた経験はないのでよく分からないのだが、これは、遠回しに断られているのだろうか。



たしかに、僕は一見サラリとしているし、自分から積極的に攻めることもない。ガンガン連絡することもないし、無理やり手を出すなんて死んでもない。

追いかけられると逃げたくなるし、自分でも面倒くさい性格であることは承知している。

しかしこうして誘っている以上、僕の好意はうっすらでも伝わっているのかと思っていた。

「恭平さんって、孤独を感じたり、寂しくなったりはしないんですか?」
「寂しくはないけど・・・家もあるし車もあるし、まぁそれなりに幸せだからいいかなって」

最後の言葉に、由奈の眉毛がピクリと動く。

「“それなり”かぁ・・・毎日死ぬほどハッピーなんて難しいのは知っているけれど、私は貪欲に幸せを追い求めて生きたいなって思っていますけどね!」

多分、ものすごく素直な人なのだろう。

皆僕の持っている物や家などに興味を示してくるばかりで、孤独かどうかなんて気にも留めていなかった。

けれども由奈はそんな持ち物などではなく、まっすぐに自分の幸せを追い求めている。

しかし、そもそも幸せって何なのだろうか。愛する誰かと結婚すること?一生食うに困らない金を稼ぐこと?

混乱していると、更に追い討ちをかけるかのように、由奈が畳み掛けてきた。

「あと、恭平さんってアキちゃんとお友達なんですか?」

—え?え、ナゼ今アキの名前が?

「アキってどのアキ?」
「モデルやっている、この子です」

そう言いながら由奈が見せてきてくれたInstagramのアカウントは、確かにアキの物だった。

「え、由奈ちゃん繋がってるの?」

「友達の友達なんですけど。すっごくお金持ちの、代官山在住の彼氏がいるって、みんなに言っていて。もしかして恭平さんのことなのかなって思って」

僕は一体、どこで選択を間違えたのだろうか。

投資は失敗しないし、事業もうまくやってきた。けれども、どうやら女選びだけは間違えているようだ。

「じゃあ、私は次の打ち合わせがあるのでこれで失礼します。このランチ代、経費で落としちゃうので私が奢りますよ!その代わり、また今度美味しいお店に連れて行ってくださいね♡」

そう早口で説明するとパタパタと次の打ち合わせへと由奈は飛んで行った。

—何もアピールできていないし、全然ダメじゃん、俺。

それなりに成功してきた。けれども、男としてはまだまだ落第点だと思いっきり突きつけられた気がした。


▶NEXT:10月21日 月曜更新予定
全く脈なしの由奈・・・しかし起死回生が待っていた!?


▶明日10月15日(火)は、人気連載『夫の反乱』

夫から溺愛され、好き放題にやってきた美人妻・めぐみ。最近夫の様子がおかしいことに気づき…。夫を大切にすることを忘れた妻の行く末は?続きは、明日の連載をお楽しみに!













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